第61回上方漫才大賞は、2026年4月7日に大阪市内のCOOL JAPAN PARK OSAKAで開催された。大賞、奨励賞、新人賞の3部門で、それぞれ異なる世代の漫才師が栄冠を手にした。
ぼんちおさむ・里見まさと
賞金200万円
小林圭輔・友保隼平
賞金150万円
家村涼太・高松巧
賞金100万円
大賞はザ・ぼんち。1981年以来の快挙
ザ・ぼんちは、ぼんちおさむと里見まさとのコンビ。1972年に結成され、上方漫才の歴史を長く支えてきた存在だ。
1981年の第16回で初めて大賞を受賞し、今回が2度目。実に45年の時を経て、再び最高賞に選ばれた。
2026年の受賞を考えるうえで見逃せないのが、2025年の「THE SECOND」での決勝進出だ。芸歴16年以上の漫才師を対象とする大会でも存在感を示し、ベテランでありながら舞台に立ち続ける姿勢が話題となった。
カンテレの大会関連記事では、芸歴55年目を迎えても若手と同じ劇場で切磋琢磨する姿や、ぼんちおさむの自由奔放なボケと里見まさとの対応が、現在の漫才の魅力として紹介されている。
単に長く活動してきたことへの功労賞ではなく、現在進行形の漫才師として評価された点が、今回の受賞の大きな意味だ。
金属バットは奨励賞でM-1王者・たくろうを上回る
2026年の奨励賞は金属バットが獲得した。ノミネートされた5組の中には、2025年のM-1グランプリ王者であるたくろうも含まれていた。
大会では、たくろうが442点を記録。その後に登場した金属バットが482点を獲得し、40点差をつけて逆転した。
100人の観客審査員が各組のネタを5点満点で採点する方式で、500点満点のうち482点という高得点だった。披露したのは、大阪弁を前面に押し出した交通安全カルタのネタ。会場の大きな反応も印象的な場面となった。
金属バットにとっては、賞レースでの初優勝という意味でも大きな節目となった。
新人賞はぐろう。398点で1点差の勝利
新人賞は、家村涼太と高松巧によるぐろうが受賞した。5組のノミネートの中から選ばれ、賞金100万円を獲得している。
特に注目されたのは、2位となった例えば炎との接戦だ。ぐろうの得点は当初395点と発表されたが、集計システムの不具合が判明し、正しい点数である398点に訂正された。その後、例えば炎は397点と発表され、最終的にぐろうがわずか1点差で勝利した。
ぐろうは2026年のytv漫才新人賞決定戦でも優勝しており、関西の若手漫才界で勢いを見せている。今回の受賞によって、その実力をさらに広い層に示した。
【1966年創設】上方漫才大賞はいつから始まった?主催者と歴史
上方漫才大賞の始まりは、1966年。ラジオ大阪が、上方文化の一つである漫才を育て、その功績を顕彰する目的で設立した。
その後、1999年から関西テレビ放送が共同主催に加わった。2005年からはラジオ大阪と関西テレビによる同時生放送も始まり、ラジオとテレビの両方を通じて関西の漫才文化を届ける催しへと発展している。
現在では上方演芸界で最も長い歴史を持つ漫才賞の一つとして知られ、2026年に第61回を迎えた。
歴代大賞受賞者一覧・1966年から2026年まで
歴代の受賞者を見ると、上方漫才の主役が時代ごとに移り変わってきたことが分かる。創設当初は戦後の演芸文化を支えたベテラン勢が中心だったが、その後はテレビで人気を集めたコンビ、全国区の賞レースで活躍する若手・中堅コンビも名を連ねるようになった。
以下はラジオ大阪が公開している歴代受賞者一覧をもとに整理した、大賞受賞コンビ・グループの記録だ。
歴代受賞者から読み取れる漫才界の変化
初期の受賞者には、かしまし娘、海原お浜・小浜、夢路いとし・喜味こいし、横山やすし・西川きよしなど、上方演芸の基盤を築いた名コンビが並ぶ。
1980年代後半にはダウンタウンが1989年に大賞を獲得。若い世代の漫才師が賞の歴史に加わった象徴的な出来事だった。
2000年代以降は、ますだおかだ、フットボールアワー、中川家、ブラックマヨネーズなど、テレビや全国規模の賞レースでも活躍するコンビが増加。2010年代には千鳥、ダイアン、海原やすよ・ともこ、笑い飯などが受賞した。
2020年代には、かまいたち、ミルクボーイ、プラス・マイナス、銀シャリなどが大賞を獲得している。2026年のザ・ぼんちの再受賞は、こうした時代ごとの変化の中で、ベテランが再び第一線に立つという独自の意味を持つ。
なお、2020年の第55回はシャンプーハットが大賞を受賞した一方、新型コロナウイルス感染拡大防止のため奨励賞と新人賞の選考は中止となった。歴史を追う際には、この例外も押さえておきたい。
【選考基準と仕組み】大賞・奨励賞・新人賞は何が違う?
