2026年2月に開催されたミラノ・コルティナ五輪は、岩渕にとって3度目のオリンピックでした。過去2大会ではビッグエアで連続4位という成績を残しており、今大会では悲願のメダル獲得が期待されていました。
しかし、右膝の前十字靱帯断裂という大きな負傷を抱えた状態での出場となり、結果は女子スロープスタイル8位、女子ビッグエア11位。メダルには届きませんでした。
過去3大会のオリンピック成績
日本オリンピック委員会(JOC)の選手記録をもとに整理すると、次のようになります。
| 大会 | スロープスタイル | ビッグエア |
|---|---|---|
| 2018年平昌 | 14位 | 4位 |
| 2022年北京 | 5位 | 4位 |
| 2026年ミラノ・コルティナ | 8位 | 11位 |
注目したいのは、2018年と2022年のビッグエアで2大会連続4位に入っていることです。世界のトップ選手と互角に戦いながら、あと一歩でオリンピックの表彰台を逃してきました。
ビッグエアとスロープスタイルは何が違う?
ビッグエア
大きなジャンプ台から飛び、空中での回転や技の難度、完成度、着地などを競う種目。
スロープスタイル
レールやジャンプ台など複数の障害物が並ぶコースを滑り、技の構成や完成度を競う種目。
ビッグエアでは一度の大きなジャンプに高難度の技を集約する一方、スロープスタイルではコース全体を通して安定した滑りと技術を見せる必要があります。
つまり、膝の安定性や着地動作が重要になる競技を、前十字靱帯断裂というハンディキャップを抱えて戦ったことになります。
8位・11位という順位だけで岩渕の実力を判断するのは適切ではありません。大会結果と、負傷を抱えながら五輪の舞台に立った過程は分けて評価する必要があります。
【経歴・戦績まとめ】岩渕麗楽はどんな選手?法政大学やBURTONとの関係
岩渕麗楽は2001年12月14日生まれ、岩手県一関市出身のプロスノーボーダーです。2026年11月現在は24歳。幼少期からスノーボードに親しみ、10代で世界の舞台に進出しました。
所属先はBURTONで、マネジメント面ではエイベックス・マネジメント・エージェンシーとの関係があります。また、法政大学で学業にも取り組んでいます。
4歳で競技を始め、13歳でプロへ
エイベックスの公式プロフィールによると、岩渕は両親の影響で4歳からスノーボードを始め、小学校1年生ごろから本格的に競技に取り組むようになりました。
2014年には13歳でプロテストに合格。2017年には日本代表の強化指定選手に選ばれ、同年12月にはワールドカップのビッグエアで初優勝を飾りました。10代前半から国内外の大会で結果を残していた選手です。
岩渕麗楽の主要経歴・戦績と関係者一覧
競技人生の節目と、岩渕を支える組織・関係先をまとめました。
出典:エイベックス公式プロフィール、JOC、全日本スキー・スノーボード連盟、川場スキー場の発表。
2023年X Gamesで女性初の大技を成功
岩渕の代表的な実績として外せないのが、2023年のX Gamesアスペン大会です。
ビッグエアでフロントサイド・トリプルアンダーフリップを成功させ、金メダルを獲得しました。BURTONの公式選手紹介でも、スノーボード競技で女性初となるトリプル成功として紹介されています。
また、2022年北京五輪では左手を骨折した状態でトリプルコークに挑戦していました。負傷を抱えながらも難度の高い技に挑戦する姿勢は、岩渕の競技人生を象徴するエピソードです。
法政大学では何を学んでいる?
