競馬場で競走馬の調教や健康管理、馬房の清掃など、毎日の世話を最前線で担う「厩務員(きゅうむいん)」。馬と生活を共にし、レースでの勝利を陰で支える不可欠なプロフェッショナルとして知られています。しかし、「実際のところ年収はどれくらいなのか」「JRAと地方競馬でどれほどの差があるのか」といった労働環境や収入のリアルな実態は、一般にはなかなか見えにくい部分も多いものです。
本記事では、2026年現在の業界動向や公的データ、現場の関係者による実態を踏まえ、厩務員の年収事情、給与・賞与の仕組み、仕事内容、そして就職・転職を検討する際の難易度まで、徹底的に網羅して解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:JRA(中央競馬)の厩務員は手当や賞与が手厚く、平均年収が600万円から700万円超に達するケースも少なくない。
- 要点2:地方競馬の厩務員は所属する競馬場や主催者の経営状況によって給与水準に開きがあり、JRAと比較してやや低めになる傾向がある。
- 要点3:早朝の調教や土日の開催対応など非常にハードな労働環境だが、馬に深く携わるプロとしてのやりがいと高い専門性が求められる。
JRA(中央競馬)厩務員の年収と給与の仕組み
日本の競馬界の最高峰である日本中央競馬会(JRA)に所属する厩務員の年収は、公営競技の裏方スタッフの中でも比較的高い水準に位置しています。基本給に加えて、担当する競走馬の成績に応じた各種手当や賞与が大きく影響する点が特徴です。
JRAの厩務員は、主に調教師に雇用される形で日本馬主協会連合会や関連組合などに所属し、美浦トレーニングセンター(茨城県)または栗東トレーニングセンター(滋賀県)のいずれかを拠点に勤務します。賞与(ボーナス)に関しては、担当馬が中央競馬のレースで獲得した賞金の一部が還元される仕組み(賞与歩合)が導入されているため、担当馬の活躍がそのまま自身の収入に直結するダイナミックな構造となっています。
地方競馬の厩務員における給与・賞与の実態
一方で、地方競馬(大井、浦和、園田、笠松など全国の各地方競馬場)に所属する厩務員の給与事情は、JRAとは異なる側面を持っています。地方競馬の経営基盤は各自治体や主催者の財政状況に左右されるため、給与水準や賞与の仕組みも競馬場ごとにバラつきが見られます。
地方競馬の厩務員の場合、基本給や定額の諸手当がメインとなることが多く、JRAのトレイニングセンターほど高額な賞与歩合が期待できないケースもあります。しかし、地域に根ざしたアットホームな雰囲気や、地方特有の重賞レースでの勝利に向けた泥臭いチームワークなど、地方競馬ならではの魅力ややりがいを感じて働くスタッフも数多く存在します。
JRAと地方競馬の労働環境・年収比較
中央競馬と地方競馬では、組織の規模やレースの開催スケジュール、収入構造に明確な違いがあります。以下に両者の主な待遇や環境を比較表として整理しました。
| 比較項目 | JRA(中央競馬)厩務員 | 地方競馬 厩務員 |
|---|---|---|
| 平均年収の目安 | 約 500万円 〜 700万円超 | 約 350万円 〜 550万円程度 |
| 賞与・ボーナス | 基本賞与に加え、担当馬の獲得賞金に応じた歩合が大きい | 基本給ベースの支給が中心で、競馬場の業績に左右されやすい |
| 主な勤務地 | 美浦トレセン(茨城) / 栗東トレセン(滋賀) | 全国各地の地方競馬場および所属厩舎 |
| 労働環境・休日 | 早朝勤務が基本、月曜・火曜などが休日(開催スケジュールに準ずる) | 各競馬場の開催日に合わせたシフト・早朝作業が中心 |
厩務員の具体的な仕事内容と過酷な労働環境
厩務員の仕事は、単に馬の世話をするだけでなく、競走馬のコンディションをトータルで管理する極めて専門性の高い業務です。朝は午前2時や3時といった深夜・早朝の時間帯から始まります。
