「かけ子(掛け子)」とは、特殊詐欺グループの中で被害者に電話をかけ、警察官や親族、金融機関の職員などになりすまして金銭をだまし取る役割を担う人物です。特殊詐欺では、電話をかける「かけ子」、現金やキャッシュカードを受け取る「受け子」、ATMから現金を引き出す「出し子」などが分業し、組織的に犯行を進めます。電話で話すだけの役割に見えても、被害者を欺く犯罪の重要な実行部分を担っているため、詐欺罪の責任を問われる可能性があります。
2026年も特殊詐欺の被害は深刻です。警察庁が2026年10月2日に公表した8月末時点の暫定統計では、特殊詐欺の認知件数は29,687件、被害額は2,360.7億円に達しました。なかでも警察官を装って現金を要求する「ニセ警察詐欺」は、被害額が728.6億円に上っています。かけ子の仕事内容や受け子・出し子との違い、闇バイトとの関係、逮捕された場合の刑罰、被害を防ぐための具体策を、公的資料と2026年の報道をもとに解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- かけ子の役割:特殊詐欺グループで電話を担当し、うその説明で被害者を信用させ、現金やキャッシュカードなどをだまし取る人物。
- 受け子・出し子との違い:かけ子は電話による欺罔、受け子は現金などの受け取り、出し子はATMなどでの現金引き出しを担当する。
- 2026年の被害状況:警察庁の8月末統計では特殊詐欺の被害額が2,360.7億円。ニセ警察詐欺だけでも728.6億円に達している。
- 刑事責任:かけ子も詐欺の共犯・共同正犯として処罰される可能性があり、詐欺罪の法定刑は10年以下の拘禁刑。
- 被害防止:警察官を名乗る電話で送金や資産の移動を要求されたら応じず、電話を切って警察相談専用電話「#9110」に相談する。
【基礎知識】かけ子とは?特殊詐欺グループにおける役割と仕事内容
かけ子とは、特殊詐欺の犯行グループで電話をかける役割を担当する実行犯です。「架け子」とも表記され、被害者に直接会わず、電話や通信アプリを通じて相手を信用させることを主な役割としています。
特殊詐欺では、犯人が最初から自分の正体を明かすことはありません。警察官、検察官、銀行員、自治体職員、弁護士、家族などを装い、相手の不安や信頼関係につけ込んで金銭を要求します。
かけ子の主な仕事内容
かけ子の中心的な役割は、被害者に虚偽の情報を伝え、金銭やキャッシュカードなどを渡す必要があると思い込ませることです。
特殊詐欺の組織では、電話をかける人物が被害者との最初の接点になることが多く、その後の犯行に大きく影響します。
代表的な役割は次のとおりです。
- 電話による接触:親族や警察官、金融機関職員などを装い、被害者に接触する。
- 虚偽の説明:事故、事件、口座の不正利用、未納料金など、事実ではない情報を伝える。
- 信用の獲得:相手の不安や焦りにつけ込み、犯人の説明を信じ込ませる。
- 金銭要求への誘導:現金の受け渡しや振り込みなどを求める。
- 組織内の連携:ほかの実行犯や指示役と関わり、犯行の一部を担う。
かけ子が活動する場所は国内に限りません。警察庁の2026年4月公表「令和7年における組織犯罪の情勢」では、カンボジアなど海外の拠点から特殊詐欺を行うグループの存在や、日本人のかけ子を勧誘・管理する実態が取り上げられています。
かけ子は単なる電話オペレーターではない
かけ子という名称から、電話をかけるだけの補助的な仕事を想像する人もいるかもしれません。しかし、特殊詐欺において電話による虚偽の説明は、被害者に財産を交付させるための重要な行為です。
実際に被害者と顔を合わせず、現金を直接受け取らなかったとしても、詐欺の実行に関与した責任がなくなるわけではありません。
電話の向こうにいる被害者にとって、かけ子の言葉は、資産を失うきっかけになる深刻なものです。
【役割を徹底比較】かけ子・受け子・出し子は何が違う?
