南米ペルーの砂漠に広がる「ナスカの地上絵」。ハチドリ、サル、クモ、コンドル、巨大な幾何学模様など、地上からでは全体像を把握しにくい巨大な絵は、いったい誰が、何のために描いたのでしょうか。宇宙人が飛来するための目印だったという説も有名ですが、現在の考古学研究では、古代ナスカの人々の信仰、農業、儀礼、共同体の記憶と結び付けて理解する動きが進んでいます。
大きな転換点となったのが、山形大学ナスカ研究所とIBM ResearchによるAIを活用した調査です。2024年には303点、2025年7月にはさらに248点の新発見が発表され、具象的な地上絵の確認数は893点に達しました。特に注目されるのは、地上絵そのものだけでなく、神官や斬首、リャマなどの図像が小道に沿ってテーマ別に配置されていたことです。2026年の最新研究動向も踏まえながら、その謎と制作目的を読み解きます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:2025年7月、山形大学とIBMのAI支援調査で248点の地上絵が新発見され、具象的な地上絵は893点に到達。
- 要点2:神官、斬首、猛禽類、リャマなどの図像が小道に沿ってテーマ別に配置され、信仰や物語を伝えた可能性が浮上。
- 要点3:宇宙人説を裏付ける証拠はなく、儀礼、農業、水、巡礼、共同体の記憶などを組み合わせた解釈が有力になっている。
【ナスカの地上絵とは?】約2000年前の古代文明が砂漠に残した巨大な謎
ナスカの地上絵は、南米ペルー南部の乾燥地帯に広がるナスカ台地とフマナ平原周辺に残された巨大な地上の図像です。動物や植物、人間、幾何学模様、長距離にわたる直線など、多様な種類が存在します。
制作時期は紀元前500年から紀元後500年ごろに及び、特に紀元前後から紀元後500年ごろにかけて発展したナスカ文化と深い関係があります。地上絵は単一の時代に一斉に作られたものではなく、長い期間にわたって追加・変更されてきた文化的な景観です。
地上絵はどのような方法で作られたのか
制作方法は、現在では考古学的にかなり明らかになっています。ナスカ台地の地表には、酸化によって黒っぽくなった小石が広がっています。その表面の石を取り除くと、下から明るい色の土壌が現れます。
この明暗の違いを利用して、線や輪郭を描き出したのが地上絵です。石を取り除いたり、縁に集めたりすることで、巨大な動物や幾何学模様を表現しました。
つまり、特殊な機械や航空技術がなくても、地表の性質を理解し、測量や目印を使えば制作できる仕組みです。実際、地上絵の制作には古代の人々が持っていた測量技術や空間認識能力が生かされていたと考えられています。
世界遺産に登録された理由
ナスカとパルパの地上絵は、1994年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。登録対象となる文化遺産は約7万5358ヘクタールに及び、地上絵が集中する地域は約450平方キロメートルとされています。
評価されたのは、巨大な絵の美しさだけではありません。古代アンデス社会の宗教観、自然との関係、共同体の活動を現在に伝える、非常に重要な文化的景観である点です。
地上絵の一部には数キロメートルに及ぶ直線や幾何学模様もあります。動物の絵だけを切り取って見るのではなく、周囲の地形や道、ほかの図像との位置関係まで含めて理解する必要があります。
【2026年最新研究】山形大学とIBMのAIが発見した248点と893点の真相
ナスカの地上絵研究を大きく変えたのが、山形大学ナスカ研究所とIBM Researchによる共同研究です。中心的な研究者の一人が、文化人類学・アンデス考古学を専門とする坂井正人教授です。
山形大学は2004年にナスカの地上絵の研究プロジェクトを立ち上げ、衛星画像、航空写真、ドローン画像などを活用して調査を進めてきました。しかし、調査対象となるナスカ台地は約400平方キロメートルと広大です。人間がすべての地表を歩いて調べるには、膨大な時間が必要でした。
2024年:AIを活用して303点の地上絵を発見
2024年9月、山形大学とIBM Researchの共同研究成果が、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されました。
この研究では、航空画像などの膨大なデータをAIで分析し、地上絵が存在する可能性の高い場所を絞り込む手法が採用されました。従来のように人間がすべての画像を一枚ずつ確認するのではなく、AIが候補地点を提示し、考古学者が実際に現地へ赴いて確認する仕組みです。
その結果、わずか6か月の現地調査で303点の新たな具象的地上絵が確認されました。従来、約1世紀をかけて確認されていた430点に近い数が、短期間で発見されたことになります。