主な日常業務としては、馬房(厩舎)の敷料交換や清掃、飼料(餌)の給餌、馬の体を洗う手入れ、健康状態のチェックなどが挙げられます。さらに、調教時には調教師の指示のもとで馬を運動させたり、調教助手や騎手と連携してトレーニングの進捗を確認したりします。土日にはレースへの帯同や引き馬、パドックでのサポートを行うため、年間を通して生活リズムが不規則になりがちであり、体力と精神力の双方でタフさが求められる過酷な労働環境といえます。
調教師・調助手とのキャリアパスと競馬業界の年収序列
競馬業界におけるキャリアのステップアップとして、多くの厩務員は経験を積んだ後に「調教助手」への昇格を目指します。調教助手は、馬の調教プランをより直接的に立案・実行する重要なポジションであり、厩務員よりもさらに専門的な技術と知識が求められます。調教助手の給与水準は厩務員と同等以上であることが多く、業界内での確かなキャリアパスとなっています。
さらに、長年の経験と実績を積み、難関とされる国家資格である「調教師免許」を取得して自分の厩舎を開業することができれば、年収はさらに大きく跳ね上がる可能性があります。調教師としての収入は、管理する頭数やレースでの勝率に完全に比例するため、トップ調教師になれば数千万円規模の年収を得ることも夢ではありません。このように、厩務員からのスタートは、競馬界でステップアップしていくための第一歩となります。
厩務員になるには?試験の難易度と採用ルート
新たに厩務員を目指す場合、そのルートはJRAと地方競馬で異なります。JRAの厩務員を目指す場合は、競馬学校(JRA競馬学校厩務員課程)等を経て試験に合格するルートが一般的です。年齢制限や厳しい身体検査、面接試験、そして何よりも馬に対する適性や体力が試されるため、入学試験および課程の難易度は決して低くありません。
未経験からの挑戦の場合、まずは牧場(育成牧場や生産牧場)で乗馬や馬の扱いの経験を数年間積み、スキルを磨いてから厩務員試験や求人に応募するケースが王道です。馬との信頼関係を築く技術や、集団生活を円滑に進める協調性、そして重労働に耐えうる頑健な肉体が合格や採用の大きなカギとなります。
【厩務員年収】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:厩務員は未経験からでも目指すことができますか?
A1:未経験からの挑戦は可能ですが、多くの人が乗馬牧場や競走馬の生産・育成牧場で数年の実務経験を積んでから厩務員試験や厩舎の求人に応募しています。馬に関する基礎知識や体力が求められます。
Q2:厩務員の休日や年間休日はどのようになっていますか?
A2:競走馬の世話は365日休みなく続くため、一般的なカレンダー通りの土日祝日休みではありません。基本的には月曜日や火曜日などの平日に休日が設定されることが多く、開催スケジュールによって変則的になります。
Q3:女性の厩務員も活躍していますか?
A3:近年、JRAおよび地方競馬を問わず、女性の厩務員や調教助手が現場で活躍するケースが急増しています。体力的なタフさは必要ですが、きめ細やかな馬の管理スキルが評価され、性別を問わず門戸が開かれています。
まとめ:今後の動向と失敗しないための判断基準
厩務員の年収や労働環境は、JRAと地方競馬の違い、そして個人の担当馬の活躍やキャリアの選択によって大きく変動します。華やかな競馬の舞台の裏側で、命を預かる重責と早朝からの過酷な作業を担うこの仕事は、決して楽な道ではありません。
もし将来的に厩務員を目指すのであれば、「単に馬が好き」という情熱だけでなく、不規則な生活や肉体労働に耐えうる覚悟、そして現場のスタッフや調教師と円滑にコミュニケーションを取る協調性があるかどうかが、ミスマッチを防ぐための重要な判断基準となります。業界のリアルな実態を正しく理解し、確かなキャリアビジョンを描いて挑むことが求められます。 (出典: 厩 務 員 年収(Yahoo!ニュース))