公用車とは、国や地方自治体などの行政機関が、公務の遂行を目的として管理・使用する車両のことです。市役所や県庁の職員が出張や現地調査に使用する乗用車だけでなく、福祉活動に使う車両、資材を運搬するトラック、災害対応車両なども含まれます。ただし、公用車の定義は全国一律ではなく、各自治体の管理規程によって異なります。自治体が所有する車両に限らず、リース車や、一定の条件を満たして業務使用の承認を受けた職員の私有車を公用車に含めるケースもあります。
2026年は、公用車の適正管理に加え、車両の電動化、運行管理のデジタル化、維持費の削減も重要な課題になっています。香南市では2026年7月1日施行の新しい公用車管理規程が設けられ、私有車の業務使用条件や事故対応、保険、アルコール検知などが具体的に定められました。公用車の基本的な意味から、私用車との違い、利用申請、費用、ナンバープレートの見分け方まで、2026年の公的資料をもとに解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 公用車の定義:行政機関などが公務のために管理・使用する車両で、所有車だけでなくリース車や承認済みの私有車が含まれる場合もある。
- 利用上のルール:原則として公務目的に限られ、私的利用は禁止。使用には所属長などの承認や事前予約が必要となる。
- 2026年の最新動向:環境省の公表資料では一般公用車の電動車導入割合は11.3%。EV導入や運行管理のデジタル化が進められている。
【基本知識】公用車とは?定義と管理対象になる車両の範囲
公用車とは、行政機関が行政サービスや公務を遂行するために使用する車両の総称です。国の機関、都道府県、市区町村などが管理する車両が代表例で、日常的な行政事務から災害対応まで幅広い場面で活用されています。
公用車に全国共通の定義はある?
公用車について、すべての行政機関に共通する一つの車両管理上の定義が定められているわけではありません。実際には、各自治体や行政機関が制定する公用車管理規程、自動車管理規程などによって対象車両が定義されています。
例えば、2026年6月29日付で制定され、同年7月1日に施行された「香南市公用車管理規程」では、市が管理する自動車、原動機付自転車、軽車両のほか、所定の承認を受けた職員の私有車も公用車に含めています。
一方、横須賀市の「自動車管理規程」では、公用自動車を市が所有する自動車とリース契約によって借り上げた自動車として定義しています。つまり、自治体によって公用車の対象範囲には違いがあります。
公用車の主な種類と用途
公用車は、車両の形状や用途、管理方法によって分類できます。代表的な種類は次のとおりです。
- 一般乗用車:職員の出張、行政機関への訪問、現地調査、住民対応などに使用する。
- 軽自動車:近距離の移動や市内巡回、少人数での業務に使用する。
- ワゴン車・バン:職員や関係者の移動、備品や資材の運搬に使用する。
- トラック:道路管理、施設管理、災害時の物資輸送などに使用する。
- 福祉車両:高齢者や障害のある人の移送、福祉サービスなどに使用する。
- 特殊車両:消防、道路維持、環境調査、災害対応など、専門的な行政業務に使用する。
- 電動車:EV、HV、PHV、FCVなど、環境負荷の低減を目的として導入する。
なお、消防車や救急車などは、個別の法令や組織上の管理体系に従う場合があります。一般的な公用車管理規程がすべての特殊車両にそのまま適用されるとは限りません。
公用車の所有形態は3種類
公用車という名称から、自治体が車両を購入して所有していると考える人も少なくありません。しかし、実際には複数の調達・利用形態があります。
- 所有車:自治体が購入し、資産として保有する車両。
- リース車:リース会社と契約し、一定期間にわたって借り受ける車両。
- 借上車:必要に応じて外部事業者から提供を受ける車両。タクシーや運送事業者との契約による車両利用も含まれる。
ここで注意したいのは、リース車と借上車は必ずしも同じ意味ではないことです。リース車は車両を一定期間借りて継続使用する契約が中心ですが、借上車は必要なときに運転サービスを含めて利用する契約などもあります。
【違いを比較】公用車と私用車は何が違う?私的利用は禁止されている?