この研究では、AIが1309か所の有力候補を抽出し、その一部を現地調査することで新たな発見につなげました。発見効率は従来の調査方法に比べて大きく向上しています。
2025年7月:さらに248点が新発見され、総数893点へ
次の大きな発表は、2025年7月28日でした。大阪・関西万博のペルー館で、山形大学の坂井正人教授らによる新たな研究成果が発表されました。
2023年と2024年に実施されたAI支援の現地調査によって、ナスカ台地で248点の地上絵が新たに確認されたのです。
ここで重要なのは、248点すべてが動物や人間を描いた絵ではないことです。内訳には幾何学模様なども含まれており、動物や人間などを表現した具象的な地上絵は160点でした。この発見によって、確認済みの具象的地上絵は合計893点に達しました。
なお、2024年のPNAS論文にも「少なくとも248点の追加発見が期待できる」という推計が登場します。これは未調査候補から将来発見されると見込まれた数です。2025年7月に発表された248点は、別途実施された現地調査で確認された発見数であり、両者を混同してはいけません。
2026年の研究は「発見」から「解読」へ
2026年は、単純に地上絵の数を増やすだけでなく、図像の組み合わせや配置が持つ意味を解読する研究が重要になっています。
2026年5月には、National Geographicも山形大学とIBMによるAI研究を取り上げました。大型の動物を描いた地上絵と巡礼・儀礼の場所との関係、小型の地上絵と歩行路との関係など、地上絵を実際に利用した人々の視点から考える解釈が紹介されています。
また、山形大学の坂井教授が研究代表者を務める2025~2030年度の科研費基盤研究Aでは、「ナスカの地上絵を用いた『読み書き』行為の実態解明」を研究課題に掲げています。AIと現地調査を組み合わせ、文字を持たなかった古代社会が図像によって情報を伝えていた可能性を検証する研究です。
【制作目的の核心】ナスカの地上絵はなぜ作られた?信仰と小道の配置が示す答え
ナスカの地上絵の意味を考えるうえで、最も重要なのは、すべての地上絵に一つの目的を当てはめないことです。
大きな動物の地上絵と、小さな人間や家畜を描いた地上絵では、描かれた場所や大きさ、周囲の道との関係が異なります。山形大学とIBMの研究は、こうした違いに注目することで、地上絵が複数の役割を持っていた可能性を示しています。
有力説1:神々への祈りと農業の豊穣を願う儀礼
ナスカ地方は乾燥した地域で、農業を営む人々にとって水の確保は生活に直結する問題でした。ナスカ文化の人々は灌漑や井戸を利用して農業を営み、リャマなどの家畜も飼育していました。
古代アンデスの宗教観では、水、雨、山、動物、植物など自然の力が重要な意味を持っていました。自然環境に左右される農業社会において、豊作や水の確保を願う儀礼が重要だったと考えられています。
この背景から、地上絵も自然の力や豊穣を願う宗教的活動と結び付いていたという解釈が生まれました。
コンドルや鳥、ネコ科動物、魚などが描かれていることも興味深い点です。空、陸、水に関係する動物の図像は、古代ナスカの人々が自然界をどのように理解していたかを考える手がかりになります。
有力説2:巡礼や集団儀礼のための場所
巨大な直線や台形状の地上絵は、単に遠くから眺めるためのものではなく、人々が歩いたり集まったりする儀礼空間だった可能性があります。
2024年のPNAS研究では、大型の線タイプの地上絵には野生動物の図像が多く、直線や台形状の地上絵が構成するネットワークとの関連が確認されました。
研究チームは、これらが共同体規模の儀礼活動に利用された可能性を指摘しています。2026年のNational Geographicの記事でも、巨大な動物の図像と聖地への巡礼ルート、集団儀礼の場所との関連が紹介されています。
つまり、巨大な地上絵は、古代の人々が集まり、歩き、祈るための空間の一部だった可能性があるのです。
有力説3:小道を歩く人々に伝えるメッセージ
2025年の248点発見で特に注目されたのが、小道に沿って並ぶ小型の地上絵です。
人間、神官、斬首された頭部、リャマ、猛禽類などが、特定の小道の周辺に繰り返し描かれていました。
研究チームは、これらが無作為に配置されたものではなく、道ごとに特定のテーマを持っていた可能性を指摘しています。地上絵を単独の芸術作品ではなく、複数の図像を組み合わせて情報を伝える媒体として捉える考え方です。
この解釈が正しければ、地上絵は古代の人々にとって、現代の看板や絵物語、共有された記憶を伝える視覚的なメディアに近い役割を持っていたことになります。
【248点の内訳を徹底分析】神官・斬首・リャマと小道の関係とは?
