白い筋が維管束と呼ばれる理由は、みかんの成長に欠かせない輸送機能を持っているからです。
みかんは木に実る果物です。根から吸収した水分や無機養分、葉で光合成によって作られた有機養分は、枝を通って果実へ届けられます。
その輸送を担う組織が維管束です。
維管束を構成する木部と師部
植物の維管束は、主に木部(もくぶ)と師部(しぶ)という2つの通道組織から構成されています。
それぞれの役割は異なります。
1.木部は水分や無機養分を運ぶ
木部には道管などがあり、根から吸収した水分や無機養分を植物の各部へ輸送します。
みかんの果実に水分が供給される仕組みを支える重要な組織です。
2.師部は光合成で作られた養分を運ぶ
師部には師管などがあり、葉で作られた糖などの有機養分を必要な場所へ運びます。
果実が成長し、糖分などを蓄積する過程にも関係しています。
日本植物生理学会の解説でも、木部は水と無機塩類、師部は光合成産物の輸送を担うと説明されています。
みかんの粒はなぜ白い筋とつながっている?
農林水産省の説明で特に興味深いのは、維管束と果肉のつながりです。
みかんの一房には、果汁が詰まった小さな砂じょうが多数存在しています。
これらの粒は、それぞれ独立して果実の中に浮かんでいるわけではありません。
農林水産省の2021年の相談事例では、砂じょうの粒が維管束とつながっており、果心側と維管束側の両方から水分や栄養分を補給できる構造が説明されています。
この仕組みによって、果実の内部へ水分や養分が届けられ、砂じょうに蓄えられます。
つまり、白い筋は食べるときに邪魔になるだけの存在ではありません。
みかんの果肉を育て、果汁を蓄えるための輸送ネットワークの一部なのです。
【栄養と健康効果】みかんの白い筋には食物繊維とヘスペリジンが豊富!
みかんの白い筋を取り除かずに食べるメリットとして、注目したいのが食物繊維とヘスペリジンです。
農林水産省の2021年の解説では、維管束に食物繊維とヘスペリジンが豊富に含まれていると紹介されています。
果肉だけを食べる場合と比べ、白い筋や薄皮も一緒に食べることで、果実に含まれる成分をより幅広く摂取できます。
1.食物繊維が含まれている
白い筋には食物繊維が含まれています。
食物繊維は、腸内環境や排便習慣を整えるうえで大切な栄養成分です。
みかんの栄養を考えるとき、果汁や果肉に含まれるビタミンCだけでなく、薄皮や白い筋に含まれる食物繊維にも目を向けたいところです。
なお、白い筋だけを分離した場合の食物繊維量は、通常の食品成分表に掲載されている果実全体の数値と同じようには扱えません。
2.ヘスペリジンとは?ビタミンPと呼ばれる成分
ヘスペリジンは、柑橘類に含まれるフラボノイドの一種です。
ポリフェノールに分類され、みかんの果肉よりも皮や白い部分、薄皮などに多く含まれることが知られています。
農林水産省の相談事例でも、ヘスペリジンは果肉部分より皮や筋、袋に多く含まれると紹介されています。
ヘスペリジンには、次のような特徴があります。
- 柑橘類に多く含まれる植物由来のフラボノイドである。
- かつてビタミンPという名称で紹介された成分である。
- 白い筋や果皮、薄皮などに多く含まれる。
- 健康や血管機能との関連について研究が続けられている。
ただし、ビタミンPという名前には注意が必要です。
日本ビタミン学会の説明によれば、ビタミンPはフラボノイドを指す歴史的な呼称であり、現在の学術的なビタミンの定義には当てはまりません。
したがって、ヘスペリジンは正式にはビタミンではなく、フラボノイドの一種として理解するのが適切です。
3.ヘスペリジンの健康効果はどこまで分かっている?
ヘスペリジンについては、血管機能や炎症反応、脂質代謝などとの関連が研究されています。
2026年7月28日付で掲載された『British Journal of Nutrition』のシステマティックレビュー・メタ解析では、成人532人を対象とする10件のランダム化比較試験が検討されました。
研究では、ヘスペリジンの摂取によって、炎症に関連するCRP(C反応性タンパク質)やTNF-αの血中指標が低下する傾向が報告されています。一方、IL-6については全体として有意な改善が確認されませんでした。
ここで重要なのは、これらがヘスペリジンのサプリメントなどを用いた研究であり、みかんの白い筋を食べた場合の健康効果を直接証明したものではないという点です。
白い筋を食べれば血管の病気を予防できる、血圧が下がるといった断定はできません。
4.白い部分の食物繊維についても研究されている
2012年に『Journal of Nutritional Science and Vitaminology』に掲載された研究では、温州みかんのアルベドから抽出した食物繊維が調査されました。
この研究では、アルベド由来の食物繊維について、試験管内での脂質消化への影響や、ラットを使った実験での脂質代謝、腸内細菌への影響が検討されています。
ラットの実験では、アルベド由来の食物繊維を含む餌を4週間与えた結果、血中の中性脂肪濃度の低下やビフィズス菌の増加が報告されました。
ただし、これはアルベドから抽出した食物繊維を用いた研究です。人間が通常のみかんを食べることで同じ結果が得られると証明されたわけではありません。
栄養面での魅力はありますが、特定の病気を治す食品として考えるのではなく、日常の果物から食物繊維や植物由来成分を取り入れるという位置づけが適切です。
【食べるべき?取り除くべき?】みかんの白い筋を残すメリットと判断基準
みかんを食べるとき、白い筋をきれいに取る人もいます。
口当たりを優先するなら、取り除くこと自体に問題はありません。しかし、栄養面を考えると、無理に取り除く必要はない部分です。
白い筋はそのまま食べても大丈夫?
