栃ノ心が現役引退を発表したのは、2023年5月19日。大相撲夏場所6日目のことだった。
当時35歳。所属していた春日野部屋では大関経験者として土俵に立っていたが、番付は東十両5枚目まで下がっていた。
引退の決定打は2023年初場所の左肩脱臼
引退につながった直接的な要因は、2023年1月場所で負った左肩のけがだった。
初場所4日目に左肩を脱臼して途中休場。続く春場所では十両に陥落し、5勝10敗と負け越した。
さらに5月場所でも調子を取り戻せず、初日から5連敗。本人は引退会見で、次のように説明している。
1月場所でケガして、そこから自分の相撲が取れなかった。今場所も、乗り越えられると思っていたけど、残念です。
この発言から分かるのは、単に年齢を理由に引退したのではなく、けがによって自分本来の相撲が取れなくなったことが大きかったという点だ。
師匠の春日野親方も、長年の努力をねぎらいながら、けがが厳しい決断につながったと説明した。
栃ノ心は2013年にも右膝の前十字靱帯と内側側副靱帯を断裂する大けがを経験している。そこから復活して大関まで上り詰めたことを考えると、最後の左肩の負傷は、長年の相撲人生のなかでも重い意味を持っていた。
引退時には日本相撲協会に残る親方への道も選ばず、現役生活に終止符を打った。
2024年2月4日、両国国技館で引退相撲
引退発表から約9か月後、栃ノ心はファンや関係者に見守られながら、引退相撲を行った。
開催日は2024年2月4日。会場は両国国技館で、正式には「栃ノ心引退断髪披露大相撲」として開催された。
大相撲公式ファンクラブも開催日程を告知しており、当日は10時30分開場、11時30分開演の予定だった。
断髪式は力士としての象徴的な髷を切り落とし、現役生活に別れを告げる大切な儀式だ。
栃ノ心にとっては、2006年の初土俵から続いた17年間の歩みを締めくくる節目となった。
【栃ノ心の現在2026】ジョージア料理店・ワイン事業・大使館での活動
引退後の栃ノ心は、相撲界とは異なる分野で存在感を発揮している。
活動の中心は、ジョージア料理、ワインの輸入販売、そして日本とジョージアの文化交流だ。
1.GEORGIAN HOUSEを2026年2月に開業
GEORGIAN HOUSE(ジョージアンハウス)
2026年の大きなニュースが、東京都墨田区に開業したジョージア料理専門店「GEORGIAN HOUSE」だ。
スポニチの2026年2月22日付報道によると、オーナーは栃ノ心ことレヴァニ・ゴルガゼ氏。2月24日から営業を開始した。
店舗は都営浅草線の本所吾妻橋駅から徒歩約1分。3階建てで総床面積は約520平方メートル、約120人が利用できる規模だという。
店内には故郷ジョージアの町並みの写真や国旗が飾られ、2018年初場所の優勝額も展示されている。相撲時代の実績と、現在の事業が同じ空間に共存している点も特徴だ。
料理の中心となるのは、次のようなジョージアの伝統料理。
- シュクメルリ: 鶏肉をニンニクや乳製品と合わせて煮込む料理。
- ヒンカリ: 肉汁を閉じ込めた、餃子に似たジョージアの伝統料理。
- プハリ: 野菜やナッツを使った伝統的な前菜。
- ハチャプリ: チーズを使ったジョージアの伝統的なパン料理。
飲食店でありながら、ワインやハチミツ、ジョージアの特産品を販売するスペースも併設されている。
つまり、単なる飲食店ではなく、母国の食文化を日本に紹介する拠点として設計されている。
2.株式会社Royal Georgiaでジョージアワインを普及
もう一つの重要な事業が、株式会社Royal Georgiaによるジョージアワインの輸入・販売だ。
栃ノ心は幼いころから、家業の農作業やワイン造りを手伝っていた。2026年10月のスポーツ報知の報道では、17歳のときに亡くなった祖父から「ジョージアワインを広めてほしい」と伝えられていたエピソードも紹介されている。
引退後に設立した株式会社Royal Georgiaでは、ジョージアワインやハチミツを取り扱っている。
日本ジョージア商工会議所の会員紹介でも、同社はワイン・ビールなどの酒類販売事業者として掲載されており、ジョージアから厳選したワインの輸入や飲食店向け卸売に対応している。
ジョージアワインの特徴として知られるのが、伝統的な壺「クヴェヴリ」を使った醸造方法だ。
ブドウを果皮や種とともに発酵・熟成させる製法は、独特の色合いや風味を生み出す。日本ではオレンジワインとして紹介されるタイプもあり、ジョージアの食文化を語るうえで欠かせない存在となっている。
栃ノ心がワイン事業に取り組む背景には、単なる輸入ビジネスだけではなく、幼少期の記憶や祖父とのつながりがある。
3.駐日ジョージア大使館の文化・スポーツアドバイザー
栃ノ心の活動は、飲食や貿易だけにとどまらない。
2025年のインタビュー記事では、在日ジョージア大使館の文化・スポーツアドバイザーとして、日本とジョージアの友好親善に取り組んでいることが紹介された。
2026年10月の報道でも、ジョージア大使館でスポーツ・文化部門の顧問を務めていると伝えられている。
相撲は日本を代表する伝統文化であり、栃ノ心はその世界で大関まで昇進した経験を持つ。日本で長年生活し、言語や習慣の違いを乗り越えてきたことも、両国の交流を担ううえで強みになっている。
現役時代は土俵上で母国の存在を示し、引退後は文化やスポーツを通して両国の関係を支える。競技者としての経験が、そのまま外交・文化交流の仕事につながっている。