2025年に発見された248点の内訳を見ると、ナスカの地上絵が単なる動物図鑑ではないことが分かります。人間、斬首、家畜、野生動物、幾何学模様が混在しており、それぞれが異なる意味を持っていた可能性があります。
新発見248点の具体的な内訳
| モチーフ・種類 | 新発見数 | 研究上の注目点 |
|---|---|---|
| 人間 | 41点 | 人物や人間の活動を表現 |
| 斬首の場面 | 31点 | 人身供犠や儀礼との関連が注目される |
| リャマ | 21点 | 家畜や生活、社会活動との関連 |
| その他の動物 | 66点 | 猛禽類やネコ科動物など多様な図像 |
| 留めピンのモチーフ | 1点 | 道具に関係する図像 |
| 幾何学模様 | 81点 | 空間構成や図形表現との関連 |
| その他 | 7点 | 上記に分類されない図像 |
| 合計 | 248点 | うち160点が具象的な地上絵 |
特に注目したいのは、248点のうち人間や斬首に関係する図像が合計72点あることです。さらにリャマやその他の動物も多数確認されています。
地上絵の意味を読み解くには、こうしたモチーフを一つずつ調べるだけでなく、どの小道の近くに描かれ、何と一緒に配置されているかを考える必要があります。
地上絵と小道の配置に見える3つのテーマ
1. 人身供犠に関係するテーマ
斬首された頭部と、それを手に持つ人物の図像が同じ小道の周辺に繰り返し現れるケースがあります。研究チームは、このようなまとまりを人身供犠に関係するテーマとして解釈しています。
2. 野生の鳥に関係するテーマ
別の小道では、猛禽類などの鳥の図像が目立ちます。鳥は古代アンデスの宗教的な図像世界で重要な存在であり、自然の力や神聖な存在との関係を考える材料になります。
3. 家畜に関係するテーマ
リャマを中心に描いた地上絵のまとまりも確認されています。リャマは古代アンデス社会における重要な家畜で、物資の運搬や生活、儀礼などに関わっていました。
小道ごとに異なる図像が選ばれていたのであれば、人々は道を歩きながら、特定の物語や信仰に関する情報を順番に目にしていた可能性があります。
線タイプと面タイプでは役割が違う?
2024年のPNAS研究では、地上絵を大きく線タイプと面タイプに分け、その分布や図像の特徴を比較しています。
線タイプは、地面に一本の線を引くように輪郭を描く大きな図像です。野生動物が多く、直線や台形状の地上絵のネットワークと関連しています。
一方、面タイプは、地表の明暗を利用して人物や動物などを表現する比較的小型の図像です。人間、斬首された頭部、家畜など、人間の活動に関係するモチーフが多く、小道から見える位置に分布しています。
PNASの研究では、面タイプの具象的地上絵の81.6%が人間に関係するモチーフや、人間によって変化させられた対象を描いていました。内訳には人型が33.8%、斬首された頭部が32.9%、家畜のラクダ科動物が14.9%含まれています。
この違いは、巨大な地上絵が集団的な儀礼に、小型の地上絵が個人や小集団の活動に関係していたという仮説を支えています。
【宇宙人説の真相】ナスカの地上絵は異星人のために作られたのか
ナスカの地上絵を語るとき、必ず登場するのが宇宙人説です。
巨大な図形が上空から見ると鮮明に分かることや、地上からでは全体像を把握しにくいことから、古代人が自力で制作できるはずがないという疑問が生まれました。
しかし、現在の考古学や地上絵研究では、宇宙人が制作に関与したことを示す証拠は確認されていません。
なぜ宇宙人説が広まったのか
宇宙人説が広まった背景には、巨大な地上絵を上空から眺める映像のインパクトがあります。特に、長い直線や巨大な動物の図像は、飛行機から見たときに全体像が分かりやすく、現代人に強烈な印象を与えました。
また、地上絵の制作年代と、航空機が登場する時代との大きな隔たりも、想像を刺激する要因になりました。
ただし、地上絵のすべてが上空からしか見えないわけではありません。小型の面タイプの図像は小道の近くに分布しており、地上を歩く人々が見ることを想定していた可能性があります。
古代人の測量技術で制作できた
地上絵は、地表の小石を取り除いて明るい土壌を露出させるという、現地の環境を利用した方法で作られています。
さらに、直線や図形を作るためには、杭やロープなどを用いた測量技術が役立ちます。地上絵の一部が巨大だからといって、必ずしも航空機や高度な機械が必要だったわけではありません。
実際に、古代文明では建築物や道路、天体観測施設などを正確に設計するための幾何学的な知識が発達していました。
宇宙人説と天文学説は同じではない
混同されやすいのが、宇宙人説と天文学説です。
天文学説は、地上絵の一部が太陽や星の動き、季節の変化などと関係していた可能性を考える学術的な仮説です。宇宙人が作ったという話とは、まったく異なるものです。
ユネスコも地上絵について、儀礼や天文学に関連する機能があった可能性を紹介しています。ただし、すべての線や図像が天体観測のために作られたと確定しているわけではありません。