特殊詐欺グループでは、犯行を複数の工程に分け、それぞれに異なる役割を持つ人物を配置することがあります。
代表的なのが、かけ子・受け子・出し子の3つです。いずれも特殊詐欺に関係する実行役ですが、担当する仕事と被害者との接触方法が異なります。
かけ子・受け子・出し子の違い一覧
| 役割 | 主な仕事内容 | 犯行における位置付け | 主な法的責任 |
|---|---|---|---|
| かけ子 | 電話でうその説明をして被害者をだます | 電話による欺罔行為 | 詐欺罪など |
| 受け子 | 被害者から現金やキャッシュカードなどを受け取る | 財産の直接的な受け取り | 詐欺罪・窃盗罪など |
| 出し子 | だまし取ったカードなどを使ってATMから現金を引き出す | 被害金の現金化 | 窃盗罪など |
| 指示役 | 実行犯への指示や犯行全体の管理を担う | 組織的な犯行の統括 | 詐欺罪の共犯など |
| リクルーター | SNSや求人を通じて実行犯を勧誘する | 人員の確保 | 関与内容に応じた共犯など |
この分業構造は、警察庁や法務省が公開している特殊詐欺の解説資料でも確認できます。法務省の検察官による組織犯罪の解説では、架け子、受け子、出し子のほか、現金の回収・運搬役、勧誘役、犯行に使う道具の準備役など、細かく役割が分かれている実態が説明されています。
かけ子と受け子の違い
最も大きな違いは、被害者と接触する方法です。
かけ子は電話を通じて被害者をだます役割を担います。一方、受け子は被害者の自宅などに赴き、現金やキャッシュカードを直接受け取る役割です。
オレオレ詐欺では、電話で親族になりすました人物が金銭を要求し、その後、別の人物が代理人などを装って現金を受け取りに来るケースがあります。
つまり、電話で被害者をだます人物と、実際に金銭を受け取る人物が別々になっている場合があるのです。
かけ子と出し子の違い
かけ子と出し子も、担当する工程が異なります。
かけ子は電話によって被害者を欺く役割ですが、出し子は特殊詐欺で入手したキャッシュカードなどを使い、ATMから現金を引き出す役割です。
出し子は、カードを不正に使用して現金を引き出す行為について、窃盗罪などの責任を問われる可能性があります。
なお、これらの役割は必ずしも完全に分離されているわけではありません。同じ人物が複数の役割を担う事件もあり、役割名だけで刑事責任の範囲が決まるわけではありません。
特殊詐欺グループはどのように分業しているのか
犯行グループの上層には首謀者や指示役が存在し、その下で電話担当、現金受け取り担当、現金引き出し担当などが活動する構造が確認されています。
特徴的なのは、実行犯同士がお互いの本名や素性を知らないまま、匿名性の高い通信手段を通じて指示を受けるケースがあることです。
そのため、末端の実行犯を逮捕するだけでは組織全体の解明に至らず、警察は資金の流れや指示系統を追いながら上位の人物の特定を進めています。
【2026年最新】特殊詐欺の被害状況とニセ警察詐欺の深刻な実態
2026年の特殊詐欺を理解するうえで、特に注目すべきなのがニセ警察詐欺の被害です。
警察庁が2026年10月2日に公表した「令和8年8月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」によると、2026年1月から8月末までの認知件数は29,687件、被害額は2,360.7億円でした。
2026年8月末時点の特殊詐欺統計
警察庁の公表資料に掲載された主な手口別の数値は次のとおりです。
- SNS型投資詐欺:7,097件、被害額937.4億円。
- ニセ警察詐欺:6,346件、被害額728.6億円。
- SNS型ロマンス詐欺:3,506件、被害額325.8億円。
- 架空料金請求詐欺:4,211件、被害額97.5億円。
- オレオレ詐欺:2,739件、被害額104.2億円。