公用車と私用車の最も大きな違いは、車両の所有者だけではなく、使用目的と管理責任にあります。
私用車は個人が自分の生活や移動のために使用する車両です。一方、公用車は行政機関の業務を遂行するために管理され、利用目的や運転者、使用時間、運行経路などに一定の制約が設けられています。
公用車と私用車の比較
- 使用目的:公用車は公務、私用車は個人的な移動や生活が基本。
- 管理主体:公用車は行政機関や所管部署、私用車は原則として所有者本人。
- 利用条件:公用車は業務上の必要性や承認が必要。私用車は所有者の判断で利用できる。
- 維持費:公用車は原則として行政機関の予算や契約に基づき負担。私用車は所有者が負担する。
- 事故対応:公用車は所属機関への報告や組織の保険・賠償制度に従う。
公用車の私的利用は原則禁止
公用車は税金などの公的な財源によって取得・維持されるため、個人の買い物、旅行、通勤、家族の送迎といった私的目的で自由に使用することは認められません。
公務と無関係な目的で使用すれば、自治体の管理規程や職員の服務規律に抵触する可能性があります。状況によっては、懲戒処分や損害賠償などの問題につながることもあります。
ただし、業務終了後の車両移動や緊急時の使用などについては、個別の規程や承認制度によって取り扱いが異なります。私的利用に関する規定は、自治体ごとに確認する必要があります。
香南市公用車管理規程に見る2026年の私的利用ルール
2026年7月1日に施行された香南市公用車管理規程では、第20条に市が所有する公用車の業務外利用禁止を定めています。
同条では、業務以外の目的で使用させないことを原則とし、やむを得ず業務外で使用する場合には、あらかじめ公用車の業務外利用申請書を契約管財課長に提出する仕組みを設けています。
この規定から分かるのは、公用車の私的利用について、単に職員の判断だけで認められるわけではないということです。例外的な利用にも事前の申請と承認が必要になります。
承認された私有車が公用車として扱われる場合もある
公用車と私用車の違いを理解するうえで、見落としやすいのが職員の私有車の業務使用です。
香南市の規程では、職員が所有する自家用車であっても、所定の承認を受けた車両は公用車の定義に含まれます。つまり、車両の所有者が個人であることと、公務に使用する際の管理上の扱いは別の問題です。
このような制度は、公共交通機関が利用しにくい地域や、公用車の配置が難しい職場で業務を遂行するための例外的な仕組みです。
【公的資料で比較】香南市と横須賀市の公用車管理規程は何が違う?
公用車の定義や利用条件を具体的に理解するには、自治体が公開している管理規程を比較するのが有効です。香南市と横須賀市の規程には、それぞれ異なる管理上の特徴があります。
以下は、両自治体の公式規程と環境省の公表資料を整理した関係比較です。
| 主体・公的資料 | 対象・定義 | 管理・利用上の特徴 | 確認できるポイント |
|---|---|---|---|
| 香南市公用車管理規程 | 市の管理車両、原動機付自転車、軽車両、承認済みの私有車 | 集中管理車両と各課管理車両に分類 | 2026年7月1日施行。私有車の業務使用、保険、事故対応、飲酒確認などを規定 |
| 横須賀市自動車管理規程 | 市所有車とリース車 | 専用自動車、共用自動車、貸出自動車などに分類 | 公用車管理システムによる予約や運行管理を採用 |
| 環境省・環境配慮契約法基本方針 | 国や独立行政法人等の自動車購入・賃貸借契約 | 価格だけでなく燃費などの環境性能も評価 | 2026年3月13日に基本方針を変更閣議決定 |
| 環境省・地方公共団体実行計画関連資料 | 地方公共団体の一般公用車 | 電動車の導入状況を調査・公表 | 令和6年度調査では電動車導入割合11.3% |
香南市は公用車と承認済み私有車を一体的に管理
香南市の特徴は、公用車の定義に承認済みの私有車を含めていることです。また、集中管理車両と各課管理車両を分け、全庁で利用する車両と各部署が管理する車両の役割を明確にしています。
同規程では、運転者の安全確保や車両点検、事故対応、保険加入、運行記録なども具体的に規定しています。公用車を単に所有するだけでなく、日々の利用状況まで管理する考え方が反映されています。
横須賀市は所有車・リース車・借上車を区別
横須賀市の自動車管理規程は、昭和36年3月15日に制定された規程を基礎とし、時代に合わせて改正されています。2025年の改正履歴も確認できます。
同市では、市が所有する車両とリース車を公用自動車と定義する一方、一般旅客自動車運送事業者との契約で利用する借上自動車を別に規定しています。
