2026年11月現在、国家公務員宿舎は全国にどれだけ残っているのか。所在地はどこで確認できるのか。入居できる職員の条件や家賃、過去に廃止された宿舎の一覧まで、調べ始めると複数の公的資料を照合する必要がある。財務省の最新公表統計によると、2025年9月1日時点の国家公務員宿舎の設置戸数は全国159,446戸。内訳は合同宿舎68,546戸、省庁別宿舎90,900戸となっている。
注目したいのは、国家公務員宿舎が単純に全国一律で削減されているわけではない点だ。2011年に始まった大規模削減計画は2016年度末に達成されたが、その後は地域ごとの需給の偏り、建物の老朽化、災害時の緊急参集に対応するBCP用宿舎の不足など、新たな課題が浮上している。2026年の財務省資料からは、必要な地域への新規整備と既存宿舎の改修を並行して進める方向性も見えてきた。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 現在の設置戸数:最新の詳細統計では全国159,446戸。基準日は2025年9月1日。
- 宿舎の種類:財務省が総合管理する合同宿舎と、各省庁が管理する省庁別宿舎の2種類がある。
- 所在地の確認:財務省の全国統計と各地の財務局、所管省庁の公表資料を使い分ける必要がある。
- 入居と家賃:公務上の必要性などによって対象者が判断され、使用料は住戸の条件に応じて算定される。
- 削減と再整備:2016年度末までに5,244住宅が廃止され、現在は老朽化対策やBCP対応が課題となっている。
【2026年最新】国家公務員宿舎の現在戸数は全国159,446戸
国家公務員宿舎の現状を把握するうえで、最初に確認したいのが財務省の公表統計だ。
2026年3月23日発行の財務省財務総合政策研究所編『財政金融統計月報』第881号には、2025年9月1日現在の宿舎戸数が掲載されている。全国の合計は159,446戸で、合同宿舎と省庁別宿舎の双方を含む数字だ。
2026年6月に公表された財務省の令和7年度政策評価資料でも、宿舎戸数は15.9万戸と整理されている。したがって、2026年の最新情報を調べる際には、2026年に公表された資料と、その資料が対象としている統計基準日を区別することが大切だ。2026年9月時点の戸数がすでに確定・公表されているという意味ではない。
最新の設置戸数と省庁別の内訳
2025年9月1日時点の設置戸数を詳しく見ると、合同宿舎は68,546戸、省庁別宿舎は90,900戸。省庁別宿舎のほうが約2万2,000戸多い。
省庁別宿舎では、防衛省の49,401戸が特に大きな割合を占める。続いて国土交通省13,424戸、法務省12,654戸となっている。自衛隊や刑事施設、地方の公共事業関係施設など、職務上の居住場所を確保する必要がある組織が多くの宿舎を保有している構造だ。
ここで注意したいのは、国家公務員宿舎の総戸数が、そのまま一般の職員向け住宅の空室数や入居可能数を示すわけではないこと。設置されている住戸には、特定の職務や勤務地に対応するものも含まれている。
財務省の統計では、設置戸数と実際に貸与できる住戸、職員に配分されている住戸は別の情報として扱う必要がある。
国家公務員宿舎は減少傾向が続いている
過去の設置戸数と比較すると、削減の規模が分かる。2010年度には210,219戸だった宿舎は、2015年度に166,119戸、2020年度には162,309戸まで減少した。
その後も緩やかな減少が続き、2024年9月1日時点では160,278戸、2025年9月1日時点では159,446戸となっている。2024年から2025年にかけては832戸の減少だ。
ただし、2010年代前半の大幅削減と、直近の緩やかな減少は背景が異なる。現在は単純な戸数削減だけでなく、必要な地域への再配置や、老朽化した建物の改修・建て替えが政策課題になっている。
【全国所在地一覧の確認方法】現存宿舎は財務局と所管省庁で追う
「国家公務員宿舎一覧」を探す人が最も知りたいのは、具体的な宿舎名や住所だろう。しかし、全国の現存宿舎について、住所・空室・入居状況まで一括検索できる一般向けの単一名簿が公開されているわけではない。