4.千葉でワイナリー構想、2027年に向けた準備
栃ノ心が次の目標として掲げているのが、日本国内にワイナリーを造ることだ。
2026年10月12日付のスポーツ報知の報道によると、栃ノ心は千葉県内に購入した住宅を拠点に家族と暮らしながら、日本でのワイナリー設立を目指している。
さらに、2027年にはブドウの栽培を始めるべく計画を進めているという。
ここで注意したいのは、ワイナリーがすでに完成したわけではないことだ。現段階では、ブドウ栽培の開始を目指す構想・準備段階にある。
ジョージアはワイン発祥の地の一つとして知られ、長い歴史を持つブドウ栽培文化が根付いている。栃ノ心はその文化を日本に紹介するだけでなく、日本の土地でワインを造るという新たな挑戦を考えている。
もし計画が実現すれば、輸入販売、飲食店、国内生産という複数の事業が結び付くことになる。
これは、単に元力士が飲食業へ転身したという話ではない。自分のルーツを事業の中心に据え、日本とジョージアを結ぶ仕組みを築こうとしている点に特徴がある。
【栃ノ心の結婚・妻・子供】幼なじみのニノさんとの家庭
栃ノ心の妻として知られているのが、母国ジョージア出身のニノさんだ。
2015年5月、日刊スポーツは栃ノ心の結婚を報道。相手はジョージアの高校時代から交際していた女性で、実家同士も近所だったという。
2人は2015年に母国で婚姻届を提出し、2016年1月31日には東京都内で結婚披露宴を開いた。
当時の報道によると、夫人はニノさん。高校時代からの交際を経て結婚した幼なじみ夫婦として紹介された。
子供について公表されていること
2017年11月には、ニノ夫人がジョージアで長女を出産したことが報じられた。名前はアナスタシアさんで、当時の報道では体重4200グラムだったと紹介されている。
また、2026年10月のスポーツ報知の記事では、同年5月に第2子が誕生したとの情報も掲載された。
ただし、同記事の家族人数に関する記述は、過去の長女誕生報道と照らすと整合しない部分がある。そのため、子供の現在の人数や家族構成を一律に断定することはできない。
栃ノ心は引退後も妻や家族との生活を大切にしながら、日本での事業を展開している。
【栃ノ心に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:栃ノ心は2026年現在、何をしている?
A1:2026年11月現在、ジョージア料理店「GEORGIAN HOUSE」の経営、株式会社Royal Georgiaを通じたジョージアワインやハチミツの販売、駐日ジョージア大使館での文化・スポーツ分野の活動などに取り組んでいる。千葉でのワイナリー構想も進めている。
Q2:栃ノ心の引退理由は何?
A2:2023年1月場所で負った左肩脱臼が大きな要因。けがの影響で本来の相撲が取れなくなり、2023年5月19日に引退を発表した。
Q3:栃ノ心の幕内優勝は何回?
A3:幕内優勝は1回。2018年1月場所に14勝1敗で初優勝した。ジョージア出身力士として初の幕内優勝だった。
Q4:栃ノ心はいつ大関になった?
A4:2018年5月30日に大関昇進が決定し、同年7月場所から新大関として土俵に上がった。
Q5:栃ノ心の引退相撲はいつ開催された?
A5:2024年2月4日に両国国技館で開催された。正式名称は「栃ノ心引退断髪披露大相撲」。
Q6:栃ノ心の妻や子供は?
A6:妻はジョージア出身のニノさん。2015年に結婚し、2017年には長女アナスタシアさんの誕生が報じられた。2026年の家族に関する報道もあるが、現在の正確な家族構成については慎重に見る必要がある。
Q7:栃ノ心のワイナリーは千葉に完成している?
A7:2026年11月時点では完成していない。2026年10月の報道では、2027年にブドウ栽培を始める計画が紹介されている。ワイナリー設立は今後の目標だ。
まとめ:栃ノ心の第二の人生は日本とジョージアを結ぶ挑戦
栃ノ心剛史氏の相撲人生は、2006年の初土俵から2023年5月の引退まで17年間に及んだ。
2013年の右膝の大けがによる幕下55枚目への転落、2014年の復活、2018年初場所の幕内優勝、そして大関昇進。生涯戦歴681勝615敗106休という記録には、異国の地で相撲に人生を懸けた力士の歩みが刻まれている。
引退後の活動も、その生き方と無関係ではない。
- 飲食事業: GEORGIAN HOUSEでジョージアの食文化を発信。
- 貿易事業: 株式会社Royal Georgiaでワインやハチミツを販売。
- 文化交流: 駐日ジョージア大使館の文化・スポーツアドバイザーとして活動。
- 新たな挑戦: 千葉でのブドウ栽培とワイナリー設立を計画。
栃ノ心の第二の人生を評価する際に注目したいのは、事業の数だけではない。相撲、料理、ワイン、文化交流という異なる分野が、すべてジョージアと日本を結ぶという共通の目的につながっていることだ。
2027年に向けたブドウ栽培計画がどのように進むのか、そしてGEORGIAN HOUSEやRoyal Georgiaがどこまで事業を広げるのか。今後の活動にも注目したい。
かつて土俵で怪力を見せた大関は、現在、日本とジョージアをつなぐ実業家として新しい勝負に挑んでいる。 (出典: 栃 ノ 心 剛史(Yahoo!ニュース))