現在の研究では、天文学だけでなく、巡礼、儀礼、農業、共同体の情報伝達など、複数の視点から地上絵の意味が検討されています。
【人身供犠と古代ナスカの信仰】斬首やリャマの絵が伝える社会の実像
ナスカの地上絵には、現代の感覚では理解しにくい図像も存在します。その代表が、斬首された頭部や、それを手に持つ人物の表現です。
2025年に発見された地上絵でも、斬首に関係する図像は31点確認されています。これは、古代ナスカ社会の宗教観や儀礼を考えるうえで重要な手がかりです。
人身供犠と斬首された頭部の関係
古代アンデス社会では、首級や斬首された頭部が宗教的・象徴的な意味を持っていたことが、考古学的な研究から分かっています。
ナスカ文化についても、儀礼的な首級の取り扱いや、頭部を伴う図像が確認されています。こうした表現は、死や再生、豊穣、社会的な権威などと関係していた可能性があります。
ただし、地上絵に斬首の場面が描かれていることと、特定の儀礼で実際にどのような犠牲が行われたかは、別々に考える必要があります。図像だけで個々の儀礼の詳細まで確定できるわけではありません。
重要なのは、斬首の図像がほかの地上絵と一緒に小道沿いに配置されている点です。そこには、古代の人々が共有していた信仰や社会的な記憶が反映されていた可能性があります。
リャマの地上絵が示す生活と信仰
リャマはアンデス地域を代表する家畜です。古代ナスカ社会でも、生活や物資の運搬などに利用されていました。
今回の248点の新発見には、リャマを描いた地上絵が21点含まれています。
興味深いのは、リャマの図像が小道の近くに見つかっていることです。研究チームは、こうした図像が家畜という特定のテーマを表現していた可能性を指摘しています。
もし地上絵が小道を歩く人々へのメッセージだったなら、家畜に関する図像は、当時の生活や生業を伝える情報の一部だったのかもしれません。
文字を持たない社会における図像の役割
古代アンデス文明には、現代のアルファベットや漢字のような一般的な文字体系が存在しませんでした。
そのため、社会の重要な情報や信仰、物語を伝える方法として、土器、織物、石彫、壁面の図像などが重要な役割を果たしていました。
ナスカの地上絵も、その延長線上に位置付けられる可能性があります。
2026年に山形大学が紹介している研究テーマも、地上絵を用いた「読み書き」行為の解明です。地上絵を文字の代用品と単純化するのではなく、図像と場所、人々の行動が一体となった情報伝達の仕組みとして理解しようとしています。
【2026年以降の研究課題】未発見の地上絵と世界遺産保護の問題
ナスカの地上絵の研究は、まだ終わっていません。AIによる画像解析で候補を抽出できても、実際に地上絵であるかどうかは、現地調査による確認が必要です。
2025年7月の山形大学の発表でも、AIによって特定された候補のうち、500点以上が未調査として残されていることが示されました。
AIは考古学者の代わりではない
AIの役割は、地上絵を自動的に発見して意味まで解読することではありません。
画像の特徴から候補地を抽出し、研究者が調査すべき場所を効率的に絞り込むことが主な役割です。
その後、考古学者が現地で地形や土壌、図像の形状、周辺の小道などを確認します。さらに、ほかの地上絵や遺物との関係を調べることで、制作年代や用途の推定を進めます。
AIの分析結果と考古学的な現地検証を組み合わせることが、今後の発見を支える重要な方法です。
地上絵を脅かす自然災害と人間の活動
地上絵は乾燥した環境によって長期間保存されてきましたが、永久に安全というわけではありません。
大雨による鉄砲水や土砂の流入は、地表に描かれた図像を損傷させる危険があります。また、道路建設や無許可の立ち入りなど、人間の活動も保存上の問題となります。
2024年には、山形大学とIBMの研究者らがリモートセンシングやAI、洪水シミュレーションを利用した文化遺産保護の研究も発表しています。
地上絵の位置を正確に記録し、浸水や侵食の危険がある場所を特定することは、将来の保護活動にもつながります。
2026年の研究は何を目指しているのか
2026年10月、山形大学は古代アンデスの図像表現や宗教をテーマにした国際学術講演会を告知しました。11月7日に開催予定のこの講演会では、地上絵だけでなく、石彫、土器、土偶なども取り上げ、古代社会で宗教的な世界観がどのように共有されたかを考察します。
また、山形大学の2026年度公開講座でも、衛星画像、航空写真、AI、現地調査を組み合わせた発見方法や、地上絵と小道の関係が研究テーマとして取り上げられています。
こうした動きから見えてくるのは、今後の研究の中心が、地上絵の数を増やすことだけではなく、古代の人々がどのように図像を見て、歩き、意味を共有していたかを解明する方向へ進んでいることです。
【ナスカの地上絵謎】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ナスカの地上絵は誰が作ったのですか?