財務省が公表する全国統計は、主に戸数や管理区分、地域別の集計を確認するための資料だ。個々の宿舎の所在地や廃止・売却状況は、財務局や各省庁の公表情報を確認する必要がある。
合同宿舎の所在地を調べる方法
合同宿舎は財務省が総合調整を担う宿舎であり、実際の管理事務は各地の財務局・財務支局などが担当している。
財務省の組織資料によると、全国には北海道、東北、関東、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州の9財務局と福岡財務支局が設置されている。沖縄県では内閣府沖縄総合事務局が財務局業務を担う。
所在地を調べる場合は、次の順番で確認すると効率的だ。
- 北海道:北海道財務局
- 東北:東北財務局
- 関東:関東財務局
- 北陸:北陸財務局
- 東海:東海財務局
- 近畿:近畿財務局
- 中国:中国財務局
- 四国:四国財務局
- 九州:九州財務局または福岡財務支局
- 沖縄:沖縄総合事務局財務部
各地域の財務局では、国有財産の管理や処分、宿舎整備、廃止宿舎の売却などに関する情報を取り扱っている。宿舎の所在地を調べる場合は、対象の都道府県を管轄する財務局の国有財産関連資料を確認するのが基本となる。
また、合同宿舎の住戸は財務局長等が各官署に配分する仕組みになっている。一般向けに公開された所在地情報と、職員向けの貸与可能住戸情報は同じものではない。
省庁別宿舎の所在地を調べる方法
省庁別宿舎は、特定の省庁の職員に貸与する目的で設置される。維持管理も原則として所管する各省各庁の長が担うため、合同宿舎とは問い合わせ先が異なる。
例えば、防衛省の宿舎なら防衛省関係の施設管理部門、法務省関係の宿舎なら法務省側の管理部門が確認先となる。自衛隊施設や刑事施設に付随する宿舎は、一般的な住宅団地とは異なる管理体系を持つ。
所在地を確認する際には、単に「国家公務員宿舎」という名称だけで検索するのではなく、次のような情報を組み合わせると対象を絞り込みやすい。
- 都道府県・市区町村名
- 合同宿舎または省庁別宿舎の区分
- 宿舎名・住宅名
- 所管する省庁または財務局
- 現存・廃止・売却済みの区分
現存宿舎と廃止宿舎を混同しない
検索結果に出てくる宿舎名が、現在も職員に貸与されているとは限らない。
特に注意したいのが、財務局の国有財産売却情報だ。そこに掲載されている住宅名は、過去に国家公務員宿舎として利用されていた土地や建物である場合がある。すでに退去が完了し、売却済みになっている物件も含まれる。
実例として、関東財務局は2026年6月22日更新の「茨城県つくば市内の廃止宿舎の売却スケジュールについて」で、竹園3丁目住宅や吾妻3丁目住宅などの所在地と売却状況を掲載している。これらは現役宿舎の募集情報ではなく、廃止後の土地利用・売却に関する情報だ。
したがって、住所を見つけたら、必ず情報の更新日と現在の管理状態を確認したい。
【合同宿舎と省庁別宿舎の違い】管理者・戸数・地域分布を比較
国家公務員宿舎は、大きく分けて合同宿舎と省庁別宿舎の2種類に分類される。名称が似ていても、入居対象者や管理責任、設置目的には明確な違いがある。
合同宿舎は複数省庁の職員が利用できる
合同宿舎は、特定の省庁だけに限定せず、各省庁や国会、裁判所などの職員に貸与できる宿舎だ。財務大臣が設置・維持管理を担い、地域内の官署に勤務する職員の住居を確保する役割を持つ。
複数の官署の職員が利用するため、職員の異動や地域の住宅需要に応じて住戸を配分する仕組みが採用されている。
省庁別宿舎は特定の行政機関の職員向け
省庁別宿舎は、特定の省庁に所属する職員のために設置される宿舎である。自衛隊や刑事施設など、職務の性質上、勤務地の近くに居住場所を確保する必要がある場合に設けられる。
主な設置・維持管理主体は各省各庁の長であり、原則として該当する省庁の職員が貸与対象になる。
2026年に確認できる全国戸数と地域別データ
以下は、財務省の2025年9月1日時点の全国統計と、2024年9月1日時点の合同宿舎の地域別統計を整理したものだ。地域別数値は合同宿舎のみの集計であり、全国すべての宿舎を地域別に合算した数字ではない。
| 区分・地域 | 設置戸数 | 統計時点・関係 |
|---|---|---|
