伊藤沙莉の映画出演歴を振り返ると、特に注目したいのが、主演として作品を背負った映画と、脇役として物語に厚みを与えた映画の両方で評価を獲得している点だ。
ここでは、役柄の特徴、作品の内容、受賞歴などを基準に代表作を紹介する。
1. 『タイトル、拒絶』:主演女優としての存在感
2020年11月13日公開
- 役名:カノウ
- 出演形態:主演
- 監督:山田佳奈
伊藤沙莉の演技力を知るうえで、外せない作品の一つが『タイトル、拒絶』だ。
本作は、風俗店を舞台に、そこで働く女性たちの現実や葛藤を描いた人間ドラマ。伊藤が演じるカノウは、物語の中心となる人物であり、社会の中で居場所を探しながら生きる女性たちの姿を伝える重要な役どころだ。
この作品では、東京国際映画祭の東京ジェムストーン賞を受賞。2019年の受賞歴に記録されており、映画俳優としての評価を語る際にも重要な実績となっている。
2. 『ちょっと思い出しただけ』:何気ない日常を表現する演技
2022年2月11日公開
- 役名:野原葉
- 出演形態:主演
- 監督:松居大悟
『ちょっと思い出しただけ』は、過去の恋愛と現在を交差させながら、二人が過ごした時間を振り返る恋愛映画だ。
伊藤沙莉が演じる野原葉は、池松壮亮演じる佐伯照生と関係を深めていく女性。何気ない会話や生活の断片から、二人の距離感や時間の経過を感じさせる演技が印象に残る。
大きな事件や派手な展開だけに頼らず、日常の中にある感情を伝える作品として、伊藤の自然な表現力を楽しめる。第34回東京国際映画祭で観客賞とスペシャルメンションを受賞した作品でもある。
3. 『ミステリと言う勿れ』:風呂光聖子役で見せた存在感
2023年9月15日公開
- 役名:風呂光聖子
- 主演:菅田将暉
- 監督:松山博昭
伊藤沙莉の出演作を探している人にとって、知名度の高い作品が『ミステリと言う勿れ』だ。
田村由美の漫画を原作とする本作は、菅田将暉演じる久能整が、独特の観察力と言葉で事件の真相に迫るミステリー作品。伊藤は警察官の風呂光聖子を演じている。
テレビドラマ版から続く役柄であり、映画でも風呂光という人物の存在が物語に関わってくる。テレビシリーズを見ていた人にとっては、登場人物の関係性を引き継いで楽しめる作品だ。
伊藤の演技は、菅田将暉ら共演者との掛け合いの中でも印象を残す。映画だけでなく、ドラマ版も合わせて楽しみたい人におすすめしたい。
4. 『風のマジム』:夢に向かう女性を演じた主演作
- 役名:伊波まじむ
- 出演形態:主演
- 監督:芳賀薫
- 原作:原田マハ
『風のマジム』は、伊藤沙莉の近年の代表作として特に注目したい映画だ。
原田マハの小説を原作とし、沖縄のサトウキビからラム酒を作るという夢に挑戦する女性の姿を描いている。物語の主人公・伊波まじむは、那覇で祖母と母と暮らす契約社員。ある日、ラム酒の魅力に出会い、南大東島産のサトウキビを使ったラム酒づくりを企画する。
まじむの挑戦は、会社の仲間や家族、島の人々を巻き込む大きなプロジェクトへと発展していく。仕事や夢に対する迷いを抱えながらも、少しずつ前へ進む女性を伊藤が演じている。
この作品の背景には、実際に契約社員から会社経営者となった人物の経験がある。単なる成功物語ではなく、地域の産業や人とのつながりを描いた作品でもある。
伊藤は本作で第39回高崎映画祭の最優秀主演俳優賞を受賞。主演として作品を支える演技が評価された。
5. 『爆弾』:緊迫したミステリーでの倖田役
2025年10月31日公開
- 役名:倖田
- 主演:山田裕貴
- 監督:永井聡
- 原作:呉勝浩
『爆弾』は、東京で発生する連続爆破事件をめぐり、警察と謎の男スズキタゴサクが対峙するミステリー映画だ。
物語は、酔って逮捕された中年男性が、爆発を予告するところから動き出す。警察は爆弾の場所を突き止めようとするが、男は取り調べの中で次々と謎めいた問いを投げかける。
伊藤沙莉は倖田役で出演。山田裕貴、染谷将太、坂東龍汰、寛一郎、渡部篤郎、佐藤二朗らと共演している。