特に注目したいのは、ニセ警察詐欺の認知件数が前年同期比で4.1%減少した一方、被害額は27.0%増加している点です。件数の減少だけで被害が改善していると判断することはできません。
また、2026年の警察庁統計では、ニセ警察詐欺が独立した手口として整理され、SNS型投資・ロマンス詐欺も特殊詐欺の一手口として位置付けられています。過年度の統計とは分類に違いがあるため、長期比較では集計方法にも注意が必要です。
ニセ警察詐欺の被害額は上半期だけで507.9億円
警察庁の2026年上半期の暫定統計では、ニセ警察詐欺の被害額は507.9億円でした。181日間で計算すると、1日当たり約2.8億円が失われた計算になります。
同資料では、ニセ警察詐欺の最初の接触手段の9割以上を電話が占めていることも示されています。被害額・認知件数ともに70代が最多である一方、若い世代にも被害が広がっています。
政府広報オンラインが2026年10月30日に公開した注意喚起でも、携帯電話と固定電話の双方が悪用され、警察官になりすました人物がSNSやビデオ通話に誘導する手口が取り上げられています。
警察庁が進める特殊詐欺対策
警察庁は、実行犯の検挙だけでなく、匿名・流動型犯罪グループの中核人物や資金の流れを解明する対策を進めています。
2025年10月には、警察庁に「匿名・流動型犯罪グループ情報分析室」が設置されました。また、警視庁には全国警察の捜査員による「匿流ターゲット取締りチーム(T3)」が新設されています。
さらに、都道府県警察をまたぐ捜査を進める「特殊詐欺連合捜査班(TAIT)」も構築されています。警察庁の2026年4月公表資料によると、重点7都府県では約500人の捜査員を配置し、2025年中にTAITを活用した特殊詐欺などの検挙件数は533件でした。
このような対策の背景には、電話をかける人物だけでなく、実行犯を募集する人物、拠点を管理する人物、資金を移動させる人物まで含めて組織を解体しなければ、同じ手口が繰り返されるという問題があります。
【被害防止】オレオレ詐欺・ニセ警察詐欺の手口と見分け方
かけ子による電話詐欺で重要なのは、相手の身分や説明を疑う余裕を被害者から奪うことです。
突然の電話で不安をあおり、冷静に家族や警察へ確認する時間を与えず、金銭の受け渡しや送金を求めるケースがあります。
オレオレ詐欺の代表的な手口
オレオレ詐欺は、親族や親族の関係者になりすまし、事故やトラブルなどを理由に金銭を要求する特殊詐欺です。
代表的なパターンには、次のようなものがあります。
- 息子や孫を名乗り、仕事上のトラブルや事故でお金が必要になったと説明する。
- 弁護士や会社関係者を名乗る人物が登場し、示談金や損害賠償金を要求する。
- 本人が電話に出られないなどと説明し、代理人への現金の受け渡しを求める。
- 家族には内緒にするよう求め、第三者への相談を妨げる。
電話の相手が家族の名前や勤務先などを知っていても、本人である証拠にはなりません。個人情報を何らかの方法で入手している可能性があるためです。
ニセ警察詐欺の実態と巧妙な手口
2026年に特に警戒したいのが、警察官や検察官などを装うニセ警察詐欺です。
警察庁の注意喚起によると、犯人は「あなたの口座が犯罪に使われている」「携帯電話が不正に契約されている」などと説明し、被害者に捜査対象になっていると思い込ませます。
その後、資産を保護する、口座を調査するなどの名目で現金の振り込みを要求するケースがあります。
また、電話会社や総務省などを名乗る人物から連絡が入り、その後に警察官役へ電話が引き継がれるパターンも確認されています。
近年は、SNSやビデオ通話を利用して偽の警察手帳や逮捕状を見せる手口もあります。制服姿の人物が画面に映っていても、実際の警察官である証明にはなりません。
本物の警察官とニセ警察官を見分けるポイント
警察庁が明らかにしている注意点を整理すると、次のようになります。