| 国家公務員宿舎全国合計 | 159,446戸 | 2025年9月1日 |
| 合同宿舎 | 68,546戸 | 2025年9月1日・財務省管理 |
| 省庁別宿舎 | 90,900戸 | 2025年9月1日・各省庁管理 |
| 防衛省 | 49,401戸 | 2025年9月1日・省庁別 |
| 国土交通省 | 13,424戸 | 2025年9月1日・省庁別 |
| 法務省 | 12,654戸 | 2025年9月1日・省庁別 |
| 北海道 | 4,642戸 | 2024年9月1日・合同宿舎 |
| 東北 | 4,440戸 | 2024年9月1日・合同宿舎 |
| 関東 | 29,983戸 | 2024年9月1日・合同宿舎 |
| 北陸 | 1,547戸 | 2024年9月1日・合同宿舎 |
| 東海 | 4,170戸 | 2024年9月1日・合同宿舎 |
| 近畿 | 6,758戸 | 2024年9月1日・合同宿舎 |
| 中国 | 5,689戸 | 2024年9月1日・合同宿舎 |
| 四国 | 2,409戸 | 2024年9月1日・合同宿舎 |
| 九州・沖縄 | 9,474戸 | 2024年9月1日・合同宿舎 |
| 合同宿舎地域別合計 | 69,112戸 | 2024年9月1日 |
この比較から読み取れるのは、宿舎の分布が均等ではないという点だ。合同宿舎では関東が29,983戸と最も多く、全国合計69,112戸の約43%を占めている。一方、北陸や四国などは相対的に戸数が少ない。
ただし、この地域別データは2024年のものであり、2025年の全国合計と同じ基準日ではない。また、地域別の合同宿舎戸数を、そのまま各市町村の入居需要や空室状況と読み替えることはできない。
出典は財務省の「国有財産レポート」および財政金融統計月報第881号。地域別の最新状況を調べる場合は、各財務局の資料との照合が必要になる。
【入居資格と使用料】全職員が自由に入れるわけではない
国家公務員宿舎は、一般の公務員向け福利厚生住宅とは性格が異なる。国家公務員宿舎法第1条が定める目的は、職員の職務の能率的な遂行を確保し、国の事務や事業の円滑な運営に資することだ。
そのため、国家公務員であれば誰でも希望する宿舎に入居できるわけではない。公務上の必要性や勤務地、転勤の頻度、緊急参集の必要性などが判断材料になる。
入居が認められる5つの職員類型
財務省の宿舎貸与に関する取扱通達では、入居が認められる職員を次の5つの類型に整理している。
- ① 離島・山間へき地勤務:一般の民間住宅を確保しにくい地域に勤務する職員。
- ② 転居を伴う転勤が多い職員:職務上、頻繁な転勤や移動を求められる職員。
- ③ 居住場所が制限される職員:官署の近接地など、居住する場所に一定の制限がある職員。
- ④ BCPに基づく緊急参集職員:災害や重大事故などの際、業務継続計画に従って緊急参集する必要がある職員。
- ⑤ 深夜・早朝勤務が必要な本府省職員:国会対応、法案作成、予算業務などに従事する職員。
これらの類型に該当することに加え、宿舎を必要とする職務上の理由が確認される。申請時には本人の自宅保有の有無や取得予定なども確認され、自宅を所有している場合は宿舎を必要とする理由について詳しい説明が求められる。
つまり、宿舎への入居は単なる希望制ではなく、職務上の必要性を踏まえた貸与制度だ。具体的な申請手続きや住戸の配分は、所属する官署の担当部署を通じて進めることになる。
宿舎の広さはa規格からe規格まで
国家公務員宿舎では、住戸の広さを規格によって区分している。基本的な区分は次のとおりだ。
- a規格:25平方メートル未満
- b規格:25平方メートル以上55平方メートル未満
- c規格:55平方メートル以上70平方メートル未満
- d規格:70平方メートル以上80平方メートル未満
- e規格:80平方メートル以上
独身者には小規模住戸、単身赴任者には単身者向け住戸を原則として貸与するなど、世帯構成や職務上の事情も考慮される。
また、職員の職務の級などに応じて貸与する住戸規格の基準が設けられている。希望する広さの住宅に自由に入居できる制度ではない。
国家公務員宿舎の使用料・家賃はどう決まる?
