内田梨瑚受刑者の裁判で最大の注目を集めたのが、殺人の実行行為と殺意の有無です。
2026年5月25日の初公判で、内田被告は殺人罪について次のように述べました。
私に殺意はありませんでしたし、橋から落下させていません。
内田被告側は監禁罪を認める一方、殺人罪と不同意わいせつ致死罪については成立しないと主張しました。
一方、検察側は、被害者を精神的にも肉体的にも追い詰めた一連の行為そのものが、殺人の実行行為に当たると主張しました。
争点1:実際に橋から突き落としたのか
ここが裁判の最大のポイントでした。
共犯の小西優花受刑者は、内田被告が被害者の背中付近を両手で押したと証言していました。
しかし、旭川地裁は、この部分について十分な裏付けがないとして、内田被告が両手で押した事実までは認定しませんでした。
それでも殺人罪が成立した理由は、橋の上での状況にあります。
裁判所が認定したのは、被害者が長時間の監禁や暴行によって心身ともに追い詰められ、衰弱していたという事実です。
その状態で、石狩川の急流から約13メートルの高さにある神居大橋の欄干外側に立たされ、「死ね」「落ちろ」などと繰り返し迫られていました。
欄干の外側には幅約10センチの狭い床板部分しかなく、バランスを崩せば転落して死亡する危険性が高い状況でした。
裁判所は、被害者が自ら落下した場合や、誤って落下した場合であっても、被告らがそのような危険な行為をさせたこと自体が殺人の実行行為に当たると判断しました。
つまり、直接手で押したかどうかだけではなく、被害者を死に至る危険な状況に追い込んだ行為全体が評価されたのです。
争点2:殺意はあったのか
内田被告側は、殺意を否定していました。
しかし、裁判所は被害者の衰弱状態や橋の構造、転落の危険性を認識できる状況だったことを重視しました。
さらに、被害者がコンビニで助けを求めた後も、橋の上で死を迫る言葉が繰り返されたことなどから、死亡しても構わないという認識があったと判断しました。
裁判所は、殺人の故意と共犯者との共謀の両方を認定しています。
争点3:不同意わいせつ致死罪は成立するのか
もう一つの重要な争点が、不同意わいせつ行為と死亡との因果関係でした。
弁護側は、わいせつ行為と被害者の死亡との間に因果関係はないと主張しました。
これに対し裁判所は、被害者を辱める目的で行われた一連の行為と、橋の上で死の危険にさらした行為は、同じ目的に基づく不可分の関係にあると判断しました。
そのため、わいせつ行為に伴う危険が現実化したものとして、死亡との因果関係を認めました。
争点4:監禁罪はいつから成立したのか
監禁罪については、留萌市の道の駅で被害者を車に乗せ、その車を発進させた時点から成立すると判断されました。
被害者が自由な意思で乗車を選んだとは考えられず、車内から逃げようとした行動も、その判断を裏付けるものとされました。
これら3つの争点について、旭川地裁は弁護側の主張を退けています。
裁判の詳しい判断は、確定判決の要旨を紹介した弁護士ドットコムニュースでも解説されています。
【2026年最新判決】内田梨瑚受刑者に懲役27年、共犯女性に懲役23年
2026年6月22日、旭川地裁は内田梨瑚被告に対して、検察側の求刑通り懲役27年を言い渡しました。
判決を言い渡したのは田中結花裁判長です。
懲役27年となった理由
裁判所が重視したのは、犯行の残虐性、被害者の受けた苦痛、動機の身勝手さ、そして内田被告が果たした役割でした。
判決では、被害者の人格や尊厳を踏みにじる犯行態様について、非常に残虐で卑劣だと厳しく評価しました。
また、事件の発端となったSNS上の画像使用をめぐるトラブルについても、犯行に及ぶ動機として短絡的かつ自己中心的で、酌量の余地はないとの判断を示しました。
さらに、内田被告が年下の共犯者らを主導し、犯行の重要な行為を決定して指示していたことも、重い刑事責任を負う理由となりました。
裁判所は、謝罪の言葉や若年であること、前科がないことなども考慮しましたが、有期懲役刑を選択する場合の最長となる27年が相当と判断しました。
共犯の小西優花受刑者は懲役23年
小西優花受刑者については、2025年3月7日に旭川地裁が懲役23年の判決を言い渡しました。
検察側の求刑は懲役25年でした。
弁護側は、内田被告の指示に従った従属的な立場だったことや、年齢の若さなどを理由に刑の軽減を求めていました。
しかし、裁判所は小西被告も犯行に主体的に関与していたと判断し、懲役23年を言い渡しました。
その後、小西被告側と検察側が上訴せず、同月14日までに判決が確定しています。
2026年7月7日、内田受刑者の懲役27年が確定
内田被告側は判決後、本人の意向を踏まえて控訴しない方針を固めました。