さらに、特定部署が管理する専用自動車、総務課で共同使用する共用自動車、職員が自ら運転する貸出自動車という分類を採用しています。
貸出自動車については公用車管理システムで使用手続きを行い、共用自動車については配車申込書を提出する仕組みです。
両市の違いは、公用車の定義だけではありません。車両の保有形態、管理部署、予約方法、私有車の業務使用などをどのように制度化するかという、自治体の運行管理方針の違いにも表れています。
【利用方法】公用車の使用目的・利用条件と申請から返却までの流れ
公用車は、職員であれば誰でも自由に利用できるものではありません。公務上の必要性が認められ、所定の手続きを済ませた場合に使用できます。
公用車の主な使用目的
一般的な使用目的には、次のようなものがあります。
- 自治体の出先機関や関係機関への出張
- 道路や公共施設の現地調査・点検
- 住民からの相談や行政サービスに関する訪問
- 福祉・保健活動に伴う移動
- 災害発生時の現場確認や支援物資の運搬
- 行政事業や自治体主催イベントの運営
- 施設や設備の維持管理に必要な移動
例えば、横須賀市の規程では、公用自動車と借上自動車の使用範囲を市の事務、または市が主催・共催する事業に限定しています。
同市では、公用自動車の使用範囲を原則として市役所を中心に半径200キロメートル以内とする規定もあります。ただし、管理責任者が認めた場合には例外が設けられています。
公用車の利用申請・承認手続き
一般的な公用車の利用手続きは、次の順序で進みます。実際の申請書や予約システムは自治体によって異なります。
- 利用目的の確認:出張や現地調査など、公務上の必要性を確認する。
- 車両の選択:利用人数、移動距離、積載量などに適した車両を選ぶ。
- 事前申請・予約:所定の申請書や庁内システムで利用を申し込む。
- 所属長などの承認:利用目的、運転者、経路、利用日時などを確認する。
- 運行前点検:車両の状態、免許証、酒気帯びの有無などを確認する。
- 運行・記録:承認された目的や経路に従って使用し、必要事項を記録する。
- 返却・報告:車両を所定の場所に戻し、鍵の返却や運行記録の提出を行う。
職員の私有車を業務に使用する場合の条件
香南市の2026年施行規程は、私有車の業務使用を原則として認めていません。ただし、公共交通機関の利用が難しい場合や、公用車が使用できない場合など、一定の条件を満たせば例外的に承認されます。
具体的な条件として、次の内容が定められています。
- 契約管財課長の事前承認を受けていること。
- 公共交通機関の利用が困難であるなど、業務上の必要性があること。
- 公用車が使用できない、または配置されていないなど、やむを得ない事情があること。
- 片道の運転時間が原則4時間を超えないこと。
- 業務使用による走行距離が原則として月500キロメートルを超えないこと。
- 自賠責保険と任意保険に加入していること。
- 任意保険の対人・対物賠償が無制限で、業務使用時も補償対象であること。
- 法令に基づく車両の整備・点検が行われていること。
- 運転経験が1年以上あり、運転技術に習熟していること。
さらに、私有車の業務使用は年度ごとの登録申請と承認が必要です。申請内容と異なる業務に使用する場合は、その都度、追加の許可申請を行う必要があります。
このように、職員個人の車を業務で使う場合も、通常の私用とは異なる安全管理と保険条件が求められます。
【費用と安全管理】公用車の維持費・燃料費・保険・事故対応の実態
公用車を保有するには、購入費やリース料だけでなく、日々の維持管理費が必要です。行政機関にとっては、車両を導入する段階だけでなく、使用期間全体のコストを把握することが重要になります。
公用車の維持費・燃料費の内訳
公用車にかかる代表的な費用は、次のとおりです。
- 車両購入費:新車や中古車を取得するための費用。
- リース料:リース会社に支払う月額・年額の契約費用。
- 燃料費:ガソリン、軽油、電気などのエネルギー費用。
- 車検・点検費:法定点検、車検、整備に必要な費用。
- 修繕費:故障や部品交換、タイヤ交換などの費用。
- 保険料:自賠責保険、任意保険、自動車損害共済など。
- 税金:自動車税種別割、自動車重量税など。
- その他:駐車場代、高速道路料金、洗車費用、管理システム費用など。
リース契約の場合、契約内容によっては車検、整備、税金、保険などが月額料金に含まれることがあります。そのため、購入車とリース車を比較する際には、単純な購入価格と月額料金だけで判断するのは適切ではありません。
所有車とリース車はどちらがお得?