国家公務員宿舎の使用料は、民間賃貸住宅のように大家が自由に設定する家賃とは異なる。国家公務員宿舎法第15条などに基づき、建設費用の償却額、修繕費、地代、火災保険に相当する金額などを基礎として算定される。
実際の使用料は、住戸の広さや所在地、建物の経過年数、施設の条件などによって変わる。したがって、全国一律の月額家賃を示すことはできない。
過去の財務省資料では、2014年4月から段階的な使用料引き上げが始まり、2016年4月、2018年4月にも引き上げが実施されたことが確認できる。2018年時点の料金表を2026年の最新家賃として紹介する情報には注意が必要だ。
2027年3月から特定修繕済み住戸の使用料調整が始まる
2026年の制度変更で注目されるのが、リノベーションを実施した住戸の使用料調整だ。
財務省は2026年4月2日付の通達で、特定の修繕を行った有料宿舎について使用料の調整方法を定めた。適用開始日は2027年3月1日である。
対象となる修繕には、台所設備や浴室設備、洗面化粧台の更新、床・壁・天井の大規模な内装改修などが含まれる。
一定の基準を満たす全面的な改修では建物の経過年数の起点を25年後ろ倒しにし、水回り設備の更新など別の基準を満たす修繕では15年後ろ倒しにして使用料を調整する仕組みだ。
これは、改修済みの住戸と未改修の住戸で居住性に差があるにもかかわらず、使用料に十分な差が反映されていなかった問題への対応である。
【削減計画と廃止宿舎一覧】5,244住宅が廃止された経緯と跡地の行方
国家公務員宿舎の現在の姿を理解するには、2011年に公表された削減計画を避けて通れない。
財務省は2011年12月1日、「国家公務員宿舎の削減計画」を公表した。主として福利厚生を目的とする宿舎を見直し、公務上必要な住戸に限定する方針を打ち出したものだ。
2011年から2016年度末までの削減実績
計画では、2009年9月時点の約21.8万戸から必要戸数約16.3万戸まで、約5.6万戸、割合にして25.5%程度を削減する目標が設定された。
住宅数では全国10,684住宅のうち5,046住宅を廃止する計画だった。さらに、廃止した宿舎の跡地を売却し、国の財政に貢献することも目的に含まれていた。
その後、個別のコスト比較や耐震性などの検討を経て、2017年3月末までに削減計画は達成された。財務省の報告によると、最終的な廃止宿舎総数は5,244住宅。跡地売却によって捻出された財源は約2,939億円に達している。
当初の概算では約1,700億円とされていたため、売却による財源確保は計画時の想定を上回った。
廃止宿舎一覧に掲載される2,393住宅とは?
財務省の削減計画関連資料には、当初の段階で廃止が決定された2,393住宅、約1.6万戸の個別一覧が掲載されている。
ここで注意したいのは、この2,393住宅と最終的な廃止総数5,244住宅は同じ数字ではないという点だ。最初に廃止が決まった宿舎と、その後の個別検討を経て追加廃止された宿舎を区別する必要がある。
したがって、2011年・2012年に公表された一覧だけを見ても、現在までの廃止宿舎すべてを網羅できるわけではない。
廃止宿舎の跡地は売却・再開発へ
廃止された国家公務員宿舎の土地は、単純に売却されるだけではない。地方自治体との調整を通じて、地域の都市計画や公共施設の整備、民間開発などに利用される場合がある。
代表的な事例が茨城県つくば市だ。
つくば市では、2011年・2012年に公表された宿舎削減計画によって、市内の公務員宿舎の約7割が廃止されることになった。これを受けて市は2013年5月に「つくば中心市街地再生推進会議」を設置し、宿舎跡地の処分方法や将来のまちづくりについて検討した。
2014年5月には関東財務局とつくば市が売却スケジュールについて合意。竹園・吾妻東部エリアなどを対象に、都市計画との調整を踏まえた段階的な売却を進めることになった。
2026年6月22日更新の関東財務局資料には、竹園3丁目住宅や吾妻3丁目住宅などの所在地、土地面積、売却状況が掲載されている。掲載物件の中にはすでに売却済みとなったものもある。