A1:南米ペルー南部に暮らしていた古代の人々が制作しました。主にパラカス文化からナスカ文化にかけての長い時期に作られ、現在では古代アンデス社会の宗教や儀礼と関係する文化的遺産として研究されています。
Q2:ナスカの地上絵はなぜ作られたのですか?
A2:有力な解釈は、宗教的な儀礼、巡礼、農業や豊穣への祈り、共同体の情報伝達などです。2025年の新発見では、小道沿いの図像に人身供犠、野生の鳥、家畜といったテーマが見られ、物語やメッセージを伝えていた可能性が注目されています。
Q3:ナスカの地上絵は宇宙人が作ったのですか?
A3:宇宙人が制作したことを裏付ける考古学的証拠はありません。地表の暗い小石を取り除き、明るい土壌を露出させる方法で制作できることが分かっています。古代の測量技術を利用すれば、巨大な図形も制作可能です。
Q4:ナスカの地上絵は現在何点ありますか?
A4:2025年7月の山形大学の発表では、動物や人間などを描いた具象的な地上絵は893点です。同時に発見された248点には幾何学模様なども含まれ、すべてが具象的な地上絵というわけではありません。
Q5:2025年に発見された248点には何が描かれていましたか?
A5:人間41点、斬首31点、リャマ21点、その他の動物66点、留めピン1点、幾何学模様81点、その他7点です。このうち160点が具象的な地上絵でした。
Q6:ナスカの地上絵の研究で山形大学が注目される理由は何ですか?
A6:坂井正人教授らを中心に、衛星画像や航空写真、ドローン、IBMと共同開発したAI技術を活用して大規模な調査を進めているためです。地上絵の発見だけでなく、図像の配置や小道との関係、古代社会の情報伝達の解明にも取り組んでいます。
まとめ:ナスカの地上絵の謎は宇宙人ではなく古代人の社会にある
ナスカの地上絵の謎は、宇宙人が作ったのかどうかという話だけでは説明できません。現在の研究が明らかにしつつあるのは、古代ナスカの人々が地上絵を通じて、信仰や儀礼、家畜、自然、共同体の記憶を表現していた可能性です。
特に重要なのが、山形大学とIBMによるAI支援調査です。2024年の303点の発見に続き、2025年7月には248点が新たに確認され、具象的な地上絵は893点に達しました。
さらに、神官、斬首された頭部、猛禽類、リャマなどが小道に沿ってテーマ別に配置されていたという発見は、地上絵を単独の芸術作品として見る従来の視点を大きく変えるものです。
2026年の研究では、AIによる発見から、図像の組み合わせや人々の歩行、儀礼、情報伝達の仕組みを解読する段階へと進んでいます。
今後、未調査の候補地が確認されれば、古代ナスカの人々が何を信じ、どのような物語を共有し、なぜ砂漠に巨大な図像を残したのかについて、さらに具体的な手がかりが得られるかもしれません。
ナスカの地上絵の本当の魅力は、巨大な絵そのものだけではなく、その絵を描き、歩き、見つめた古代の人々の暮らしが、約2000年の時を超えて今も研究できることにあります。
砂漠に残された謎は、宇宙からのメッセージではなく、古代アンデスの人々が後世に残した文化と記憶を読み解くための手がかりなのです。
主な根拠資料・研究発表
- 山形大学「2025年7月28日・ナスカ地上絵248点新発見」の公式発表。
- 2024年PNAS掲載論文「AI-accelerated Nazca survey」。
- ユネスコ世界遺産センター「Lines and Geoglyphs of Nasca and Palpa」。
- National Geographic、2026年5月11日掲載のナスカ地上絵とAI研究の解説。
- 山形大学の2026年度研究・国際学術講演会情報。 (出典: ナスカ の 地上 絵 謎(Yahoo!ニュース))