所有車は、長期間にわたって使用できれば、車両の取得費用を複数年に分散できるメリットがあります。一方で、購入時の初期費用や修繕、車検、売却・廃車などの管理が必要です。
リース車は、まとまった購入資金を用意せずに車両を確保でき、契約内容によって維持管理業務を外部に委託できます。ただし、契約期間や走行距離の条件、途中解約、契約満了時の精算などを確認する必要があります。
比較する際には、取得費だけでなく、燃料費、保険料、整備費、契約終了時の処理費用まで含めた総保有コストで判断することが大切です。
公用車の事故対応と保険の仕組み
公用車で交通事故が発生した場合、一般の交通事故と同様に、まず負傷者の救護や道路上の危険防止など、必要な措置を講じなければなりません。警察への報告も必要です。
その後、所属長や車両管理担当部署へ速やかに連絡し、事故の状況を報告します。事故日時、発生場所、相手方、車両の損傷、負傷の程度、事故状況、現場の記録などが重要な報告事項です。
横須賀市の自動車管理規程第13条では、事故発生時に運転者が市長へ報告する事項として、事故日時・場所、被害者、加害者、損害の程度、事故状況、実施した措置、現場の見取図などを定めています。
香南市の規程でも、事故発生時には法令に基づく必要な措置を行い、直ちに所属長へ報告することを定めています。承認済みの私有車を業務使用していた場合は、加入している任意保険会社への連絡も必要です。
公用車に加入する保険の種類
公用車の保険には、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)、任意保険、自動車損害共済などがあります。
香南市の規程では、市所有の公用車について自動車損害共済、自賠責保険、必要に応じた任意保険を定めています。任意保険の対人・対物賠償については、規程上、無制限の補償内容が示されています。
なお、事故を起こした場合に常に自治体がすべての損害を負担するとは限りません。香南市の規程では、故意や重大な過失があった場合などについて、運転者への求償を定めています。
飲酒運転防止とアルコールチェック
公用車の安全管理では、飲酒運転の防止も欠かせません。
香南市の規程第17条では、業務で公用車を使用する際、運行前と運行後に酒気帯びの有無を確認することを定めています。確認には目視などに加えてアルコール検知器を使用し、その内容を公用車管理システムなどに記録します。
運行記録は原則1年間保管する仕組みです。車両の予約や走行記録だけでなく、安全確認の記録まで電子的に管理することが、事故防止と管理責任の明確化につながります。
公用車のナンバープレートと見分け方
公用車を見分ける際に注意したいのが、ナンバープレートの色です。一般的に、ナンバープレートの色は車両の登録区分や使用形態を示すものであり、公用車か私用車かを直接示すものではありません。
- 白地に緑文字:一般的な自家用の登録自動車。
- 緑地に白文字:事業用の登録自動車。
- 黄色地に黒文字:自家用の軽自動車。
- 黒地に黄色文字:事業用の軽自動車。
自治体が一般行政事務用として使用する乗用車は、通常の自家用車と同じ区分のナンバープレートが付いていることがあります。したがって、白ナンバーだから公用車ではない、緑ナンバーだから公用車である、といった判断はできません。
公用車かどうかを確認するには、車体に表示された自治体名や所属機関名、管理番号、使用目的などを確認する必要があります。ただし、これらの表示方法も自治体によって異なります。
【2026年最新動向】公用車のEV化・環境配慮契約・デジタル管理はどう変わる?