岩渕は競技だけでなく、法政大学での学業も続けています。
2026年4月22日に掲載された法政大学の総長コラムでは、スポーツ健康学部で学び始めた後、経済学部の通信教育課程にある商業学分野で学習を続けていることが紹介されました。
簿記などにも関心を持ち、競技活動と勉強を両立しているといいます。競技生活が長く続くとは限らないという認識から、将来のキャリアを見据えて学びを深めている点も注目されます。
BURTON所属とエイベックスの関係
岩渕の競技面を支える所属先として知られるのが、スノーボードブランドのBURTONです。JOCや全日本スキー・スノーボード連盟の選手プロフィールにも所属先として記載されています。
一方、エイベックスとはマネジメント面で関係を築いています。2026年8月のインタビューでは、メディア対応など競技以外の仕事をサポートしてもらうことで、スノーボードに集中できる環境が整ったと話しています。
【26〜27年シーズン全休】岩渕麗楽のリハビリ状況と競技復帰の見通し
2026年7月10日の取材で明らかになったリハビリの状況は、手術後の回復過程を知るうえで重要な情報です。
岩渕によると、手術後は週2回通院しながらリハビリを進めていました。靱帯の再建に伴って骨に開けた穴が塞がるまでに2カ月あまりかかり、取材時点ではようやく塞がり始めた段階だったといいます。
そこから少しずつ負荷を増やし、負傷によって細くなった脚の筋肉を戻している状況でした。
2026年7月時点で明らかになったリハビリの内容
| 項目 | 公表された内容 |
|---|---|
| 手術 | 2026年4月に右膝を手術 |
| 通院 | 週2回 |
| 骨の回復 | 骨に開けた穴が塞がり始めた段階 |
| 筋力回復 | 少しずつ負荷を増やし、脚の太さを戻す |
| 競技復帰 | 医師から約8カ月が目安と説明 |
| 雪上復帰 | 2027年4月ごろに再開する見通し |
| 大会出場 | 2026〜27年シーズンは予定なし |
出典:2026年7月10日、スポニチアネックスの取材報道。時点は取材当時の情報です。
ここで注意したいのは、上記が7月10日時点の情報だということです。2026年8月5日のエイベックスのインタビューでは競技生活や今後のキャリアについて語られていますが、リハビリの数値や具体的な回復段階について新たな詳細は示されていません。
そのため、11月現在の筋力や膝の状態、ジャンプ練習の開始時期を確定的に説明することはできません。
なぜ26〜27年シーズンを全休するのか
理由は、単に手術後の回復期間が必要だからというだけではありません。
スノーボードの競技復帰には、日常生活で問題なく歩けることや筋力が戻ることに加え、雪上での滑走、ジャンプ、着地などに身体が対応できるかという段階的な確認が必要です。
岩渕自身も7月の取材で、医師から競技復帰の目安を示されている一方、ジャンプには通常の競技動作とは異なる大きな負荷がかかると説明しています。
また、これまで抱えていた身体の不調を一度リセットする時間にしたいという考えも示しました。つまり、今回の全休は五輪後の身体を根本から整えるための判断でもあります。
復帰はいつ?2027年4月が一つの目安
2026年7月の取材では、雪上に戻り、ジャンプなどの練習を再開する時期について、2027年4月ごろという見通しが伝えられました。
ただし、これは当時の予定であり、実際の復帰を保証する日程ではありません。手術後の経過や膝の状態によって変更される可能性があります。
また、雪上に戻ることと、ワールドカップなどの国際大会に出場できることも別問題です。競技会への復帰には、ジャンプの精度、着地の安定性、連続した練習に耐えられる体力などを取り戻す必要があります。
したがって、2027年4月の雪上復帰が実現したとしても、すぐに大会へ復帰するという意味ではありません。まずは安全に競技動作を取り戻せるかが焦点になります。
【引退説を検証】岩渕麗楽は現役続行する?今後の活動と本当の目標
2026年の五輪終了後、岩渕の現役続行について注目が集まりました。負傷、手術、シーズン全休という出来事が続いたため、引退を考えているのではないかという疑問が生まれています。
しかし、2026年11月現在、現役引退を正式に発表した事実はありません。
現役続行を決めていない理由
2026年7月10日の取材で岩渕は、現役を続けるかどうかについて、まだ決めていないという趣旨の考えを明かしました。
特に重要なのは、再びスノーボードに乗ったときに自分がどのような感覚になるかを確かめてから判断したいという点です。
これは、引退を決めたという意味ではありません。怪我からの回復を優先し、その後の身体の状態や競技への気持ちを踏まえて、次の進路を考えるということです。
五輪の金メダルという目標は残っている
岩渕が目標としてきたのは、オリンピックでメダルを獲得することです。
7月の取材では、五輪の金メダルについて、今も諦めたくない目標として残っていると語っています。
「五輪でメダルを持って帰ること」
これは2026年7月、東京都内の中学校で行われたキャリア教育プログラムで、岩渕が最終目標として伝えた言葉です。
3大会連続でオリンピックに出場し、ビッグエアでは2大会連続4位という結果を残してきた選手にとって、メダルへの思いは競技人生の大きな軸になっています。
2026年大会でメダルに届かなかったことだけを理由に、競技を終えると考えるのは早計です。
9月には川場スキー場のプロデュース企画が発表
2026年9月25日、川場スキー場は、岩渕麗楽がプロデュースする新しいスノーパークを2026〜27年シーズンに設置すると発表しました。
コースの全長は約1,500メートル。ウェーブ、バンク、キッカーなどを組み合わせ、初心者から上級者まで楽しめるテレインパークとして計画されています。
特徴は、単独のジャンプ台やアイテムを攻略するだけではなく、地形と滑走ラインをつなぎ、一本の滑走全体を楽しめる設計です。
この活動は、岩渕が競技会に出場しなくても、スノーボードの楽しさや技術を伝える役割を担っていることを示しています。
競技者としての活動だけではなく、次世代のスノーボーダーや一般の利用者に向けて、競技経験を還元する方向性も見えてきました。
競技以外のキャリアにも目を向けている
2026年8月のエイベックス公式インタビューでは、岩渕は20年間スノーボードを続けてきた経験を振り返り、大学での勉強を深めることや、競技以外のキャリアを作ることにも意欲を示しています。
「その先のキャリアの幅を広げたいなと思っている」
この発言は、引退宣言ではありません。競技者としての時間には限りがあることを理解し、将来に向けて準備を進めたいという考えです。
プロスノーボーダーとしての活動、法政大学での学び、スノーパークのプロデュースなど、複数の方向に経験を広げていることが2026年の岩渕の特徴です。
【よくある質問】岩渕麗楽の現在に関するFAQ
Q1:岩渕麗楽は2026年現在、引退したのですか?