- 電話で捜査対象だと告げる:電話で捜査対象になっている、逮捕されるなどと伝える手口は詐欺を疑う。
- SNSでの連絡を求める:警察官がメッセージアプリで捜査の連絡をすることはない。
- 突然ビデオ通話をかける:個人のスマートフォンに突然ビデオ通話をして捜査を説明することはない。
- 警察手帳や逮捕状の画像を送る:画像を見せて信用させようとする手口に注意する。
- 現金や資産の移動を要求する:警察が捜査を理由に個人へ送金や現金の引き渡しを求めることはない。
さらに注意したいのが、電話番号の偽装です。実在する警察署や警察本部の代表番号が着信画面に表示されるケースも確認されています。
そのため、表示された番号だけで本物と判断してはいけません。いったん電話を切り、自分で調べた警察署の代表番号にかけ直すことが大切です。
怪しい電話を受けたときの具体的な対処法
警察官や家族を名乗る相手から金銭を要求された場合は、その場で判断しないことが基本です。
- 電話やビデオ通話を切る。
- 相手から教えられた番号には折り返さない。
- 家族や信頼できる人に連絡し、説明内容を確認する。
- 最寄りの警察署または警察相談専用電話「#9110」に相談する。
- すでに送金した場合は、速やかに警察と金融機関に連絡する。
警察への相談は、事件が確定していなくても可能です。緊急性のない相談は#9110、犯罪が進行中で身の危険がある場合などの緊急通報は110番を利用してください。
【闇バイトとの関係】かけ子を生み出す匿名・流動型犯罪グループの実態
かけ子の問題を理解するには、特殊詐欺の実行犯がどのように集められているかにも目を向ける必要があります。
その背景にあるのが、いわゆる「闇バイト」と「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」です。
闇バイトは普通のアルバイトではない
闇バイトとは、SNSや求人サイトなどで高額報酬をうたい、特殊詐欺や強盗などの犯罪に加担させる違法な募集を指します。
募集時には、仕事内容を曖昧にしたまま「高収入」「即日即金」「簡単な仕事」「荷物を受け取るだけ」などと説明するケースがあります。
応募後に匿名性の高い通信アプリへ誘導され、本人だけでなく家族や友人の個人情報まで要求されることもあります。個人情報を握られた後、家族に危害を加えると脅され、犯罪から抜け出せなくなる危険があります。
匿名・流動型犯罪グループとは何か
匿名・流動型犯罪グループは、警察などで「トクリュウ」とも呼ばれる犯罪集団です。
従来型の組織犯罪と異なり、SNSや求人サイトなどを通じて緩やかにつながり、必要に応じて実行犯を募集する特徴があります。
警察庁の「令和7年における組織犯罪の情勢」では、資金獲得活動の中核部分が匿名化され、末端の実行犯を入れ替えながら犯罪を繰り返す実態が説明されています。
特殊詐欺では、首謀者や指示役が匿名性の高い通信手段を利用し、実行犯の身元や連絡の痕跡を隠そうとする傾向も確認されています。
危険な求人を見分ける5つのサイン
警察庁は、正規の求人サイトに掲載された募集であっても、犯罪に加担させる有害求人が存在すると注意喚起しています。
特に次の特徴がある募集には警戒が必要です。
- 仕事内容が不明確:何を運ぶのか、誰と仕事をするのか、具体的な説明がない。
- 報酬が不自然に高い:簡単な作業にもかかわらず、仕事内容と釣り合わない高額報酬を提示する。
- 匿名性の高いアプリを要求する:応募や契約の段階でTelegramやSignalなどの利用を指示する。
- 個人情報を執拗に求める:本人だけでなく、家族や友人の情報まで要求する。
- 募集内容と実際の仕事が違う:面接時の説明と異なる作業を指示される。
警察庁は、このような求人に遭遇した場合、相手との連絡を続けず、警察に相談するよう呼びかけています。