2026年の公用車をめぐる大きなテーマは、脱炭素化と管理の効率化です。従来のガソリン車中心の車両構成を見直し、電動車への切り替えや、車両予約・運行記録の電子化を進める自治体が増えています。
一般公用車の電動車導入割合は11.3%
環境省が公表した地方公共団体の地球温暖化対策関連資料によると、令和6年度調査における一般公用車の電動車導入割合は11.3%でした。
調査対象となる一般公用車は、通常の行政事務に使用する乗車定員10人以下の乗用自動車です。調査時点は2024年10月1日です。
導入状況を種類別に見ると、次のようになっています。
- ハイブリッド自動車(HV):20,105台、8.4%
- 電気自動車(EV):5,503台、2.3%
- プラグインハイブリッド自動車(PHV・PHEV):1,056台、0.4%
- 燃料電池自動車(FCV):335台、0.1%
電動車の合計は26,999台です。前年度の22,901台、導入割合9.7%と比較すると、台数は17.9%増加し、導入割合は1.6ポイント上昇しました。
ただし、電動車以外のガソリン車やディーゼル車などは212,804台で、全体の88.7%を占めています。電動化は進んでいるものの、一般公用車全体では従来型の車両が依然として中心です。
2030年度に向けた公用車の電動化目標
環境省の地方公共団体向け資料では、代替可能な車両を対象として、2030年度までに一般公用車の保有台数ベースで100%の電動車導入を目指す目標が示されています。
ここでいう電動車には、EV、FCV、PHV、HVが含まれます。すべてを電気自動車に置き換えるという意味ではありません。また、用途上の制約などにより代替が難しい車両は除外されます。
自治体にとっては、単純に車両を買い替えるだけではなく、年間走行距離、使用頻度、充電設備の設置場所、災害時の電源利用などを総合的に検討する必要があります。
環境省の環境配慮契約は2026年3月に基本方針を変更
公用車の調達に関係する重要な制度が、環境配慮契約法に基づくグリーン契約です。
環境省は2026年3月13日、環境配慮契約法に基づく基本方針の変更を閣議決定しました。自動車の購入・賃貸借については、車両価格だけでなく、燃費などの環境性能も評価する考え方が示されています。
自動車の購入・賃貸借契約では、総合評価落札方式を基本とし、価格と環境性能を合わせて評価します。グリーン購入法の特定調達品目に該当する場合は、その自動車の判断基準を満たすことが前提となります。
また、実際の車両選定では、行政目的や走行距離などの使用状況を考慮して、調達条件を設定することが求められています。
つまり、環境性能が高い車両を選ぶだけでなく、実際の業務に適した車両を適切な価格で調達することが重視されています。
公用車の予約・運行管理もデジタル化
2026年の公用車管理では、車両予約や鍵の管理、運行日誌、アルコールチェックなどの電子化も重要です。
香南市が公表した公用車管理システム導入関連資料では、従来の庁内グループウェアによる予約管理に加え、車両の鍵管理や稼働率の把握を効率化する取り組みが示されています。
同資料によると、香南市では公用車81台のうち、集中管理の対象となっていた車両は約27台でした。これを50台に増やし、予約や利用状況をシステムで把握する計画が示されていました。
背景にあるのは、車両の長時間確保や稼働状況の把握不足といった課題です。利用率を可視化すれば、実際に必要な車両台数を検討しやすくなり、車両の過剰保有や維持費の削減にもつながります。
公用車管理のデジタル化は、職員の予約作業を簡単にするだけではありません。車両の利用実態を把握し、公費の適正な支出を実現するための取り組みでもあります。
【プロの結論】公用車の管理で本当に重要なのは何か?
公用車を理解するうえで重要なのは、車両の所有者やナンバープレートだけで判断しないことです。公用車の本質は、公務を遂行するために行政機関が管理責任を負う車両であるという点にあります。
公用車を適正に管理するための3つの判断基準
1.公務上の必要性が明確か
車両を使用する目的が明確で、公共交通機関や別の移動手段では業務遂行が難しいかを確認する必要があります。使用目的が曖昧なまま車両を確保すれば、稼働率の低下や維持費の増加につながります。
2.安全管理と責任の所在が明確か
運転者の免許確認、運行前点検、飲酒確認、事故報告、保険加入などの仕組みが整っているかが重要です。特に私有車を業務使用する場合は、保険の適用範囲と事故時の責任関係を事前に明確にする必要があります。
3.車両の導入費用と維持費を総合評価しているか
購入価格が安くても、燃料費や修繕費が高ければ長期的な負担は増えます。反対に、環境性能が高い車両でも、使用頻度や充電環境に適合しなければ十分な効果を得られません。購入とリースの比較も含め、ライフサイクル全体の費用で判断することが大切です。
公用車は行政サービスを支える公共資産
公用車は、職員の移動手段という役割にとどまりません。住民への訪問、公共施設の維持管理、災害対応、福祉サービスなど、行政サービスを現場で実行するための基盤です。
その一方で、車両の取得費や燃料費、保険料、修繕費には公的な予算が使われます。利用実態に即した台数の確保、透明性のある管理、私的利用の防止が求められる理由もここにあります。
2026年以降は、脱炭素化とデジタル管理を両立させながら、必要な車両を必要な部署に適切に配置することが、自治体の車両管理における重要な課題となっています。
公用車とは?に関するよくある質問(FAQ)
Q1:公用車とは簡単にいうと何ですか?