上方漫才大賞には、大賞、奨励賞、新人賞という3つの主要な賞がある。名前は似ているものの、評価の対象や受賞資格は異なる。
上方漫才界で年度を通じて、寄席・放送・舞台などで最も活躍した漫才師に贈られる賞。
年間を通じて活躍した漫才師が対象。これまでに大賞を受賞していない漫才師がノミネート対象となる。
年間を通じて活躍した新人漫才師が対象。結成年数10年目までという条件が設けられている。
新人賞と奨励賞の違いを整理
最も分かりやすい違いは、芸歴・活動年数と、過去の大賞受賞歴にある。
- 新人賞: 結成10年目までの若手漫才師が対象。
- 奨励賞: 大賞の受賞経験がない漫才師が対象。
- 大賞: 年間を通じた活動実績を評価する最高賞。
ここで注意したいのは、新人賞が単純に芸歴の短さだけで決まるわけではないことだ。公式説明では、年度を通じて最も活躍した新人に贈られる賞とされている。
また、奨励賞も大賞に次ぐ単なる順位付けではない。すでに活動実績を積み重ねている漫才師の中から、まだ大賞を獲得していないコンビを評価する役割を持っている。
2026年の選考はどのように進んだ?
第61回では、新人賞と奨励賞について、それぞれ5組がノミネートされた。3月7日にノミネートが発表され、4月7日の生放送で各組が漫才を披露した。
2026年の大きな変更点は、会場に集まった一般審査員100人が採点する方式を採用したことだ。各審査員が1組につき5点満点で投票し、合計500点満点で競った。
具体的な流れは次のとおり。
ノミネート発表
新人賞・奨励賞の候補を各5組選出。
会場でネタ披露
ノミネートされた各組が漫才を披露。
観客審査
一般審査員100人が各組を5点満点で採点。
集計・結果発表
合計得点をもとに新人賞・奨励賞の受賞者を決定。
大賞の発表
年間を通じた活動を評価する大賞も発表。
重要なのは、100人の観客審査が大賞を含むすべての賞に適用されるわけではない点だ。カンテレの大会情報で観客審査が案内されているのは、新人賞と奨励賞。大賞は年度を通じた活動実績を評価する賞として位置付けられている。
なお、大賞の内部選考に関する詳細な採点表や個別の評価配点は、公開情報からは確認できない。観客審査の点数と大賞の評価を同じ仕組みとして理解するのは正確ではない。
【2025年と2026年を比較】受賞者と大会形式はどう変わった?