検察側も控訴せず、控訴期限だった7月6日までに双方の手続きが行われなかったため、翌7月7日付で判決が確定しました。
| 対象者 | 判決 | 確定日 |
|---|---|---|
| 内田梨瑚受刑者 | 懲役27年 | 2026年7月7日 |
| 小西優花受刑者 | 懲役23年 | 2025年3月14日 |
したがって、2026年11月現在、両受刑者の判決はともに確定しています。控訴審で刑が変更される可能性が残っている状態ではありません。
【プロの結論】神居古潭事件の真相から読み解く3つの重要ポイント
神居古潭事件を理解するうえで、特に押さえておきたいポイントは3つあります。
1.「突き落とした」と「殺人罪が成立した」は別の問題
インターネット上では、内田受刑者が被害者を直接突き落としたかどうかが注目されてきました。
しかし、確定判決では、両手で押したという具体的な動作までは認定されていません。
一方で、被害者を極度に追い詰め、転落の危険性が高い場所で死を迫った一連の行為について、殺人の実行行為と認定しています。
この2つを混同すると、判決の本質を見誤ります。
2.SNSトラブルは殺害を正当化する理由にならない
事件の発端は、画像の無断投稿でした。
しかし、画像を無断使用されたことと、相手を脅迫・監禁・暴行することはまったく別の問題です。
裁判所が厳しく評価したのも、SNS上のトラブルを理由に、被害者の尊厳や生命を脅かす行為に及んだことでした。
デジタル上のトラブルを現実の暴力に発展させないためにも、問題が起きた場合は、直接対峙するのではなく、プラットフォームへの通報や警察・専門機関への相談など、適切な手段を選ぶ必要があります。
3.共犯者にも主体的な責任が問われた
内田受刑者だけでなく、小西受刑者にも懲役23年という重い刑が言い渡されました。
この判決から読み取れるのは、主導的な立場だったか、指示に従う立場だったかだけで刑事責任が決まるわけではないということです。
実際に何をしたのか、犯行にどの程度主体的に関わったのかが、個別に評価されました。
事件を一人の人物だけの問題として捉えるのではなく、複数人が関与した行為全体と、それぞれの責任を区別して考えることが大切です。
【神居古潭事件に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:神居古潭事件はいつ発生したのですか?
A1:2024年4月18日夜に事件の発端となる呼び出しがあり、翌19日未明に神居大橋で女子高校生が石狩川に転落して死亡しました。
Q2:内田梨瑚受刑者の判決は何年ですか?
A2:旭川地裁は2026年6月22日に懲役27年を言い渡しました。検察側・弁護側の双方が控訴せず、同年7月7日に判決が確定しています。
Q3:共犯女性の判決はどうなりましたか?
A3:共犯の小西優花受刑者には2025年3月7日に懲役23年が言い渡され、同月14日までに判決が確定しています。
Q4:内田梨瑚受刑者が被害者を直接突き落としたことは認定されたのですか?
A4:旭川地裁は、内田被告が両手で被害者を押したという事実までは認定していません。ただし、被害者を転落の危険性が高い状況に置き、死を迫った一連の行為を殺人の実行行為と認めました。
Q5:神居古潭事件の裁判はまだ続いていますか?
A5:内田受刑者と小西受刑者の判決はともに確定しています。内田受刑者の懲役27年については2026年7月7日に確定しており、通常の控訴手続きは終了しています。
まとめ:神居古潭事件の経緯と判決から見えるもの
神居古潭事件は、SNS上での画像の無断使用を発端として、2024年4月18日夜から翌19日未明にかけて発生した、極めて重大な女子高校生殺害事件です。
捜査の進展を経て、内田梨瑚受刑者と小西優花受刑者が逮捕され、それぞれ裁判員裁判で審理されました。
最終的に確定した刑は、次のとおりです。
- 内田梨瑚受刑者:懲役27年(2026年7月7日確定)
- 小西優花受刑者:懲役23年(2025年3月14日までに確定)
この事件の裁判で特に重要だったのは、直接突き落としたという動作の有無だけではなく、被害者を極度に追い詰め、死の危険が高い状況に置いた一連の行為が殺人に当たると判断された点です。
2026年11月現在、刑事裁判の主要な争点には決着がついています。
事件を振り返る際には、刺激的な見出しや断片的なSNS情報だけで判断せず、旭川地裁の確定判決と、報道各社が伝えた裁判の経過を照らし合わせることが重要です。
何よりも、この事件で17歳の若い命が失われた事実と、遺族が受けた深い悲しみを忘れてはなりません。 (出典: 神居 古潭 事件(Yahoo!ニュース))