A1:公用車とは、国や自治体などの行政機関が公務のために管理・使用する車両です。職員の出張、現地調査、福祉活動、災害対応などに利用されます。具体的な対象車両は各機関の管理規程によって異なります。
Q2:公用車は自治体が所有している車だけですか?
A2:いいえ。自治体によってはリース車や借上車、所定の承認を受けた職員の私有車も対象になります。横須賀市では所有車とリース車を公用自動車として定義し、香南市では承認済みの私有車も公用車に含めています。
Q3:公用車を通勤や買い物に使用できますか?
A3:原則としてできません。公用車は公務目的で使用するものであり、個人的な買い物や旅行などの私的利用は原則禁止です。例外的な取り扱いがある場合も、自治体の規程に従った事前申請や承認が必要です。
Q4:公用車と社用車は何が違いますか?
A4:公用車は国や自治体などの公的機関が公務に使用する車両で、社用車は民間企業が事業活動に使用する車両です。どちらも組織が管理する車両ですが、使用目的や管理規程、費用の財源が異なります。
Q5:公用車のナンバープレートは特別な色ですか?
A5:公用車専用のナンバープレート色があるわけではありません。一般的な行政用乗用車には、通常の自家用車と同じ白地に緑文字のナンバーなどが使用されます。色だけで公用車かどうかを判別することはできません。
Q6:公用車で事故を起こした場合、誰が費用を負担しますか?
A6:事故の状況、車両の管理規程、保険契約、運転者の過失などによって異なります。自治体が損害賠償を負担する場合もありますが、故意や重大な過失があれば運転者に求償されることがあります。事故時は警察への報告と所属部署への連絡が必要です。
Q7:2026年現在、公用車のEV導入率はどれくらいですか?
A7:環境省の令和6年度調査では、一般公用車における電動車導入割合は11.3%でした。内訳はHVが8.4%、EVが2.3%、PHVが0.4%、FCVが0.1%です。調査時点は2024年10月1日であり、2026年11月時点の実数を示すものではありません。
まとめ:公用車の正しい定義と2026年以降の管理のポイント
公用車とは、行政機関が公務の遂行に使用する車両であり、その範囲は各自治体の公用車管理規程によって定められています。自治体が所有する車両だけでなく、リース車や承認済みの私有車を含む場合もあります。
公用車の利用では、公務目的の確認、事前申請、所属長などの承認、安全点検、運行記録、事故報告といった管理手続きが欠かせません。私的利用は原則禁止されており、例外的な使用にも規程に基づく手続きが求められます。
2026年は、香南市の新しい管理規程に見られる安全管理の明確化、横須賀市の公用車管理システムによる予約管理、環境省が進める環境配慮契約や電動車導入など、管理制度と車両運用の両面で変化が見られます。
今後の公用車管理で重要になるのは、単に車両を保有することではなく、業務上の必要性、安全性、維持費、環境性能、利用率を総合的に評価することです。公用車を公共資産として適正に管理することが、効率的な行政運営と住民サービスの質の向上につながります。
主な根拠資料(公的機関の一次資料)
- 香南市「香南市公用車管理規程」(2026年6月29日制定、7月1日施行)。
- 横須賀市「自動車管理規程」。
- 環境省「地方公共団体実行計画事務事業編の取組状況②」。
- 環境省「環境配慮契約法基本方針」(2026年3月13日変更閣議決定)。
- 国土交通省「ナンバープレートの様式について」「ナンバープレートの見方」。 (出典: 公用 車 と は(Yahoo!ニュース))