通常の食用のみかんであれば、白い筋はそのまま食べられます。
農林水産省も、白い筋には食物繊維やヘスペリジンなどが含まれることを紹介しています。
食べる際に白い筋をすべて取らなければならない理由はありません。
特に次のような人は、白い筋を残して食べる方法がおすすめです。
- 食物繊維を含む食品を日常的に取り入れたい人。
- みかんに含まれる植物由来の成分を幅広く摂取したい人。
- 皮をむいた後の細かな作業を省きたい人。
- 果肉だけでなく薄皮も含めて食べることに抵抗がない人。
白い筋を取り除いてもよいケース
反対に、次のような場合は取り除いても構いません。
- 白い筋の繊維っぽい食感が苦手な人。
- 口当たりのよさを優先したい人。
- 硬い繊維が食べにくい人。
- 薄皮や筋を食べると違和感がある人。
栄養成分を摂取することは大切ですが、無理に食べる必要はありません。
みかんそのものをおいしく食べられる方法を選ぶことも、継続的な食生活では大切です。
白い筋を簡単に残す皮のむき方
農林水産省の2017年の広報誌では、ヘタ側から皮をむく方法が紹介されています。
この方法では白い筋を取りやすくなるとされていますが、白い筋を残して食べたい場合は、果肉に付着した筋を無理に引っ張らず、皮だけをむくようにするとよいでしょう。
おすすめの食べ方
1. みかんのヘタ側から皮に切れ目を入れる。
2. 果肉を傷つけないように外皮をむく。
3. 房を分けるときに白い筋を無理に引っ張らない。
4. じょうのうごと食べられる場合は、薄皮も一緒に楽しむ。
白い筋をきれいに取り除くことよりも、果実全体を無駄なく楽しむことを意識するとよいでしょう。
【プロの結論】みかんの白い筋は果実を育てる大切な組織だった
みかんの白い筋について、名称・構造・栄養・食べ方を整理すると、押さえるべきポイントは明確です。
正式な構造の説明では、房の表面にある白い筋は維管束、皮の内側にある白い組織はアルベドと区別します。
この違いを理解することが、みかんの白い部分について正しく知る第一歩です。
また、維管束には水分や養分を運ぶ役割があり、果汁を蓄える砂じょうともつながっています。
さらに、白い筋には食物繊維やヘスペリジンが含まれています。
ここで、食べ方についての判断基準も整理しておきましょう。
- 栄養をできるだけ幅広く摂りたい人: 白い筋や薄皮を残して食べる。
- 食感を優先したい人: 苦手な筋だけ取り除いて食べる。
- 健康効果を期待している人: 白い筋だけに頼らず、果物や野菜を含むバランスのよい食生活を心がける。
白い筋を食べるかどうかは、好みや食べやすさで決めて問題ありません。
【みかんの白い筋の名前】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:みかんの白い筋の正式名称は何ですか?
A1:房の背中に葉脈のようについている白い筋は「維管束(いかんそく)」です。農林水産省の2026年度更新の説明でも、この名称が使われています。
Q2:アルベドと維管束は同じものですか?
A2:厳密には異なります。アルベドは果皮の内側にある白い中果皮で、維管束は房の表面を走る網目状の輸送組織です。日常的には白い部分をまとめてアルベドと呼ぶ場合もあります。
Q3:みかんの白い筋にはどんな栄養がありますか?
A3:食物繊維やヘスペリジンなどが含まれています。ヘスペリジンは柑橘類に多いフラボノイドの一種です。
Q4:みかんの白い筋は取らずに食べたほうがよいですか?
A4:栄養面では残して食べるメリットがあります。ただし、取り除いても問題ありません。食感の好みに合わせて選びましょう。
Q5:みかんの砂じょうとじょうのうの違いは何ですか?
A5:じょうのうは果汁の粒を包んでいる袋状の部分で、砂じょうはその中にある小さな果汁の粒です。一般的に、房の薄皮がじょうのう、果肉の粒が砂じょうにあたります。
Q6:ヘスペリジンはビタミンPと同じですか?
A6:ヘスペリジンは歴史的にビタミンPと呼ばれてきたフラボノイドです。ただし、現在の学術的な分類では必須ビタミンには含まれません。
まとめ:みかんの白い筋は無理に取らず、おいしく食べよう
みかんの白い筋の名前は、正確には維管束(いかんそく)です。
一方、アルベドは皮の内側にある白い中果皮を指します。どちらも白い部分に関係する名称ですが、位置と構造が異なります。
農林水産省の2026年度更新の説明でも、房の背中にある白い筋は維管束と明確に紹介されています。
また、維管束には水分や栄養分を運ぶ役割があり、食物繊維やヘスペリジンなどの成分も含まれています。
白い筋を取り除かなければならない理由はなく、食感が気にならなければそのまま食べて構いません。
次にみかんの皮をむくときは、白い筋を少し観察してみてください。普段は何気なく取り除いている部分が、実は果実の成長を支えてきた大切な組織だと分かるはずです。
主な参考資料:農林水産省「みかんの皮をむくと白い筋があるが、これは何ですか。」(令和8年度更新)/農林水産省「消費者の部屋通信」(令和3年12月号)/日本植物生理学会/日本ビタミン学会/Journal of Nutritional Science and Vitaminology/British Journal of Nutrition(2026年7月掲載) (出典: みかん 白い 筋 名前(Yahoo!ニュース))