第60回と第61回を比較すると、受賞者の顔ぶれだけでなく、大会の見せ方にも変化があったことが分かる。
| 比較項目 | 2025年第60回 | 2026年第61回 |
|---|---|---|
| 大賞 | 銀シャリ | ザ・ぼんち |
| 奨励賞 | ヘンダーソン | 金属バット |
| 新人賞 | 豪快キャプテン | ぐろう |
| 開催回数 | 第60回 | 第61回 |
| 主な特徴 | 60回の節目 | ゴールデンタイム生放送・観客審査 |
2025年は銀シャリ、2026年はザ・ぼんち
2025年の大賞は銀シャリ。2016年には同賞の奨励賞も受賞しており、若手・中堅時代の評価を経て大賞に到達したコンビの一つだ。
対して2026年のザ・ぼんちは、1981年の大賞受賞から45年を経て再び栄冠を手にした。両年の受賞者を比較すると、現在の漫才界を代表するコンビの実績だけでなく、長年にわたって舞台に立ち続ける芸人の存在感も見えてくる。
2026年はゴールデンタイムに進出
第61回の放送時間は、4月7日午後6時30分から午後9時まで。カンテレで生放送され、TVerでもスペシャルライブ配信が実施された。
これまで日曜昼間などに放送されてきた大会が、史上初めてゴールデンタイムに進出したことは大きな変化だ。
MCには海原やすよ ともこと中川家が起用された。さらに、過去の大賞受賞者であるブラックマヨネーズの吉田敬、フットボールアワーの岩尾望、銀シャリの橋本直がアンバサダーとして参加した。
単に受賞者を発表する場から、ベテラン・中堅・若手が一堂に会して漫才を見せる大型エンターテインメント番組へと、演出面でも新しい方向性が示された。
【受賞者の経緯と注目点】ザ・ぼんち・金属バット・ぐろうの魅力
ザ・ぼんち:45年の時間を超えた再評価
ザ・ぼんちの魅力は、長いキャリアを持ちながら、漫才の型にとらわれず挑戦を続けているところにある。
ぼんちおさむの勢いのあるボケに対して、里見まさとが状況を立て直そうとする掛け合いは、コンビならではの個性を生み出している。
1981年の初受賞時と2026年では、漫才を取り巻く環境も、テレビや劇場のあり方も大きく変わった。それでも同じコンビが再び大賞に選ばれたことは、過去の実績だけでなく、今の舞台で笑いを生み出せる力が評価された結果として受け止められる。
なお、里見まさとは1998年に亀山房代とのコンビでも大賞を受賞している。これはザ・ぼんちとしての受賞回数とは別の記録だ。
金属バット:独自の大阪弁漫才でつかんだ初タイトル
金属バットは小林圭輔と友保隼平によるコンビ。独特の言葉選びや大阪弁を生かした掛け合いで、熱心な漫才ファンから支持されてきた。
今回の奨励賞では、M-1王者のたくろうが先に442点を獲得し、後続の組に高いハードルを設定した。しかし金属バットは482点を記録。会場の反応とともに、その存在感を強く印象付けた。
今回の受賞は、テレビでの知名度や全国規模の賞レースでの優勝歴だけでは測れない、舞台での実力が評価された出来事として興味深い。
また、奨励賞は大賞未受賞者を対象とするため、今回の受賞が今後の大賞への挑戦につながる可能性もある。
ぐろう:新人賞3年連続ノミネートからの受賞
ぐろうは家村涼太と高松巧によるコンビ。2026年は3年連続のノミネートを経て、ついに新人賞を獲得した。
大会では、ぐろうの398点に対し、例えば炎が397点。わずか1点という接戦だった。しかも集計の訂正が結果に影響する場面があったため、発表時には大きな緊張感が生まれた。
カンテレの大会レポートでは、ぐろうの漫才は、話をじっくり聞かせながら笑いにつなげるしゃべくり漫才として紹介されている。
すでにytv漫才新人賞決定戦でも結果を残していた2人にとって、今回の受賞は関西の若手賞レースでの評価をさらに積み上げるものとなった。
【よくある誤解とプロの結論】上方漫才大賞の本当の価値
上方漫才大賞を調べる際には、M-1グランプリなどの競技型大会との違いを理解することが大切だ。
M-1グランプリと同じ賞レースなの?