すでに応募してしまった場合も、犯罪に加担する前に相談することが大切です。脅迫や個人情報の悪用が心配な場合は、そのことも警察に伝えてください。
【プロの結論】かけ子の逮捕と詐欺罪の刑罰・法的責任
かけ子として特殊詐欺に関与した場合、実際に現金を受け取っていなくても、詐欺罪の共犯や共同正犯として刑事責任を問われる可能性があります。
「電話をかけただけ」「指示されたとおりに話しただけ」「自分は組織の末端だった」という事情だけで、犯罪への関与が免責されるわけではありません。
かけ子に適用される詐欺罪とは
刑法246条は、他人を欺いて財物を交付させた行為を詐欺罪として定めています。
2025年6月1日から懲役刑と禁錮刑が廃止され、拘禁刑が導入されました。2026年現在、詐欺罪の法定刑は10年以下の拘禁刑です。
さらに、刑法250条では詐欺罪の未遂も処罰対象とされています。被害者が途中で詐欺に気付いた場合や、送金が未完了だった場合でも、犯行の進行状況などによっては詐欺未遂罪が成立する可能性があります。
電話をかけただけでも共犯になるのか
詐欺罪の成立では、本人が犯罪の事実を認識していたか、ほかの人物とどのような意思を共有していたか、実際にどのような行為をしたかなどが判断されます。
例えば、詐欺グループの計画を理解したうえで警察官や親族になりすまし、被害者を欺く電話をかけていた場合、詐欺の実行に重要な役割を果たしたとして共同正犯などの責任を問われる可能性があります。
一方、犯罪への認識や関与の程度が争われる場合もあり、役割名だけで処罰の範囲が自動的に決まるわけではありません。最終的には、共犯関係や故意、具体的な行為などを証拠に基づいて判断します。
2026年にもかけ子に実刑判決
かけ子の刑事責任を考えるうえで参考になるのが、2026年10月24日に名古屋テレビが報じたカンボジア拠点の特殊詐欺事件です。
報道によると、同事件でかけ子として関与した被告に対し、名古屋地方裁判所は懲役5年の実刑判決を言い渡しました。
被告は2025年5月、カンボジアから愛知県の被害者に警察官を装った電話をかけ、マネーロンダリングへの関与を疑わせる虚偽の説明などをして、共犯者とともに約500万円をだまし取った罪などに問われていました。
報道では、裁判所が被害者の恐怖心につけ込んだ犯行の悪質性や、かけ子として被害者に接触する重要な役割を担ったこと、事件全体の被害額が約8,635万円に上ったことなどを指摘したと伝えられています。
この判決は、電話担当という立場であっても、犯行の重要な一部を担った場合には重い実刑判決があり得ることを示す事例です。
なお、この事件は2025年5月の犯行であり、報道上の刑名は懲役です。2025年6月1日以降の現行法では、刑罰の名称は拘禁刑に変更されています。
かけ子の刑罰は何によって変わるのか
実際の量刑は、次のような事情を総合的に考慮して判断されます。
- 詐欺グループの中で担っていた役割と重要性
- 犯行への関与期間や回数
- 被害者の人数と被害総額
- 犯罪計画をどこまで認識していたか
- 受け取った報酬や利益の程度
- 前科・前歴や犯行後の対応
- 被害弁償や反省の状況など
また、事件の内容によっては、詐欺罪だけでなく、窃盗罪、電子計算機使用詐欺罪、組織的犯罪処罰法違反などが問題になることもあります。
【プロの結論】かけ子は、組織の末端だから軽い責任で済むという立場ではありません。被害者をだます電話そのものが詐欺の重要な実行行為になり得るため、現金を直接受け取らないことや、海外の拠点から電話をかけていることは、犯罪の責任を免れる理由にはなりません。
また、闇バイトに応募してしまった人も、脅迫を受けているからといって一人で解決しようとする必要はありません。犯罪に加担する前に警察へ相談し、すでに関与してしまった場合も、速やかに弁護士や警察に相談することが重要です。
【よくある質問】かけ子とは何かに関するFAQ
Q1:かけ子とは簡単にいうと何ですか?