A1:いいえ。2026年11月現在、正式な引退発表はありません。現役続行については決めておらず、雪上に戻ったときの感覚を踏まえて考える意向を示しています。
Q2:岩渕麗楽の怪我は何ですか?
A2:2025年10月に負った右膝の前十字靱帯断裂です。2026年2月のミラノ・コルティナ五輪までは手術を見送り、テーピングやサポーターを使って競技に出場しました。
Q3:右膝の手術はいつ受けましたか?
A3:2026年4月です。五輪終了後に手術を受け、リハビリへ移行しました。
Q4:リハビリは順調ですか?
A4:2026年7月の取材では、週2回通院しながら、骨の回復や筋力の回復を進めていると説明していました。11月時点の具体的な回復数値は公表されていません。
Q5:岩渕麗楽は2026〜27年シーズンに出場しますか?
A5:出場しない予定です。右膝の手術後の回復と身体のコンディションを整えるため、シーズン全休を決めています。
Q6:競技復帰はいつごろですか?
A6:2026年7月の取材では、2027年4月ごろに雪上での練習を再開する見通しが示されました。ただし、実際の競技復帰や大会出場の日程は確定していません。
Q7:岩渕麗楽はどこの大学に通っていますか?
A7:法政大学です。2026年4月の大学公式コラムでは、経済学部の通信教育課程で商業学分野を学んでいると紹介されています。
Q8:岩渕麗楽の所属先はBURTONですか?
A8:はい。日本オリンピック委員会と全日本スキー・スノーボード連盟の選手プロフィールでは、BURTONが所属先として記載されています。マネジメント面ではエイベックスとも関係しています。
まとめ:岩渕麗楽の次の挑戦は完全復活と競技人生の再構築
岩渕麗楽の2026年は、3度目のオリンピック出場と右膝の大手術という、競技人生の大きな転換点になりました。
ミラノ・コルティナ五輪ではスロープスタイル8位、ビッグエア11位。2025年10月に前十字靱帯を断裂しながらも、手術を見送って五輪出場を実現しました。その後、2026年4月に手術を受け、26〜27年シーズンの全休を決断しています。
現役引退は決まっていません。五輪のメダルという目標も残っています。さらに、法政大学での学びや川場スキー場のプロデュースなど、競技以外の活動にも広がりが見られます。
【プロの結論】注目すべきは復帰の速さではなく復帰後の競技水準
岩渕の今後を判断するうえで、重要なのは単純な復帰時期ではありません。
前十字靱帯断裂からの復帰では、日常生活への復帰、雪上への復帰、ジャンプ練習の再開、国際大会への復帰という複数の段階があります。それぞれを区別して見ることが必要です。
特にビッグエアとスロープスタイルは、着地の安定性や高い身体能力が求められる競技です。焦って大会に戻るより、長期的に世界トップレベルの滑りを取り戻せる状態を目指すことに意味があります。
2026年11月現在、岩渕麗楽は競技人生を終えた選手ではありません。大きな負傷を経て、次の挑戦に向けた準備を進める段階にいます。
再び雪上に立ち、あの高さと滞空時間を生かした滑りを見せてくれるのか。2027年以降の動向は、引き続き注目したいところです。
主な参照資料:日本オリンピック委員会、全日本スキー・スノーボード連盟、エイベックス公式プロフィール・2026年8月インタビュー、法政大学公式コラム、スポニチアネックス、日刊スポーツ、デイリースポーツ、川場スキー場公式発表。 (出典: 岩渕 麗 楽(Yahoo!ニュース))