同じ漫才の大会でも、評価の軸は異なる。
M-1グランプリは、その年の大会で披露されたネタを中心に勝敗を競う形式。一方、上方漫才大賞の大賞は、年度を通じた寄席、放送、舞台などでの活躍を評価する。
そのため、M-1の優勝者が必ず上方漫才大賞の大賞を獲得するわけではない。2026年の奨励賞ではM-1王者のたくろうと金属バットが競い合い、結果は金属バットが上回った。
大賞と新人賞は単純な上下関係なの?
大賞が最高賞であることは間違いないが、新人賞と奨励賞は、それぞれ異なる対象を評価する賞だ。
新人賞を受賞したからといって、そのコンビがすぐに大賞を獲得できるとは限らない。奨励賞も同様で、今後の活躍を保証するものではない。
ただし、歴代の受賞者には、後年に大賞を受賞したコンビもいる。銀シャリは2016年に奨励賞、2025年に大賞を受賞した。かまいたちは2019年に奨励賞、2021年に大賞を獲得している。
こうした経緯を見ると、奨励賞は漫才師の成長過程を追ううえでも興味深い賞だ。
【プロの結論】受賞結果は3つの視点で見る
上方漫才大賞をより深く楽しむためには、次の3点を意識するとよい。
1つ目は、年間の活動実績。 大賞は一日のネタの出来だけではなく、劇場や放送、舞台での継続的な活躍を評価する賞だ。受賞コンビのその年の仕事や活動にも注目したい。
2つ目は、賞ごとの対象の違い。 新人賞は若手の成長、奨励賞は大賞未受賞の実力派、大賞は年間を通じた活躍を評価する。それぞれの受賞を同じ基準で比較しないことが重要だ。
3つ目は、大会形式の変化。 2026年は一般審査員100人による採点方式が導入された。今後の大会を比較する場合は、審査方式や番組構成の違いも考慮する必要がある。異なる年の得点を、そのまま漫才の優劣として比較することはできない。
上方漫才大賞の魅力は、若手の台頭を見届けるだけでなく、長く舞台に立ち続ける漫才師の現在地も評価する点にある。2026年のザ・ぼんち、金属バット、ぐろうという3組の受賞は、その特色を象徴する結果だった。
上方漫才大賞に関するよくある質問(FAQ)
Q1:上方漫才大賞はいつから始まった?
A1:1966年にラジオ大阪が創設した。1999年から関西テレビ放送が共同主催となり、2026年に第61回を迎えている。
Q2:2026年の上方漫才大賞の受賞者は誰?
A2:大賞はザ・ぼんち、奨励賞は金属バット、新人賞はぐろう。2026年4月7日に発表された。
Q3:新人賞と奨励賞はどう違う?
A3:新人賞は結成年数10年目までの新人漫才師が対象。奨励賞は大賞の受賞経験がない漫才師を対象とする。どちらも年度を通じた活動を評価する賞だが、受賞資格が異なる。
まとめ:2026年の上方漫才大賞は伝統と新しい挑戦が交差した大会
第61回上方漫才大賞は、2026年4月7日に開催され、大賞にザ・ぼんち、奨励賞に金属バット、新人賞にぐろうが選ばれた。
ザ・ぼんちの45年ぶり2度目の大賞受賞は、長年にわたって漫才を続けるベテランの底力を示した。一方、金属バットは観客審査で高得点を獲得し、ぐろうは3年連続のノミネートを経て新人賞を獲得。世代の異なる3組が、それぞれ違った形で存在感を示した。
1966年にラジオ大阪が創設したこの賞は、1999年から関西テレビとの共同主催となり、2026年にはゴールデンタイムへの進出や観客審査の導入という新しい展開を迎えた。
歴代受賞者を振り返ると、上方漫才の主役は時代ごとに変化している。しかし、寄席や舞台で磨かれた漫才を評価し、次の世代へとつないでいくという賞の役割は変わらない。
2027年以降も、若手の新星がどのように台頭するのか、そしてベテランがどのような新境地を見せるのか。上方漫才大賞は、関西の漫才文化の現在と未来を知るための重要な指標であり続ける。 (出典: 上方 漫才 大賞(Yahoo!ニュース))