この事例が示すのは、国家公務員宿舎の廃止が住宅数の削減だけで完結する問題ではないということだ。跡地の規模が大きい地域では、一度に土地を売却すると周辺のまちづくりや都市インフラにも影響するため、自治体との調整が欠かせない。
廃止宿舎を調べるときの判断基準
過去の宿舎名を見つけた場合は、次の4つを確認したい。
- 廃止決定:宿舎としての廃止方針が決まった段階。
- 退去完了:入居者が退去し、宿舎としての使用が終了した段階。
- 売却手続き中:国有財産として処分に向けた手続きが進んでいる段階。
- 売却済み:土地や建物の処分が完了した段階。
「廃止決定」と「売却済み」は意味が異なる。過去の住所情報を現存宿舎の所在地として扱わないことが重要だ。
【老朽化・BCP・建て替え】削減後の宿舎行政は新たな段階へ
国家公務員宿舎は、2016年度末に削減計画を達成した後も、管理や再整備の課題を抱えている。特に大きいのが建物の老朽化と地域ごとの需給の偏りだ。
築50年以上の宿舎は21,399戸
財務省の令和7年6月公表「国有財産レポート」によると、2024年9月1日時点の国家公務員宿舎160,278戸のうち、築50年以上が経過した宿舎は21,399戸に上る。
さらに、10年後には築50年以上となる宿舎が51,459戸に増加する見込みだ。古い建物をそのまま維持するだけでは、居住性や設備の安全性を確保することが難しくなる。
財務省は老朽化対策として、建物の状態や長期使用の可能性を確認しながら、リノベーションを実施している。水回り設備やセキュリティ設備、内装などを中心に改修する方針だ。
2026年6月公表の令和7年度政策評価資料では、合同宿舎のリノベーション実施戸数は累計1,790戸と報告されている。改修は進んでいるものの、全国の宿舎全体から見ると、今後も継続的な整備が必要な規模だ。
BCP用宿舎は4,248戸、目標は約5,200戸
もう一つ重要なのが、BCP用宿舎の整備だ。BCPとは業務継続計画を意味し、大規模災害や重大事故などが起きても行政機能を維持するための準備を指す。
財務省は2020年6月30日に関連通達を制定し、中央省庁の庁舎が集まる霞が関、または防衛省のある新宿区市谷から6キロメートル圏内の宿舎をBCP用として指定する仕組みを設けた。
財務省の2024年9月1日時点の資料では、BCP用宿舎の指定戸数は4,248戸。目標として約5,200戸の確保を掲げている。
緊急時には、業務継続計画に基づいて3時間以内に参集する必要がある職員の初動体制を確保することが目的だ。単に職員の通勤を便利にする住宅ではなく、行政機能を支えるインフラとして位置づけられている。
2026年は市ヶ谷・大津などで新規整備を検討
2026年2月27日に開催された財政制度等審議会第67回国有財産分科会では、国家公務員宿舎の新規整備について具体的な説明が行われた。
2026年度に予定する整備案件として、東京都新宿区市谷と滋賀県大津市の2件が取り上げられている。
市谷では防衛省本省に隣接する土地を活用し、防衛省の省庁別宿舎に加えて、独身・単身者向けのBCP用宿舎を整備する計画が示された。財務省の説明では、合同宿舎部分の竣工は令和19年度末頃、つまり2038年3月頃を予定している。
大津市では、老朽化した別所合同宿舎を移転し、近隣宿舎の集約も含めた新規整備を検討している。移転先は大津駅近くの国有地で、竣工時期は令和11年度末頃、つまり2030年3月頃が予定されている。
一方、新規整備には課題もある。同分科会では、2025年度に入札公告を実施した新規建設関係のPFI事業4事業が、いずれも不落・不調となり契約に至らなかったことが報告された。
背景として挙げられたのは、民間事業者への情報提供不足、事業方式の設定、発注期間の不足、資材費や労務費の高騰などだ。財務省は事業方式や工期、建設費の見直しを進め、PFIだけに限定せず通常の事業方式も含めて検討する考えを示している。
市町村別の宿舎需給は総戸数だけでは判断できない
国家公務員宿舎の削減計画が達成された後、財務省が課題として取り上げているのが地域ごとの需給ミスマッチだ。
2019年の国有財産関係の検討資料では、全国全体で見ると約16.3万戸程度の需要が確認される一方、地域別では宿舎が不足する地域と未入居が増加する地域が存在すると整理された。