A1:特殊詐欺グループで電話をかけ、警察官や親族、金融機関職員などになりすまして被害者をだます役割の人物です。現金の受け取りを担当する受け子や、ATMから現金を引き出す出し子とは異なります。
Q2:かけ子は電話をかけるだけでも逮捕されますか?
A2:逮捕される可能性があります。詐欺の計画を認識し、被害者を欺く電話をかけるなど犯行に関与していた場合、詐欺罪の共同正犯や共犯として責任を問われることがあります。
Q3:かけ子の刑罰は何年ですか?
A3:詐欺罪の法定刑は10年以下の拘禁刑です。未遂も処罰対象です。ただし、実際の刑罰は被害額、犯行への関与、役割、前科などによって異なります。
Q4:警察官を名乗る電話が本物かどうか確認する方法はありますか?
A4:電話を切り、相手が教えた番号ではなく、自分で調べた警察署の代表番号にかけ直してください。警察官がSNSや突然のビデオ通話で捜査対象であることを伝えたり、捜査名目で送金を要求したりすることはありません。不安な場合は#9110に相談してください。
Q5:闇バイトに応募してしまった場合はどうすればよいですか?
A5:犯罪に加担する前に相手との連絡を止め、警察に相談してください。個人情報を渡してしまった場合や、家族への危害をほのめかされている場合も、その事実を警察に伝えましょう。差し迫った危険がある場合は110番を利用してください。
まとめ:かけ子の実態を知り、特殊詐欺から自分と家族を守る
かけ子とは、特殊詐欺グループの中で電話を担当し、虚偽の説明によって被害者を欺く人物です。受け子や出し子とは仕事内容が異なりますが、いずれも組織的な詐欺を成立させるための重要な役割を担っています。
2026年8月末時点で特殊詐欺の認知件数は29,687件、被害額は2,360.7億円に達しています。特にニセ警察詐欺は被害額728.6億円と深刻であり、電話やビデオ通話を使って警察官になりすます手口への警戒が欠かせません。
被害を防ぐために覚えておきたいのは、次の3点です。
- 電話だけで相手を信用しない:警察官や親族を名乗っていても、必ず別の手段で本人確認する。
- 金銭の要求には応じない:捜査や資産保護を理由にした送金、現金の引き渡し、資産移動の指示を受け入れない。
- 不安を感じたら警察に相談する:緊急でない相談は#9110、緊急時は110番を利用する。
また、「簡単に稼げる」「荷物を受け取るだけ」「電話をかけるだけ」といった求人にも注意が必要です。仕事内容が不透明で、匿名性の高い通信アプリや家族の個人情報を要求する募集は、犯罪への入り口になっている可能性があります。
特殊詐欺は、被害者の財産だけでなく、その後の生活や家族関係にも大きな影響を与える犯罪です。電話をかける側も、現金を受け取る側も、犯罪に関与すれば法的責任を問われる可能性があります。
「電話をかけただけなら大丈夫」「指示された仕事だから問題ない」という考えは通用しません。正しい知識を持ち、不審な電話や求人に接した段階で行動を止め、警察に相談することが、自分と大切な人を守るための第一歩です。
主な根拠資料: 警察庁「令和8年8月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について」「令和7年における組織犯罪の情勢」、法務省の組織犯罪に関する解説、e-Gov法令検索(刑法)、政府広報オンライン(2026年10月30日)、名古屋テレビ(2026年10月24日)。
(出典: かけ 子 と は(Yahoo!ニュース))