住戸の規格にも偏りがあり、独身用・単身者用の不足と、世帯用住戸の余剰が課題として指摘されている。
このため、国家公務員宿舎の需給を調べる際は、市町村の人口や宿舎の総戸数だけではなく、実際に勤務する官署の所在地、職員数、転勤の頻度、住戸の規格、空室状況まで考慮する必要がある。
全国の総戸数が減少しているからといって、すべての地域で宿舎が余っているわけではない。逆に、特定地域の宿舎数が多いからといって、すぐに廃止対象になるとも限らない。
【プロの結論】国家公務員宿舎一覧は4つの情報を分けて読む
国家公務員宿舎を調べるときに最も重要なのは、戸数・所在地・管理主体・現在の利用状態を混同しないことだ。
全国の設置戸数を知りたいなら財務省の統計、具体的な合同宿舎の所在地なら管轄財務局、省庁別宿舎なら所管省庁の資料を確認する。それぞれ情報の目的が違う。
また、過去の削減計画に掲載された宿舎名は、現在も存在する住宅を意味するとは限らない。廃止決定、退去完了、売却手続き中、売却済みという段階を見分ける必要がある。
職員として入居を検討する場合は、宿舎の所在地だけでなく、所属官署での貸与資格、住戸規格、使用料、空室の有無を確認することが先決だ。
一方、地域の不動産開発や土地利用の観点で調べる場合は、廃止宿舎の跡地と現役宿舎を区別し、売却状況や自治体の都市計画まで確認することが判断の精度を高める。
【国家公務員宿舎一覧】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、国家公務員宿舎は全国に何戸ありますか?
A1:2026年に公表された最新の詳細統計では、2025年9月1日時点で159,446戸です。内訳は合同宿舎68,546戸、省庁別宿舎90,900戸となっています。2026年9月時点の確定戸数とは区別してください。
Q2:国家公務員宿舎の全国所在地一覧はどこで確認できますか?
A2:合同宿舎は管轄する財務局・財務支局、沖縄県は沖縄総合事務局の国有財産関連資料を確認します。省庁別宿舎は所管省庁の管理部門が確認先です。全国戸数の統計と、現存する個別宿舎の住所情報は別の資料になります。
Q3:一般の人でも国家公務員宿舎に入居できますか?
A3:原則として一般向けの賃貸住宅ではありません。国家公務員宿舎法や財務省の貸与基準に基づき、公務上の必要性などを満たす職員に貸与されます。
Q4:国家公務員宿舎の家賃は全国一律ですか?
A4:全国一律ではありません。所在地、住戸の面積、建物の経過年数、施設の条件などを踏まえて算定されます。個別の使用料は宿舎の管理主体や担当官署に確認する必要があります。
Q5:廃止宿舎一覧に掲載されている住宅は現在も残っていますか?
A5:必ずしも残っているとは限りません。廃止後に建物が解体されたもの、土地が売却されたもの、自治体や民間事業者によって再開発されたものがあります。最新の売却状況は管轄財務局の国有財産情報で確認してください。
まとめ:国家公務員宿舎一覧は最新統計と現存状況を分けて確認
2026年11月現在、国家公務員宿舎の最新の詳細な全国統計は、2025年9月1日時点の159,446戸だ。合同宿舎68,546戸、省庁別宿舎90,900戸という構成になっている。
2011年に始まった削減計画は2016年度末に達成され、5,244住宅が廃止された。跡地売却による財源は約2,939億円に達している。その一方で、老朽化、地域ごとの需給ミスマッチ、独身・単身者向け住戸の不足、BCP用宿舎の整備など、新しい課題への対応が続いている。
2026年の財務省資料では、市谷や大津での新規整備計画、老朽化した住戸のリノベーション、改修済み住戸の使用料調整などが具体化している。国家公務員宿舎は、単純に減らし続ける段階から、必要な場所に必要な機能を備えた住戸を確保する段階へ移りつつある。
所在地を調べるなら財務局と所管省庁、入居資格を調べるなら国家公務員宿舎法と貸与基準、廃止宿舎を調べるなら売却・跡地利用の最新情報を確認する。この3つの調査経路を使い分けることが、2026年の国家公務員宿舎の実態を正確に把握する近道だ。 (出典: 国家 公務員 宿舎 一覧(Yahoo!ニュース))