『風のマジム』のような成長物語とは異なり、緊張感のある群像ミステリーの中で伊藤の演技を楽しめる作品だ。作品のジャンルによって異なる表情を見せる点も、出演作を比較する面白さにつながっている。
【声優としての映画出演】伊藤沙莉の声の出演作品一覧
伊藤沙莉の映画出演歴を調べる際に、見落としやすいのが声優・吹替としての仕事だ。
実写映画の印象が強い俳優だが、アニメーション映画や海外映画の日本語吹替にも参加している。声の出演を公開年順に整理すると、次のようになる。
主なアニメ・吹替作品
『小さなバイキング ビッケ』
2020年公開
主人公ビッケの声を担当。アニメーション映画で主人公を演じた作品。
『映画 えんとつ町のプペル』
2020年12月25日公開
アントニオ役。2026年の続編にも同じ役名で参加している。
『シチリアを征服したクマ王国の物語』
2022年公開
日本語吹替版に参加。
『映画ざんねんないきもの事典』
2022年公開
ナビゲーター・グララの声を担当。
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』
2022年公開
日本語吹替版でケイラ役を担当。
2022年11月11日公開
二ノ宮ルミ役。新海誠監督のアニメーション映画に参加。
『えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』
2026年3月27日公開
アントニオ役。前作から続くキャラクターを担当。
『映画クレヨンしんちゃん 奇々怪々!オラの妖怪バケ~ション』
2026年7月31日公開
やこ役。九尾の狐の妖怪を演じる。
この一覧から分かるのは、伊藤沙莉の声の出演が一時的な挑戦ではないということだ。2019年の『ペット2』の日本語吹替版にも参加しており、2026年以前から声の表現に取り組んできた。
特に『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』のような海外実写映画の吹替と、『すずめの戸締まり』のような日本のアニメーション映画では、求められる表現が異なる。キャラクターの口の動きに合わせる吹替と、声だけで人物像を作り上げるアニメーションでは、それぞれ違った技術が必要になる。
実写で培った感情表現を、声だけの演技にも生かしていることが、伊藤沙莉の映画キャリアの特徴だ。
【キャリア分析】伊藤沙莉の映画代表作を支える演技力と受賞歴
伊藤沙莉の映画キャリアを理解するうえでは、出演本数だけでなく、どのような作品で評価を受けてきたかを見ることも大切だ。
映画賞から見る評価の変化
所属事務所の公式プロフィールには、映画・テレビを通じた受賞歴が掲載されている。映画関連では、次の実績が注目される。
- 2018年:第10回TAMA映画賞 最優秀新進女優賞
『榎田貿易堂』『パンとバスと2度目のハツコイ』『寝ても覚めても』『blank13』などが評価対象となった。
- 2019年:第40回ヨコハマ映画祭 助演女優賞
『榎田貿易堂』『寝ても覚めても』などに関連する演技が評価された。
- 2019年:第32回東京国際映画祭 東京ジェムストーン賞
『タイトル、拒絶』で受賞。
- 2021年:第63回ブルーリボン賞 助演女優賞
- 2022年:第35回山路ふみ子女優賞
『ボクたちはみんな大人になれなかった』『ちょっと思い出しただけ』などが評価された。
- 2026年:第39回高崎映画祭 最優秀主演俳優賞
『風のマジム』で受賞。
なぜ伊藤沙莉は幅広いジャンルの映画に出演できるのか
伊藤沙莉の演技には、日常的な会話の自然さと、感情が大きく動く場面での説得力がある。
例えば、『ちょっと思い出しただけ』では、恋愛の中にある繊細な気持ちを表現する。一方、『タイトル、拒絶』では、社会的な問題を抱えた女性の複雑な内面を演じている。
さらに『風のマジム』では、夢を実現しようとする女性の成長を描き、『爆弾』では緊迫したミステリーの世界に参加している。
この違いは、出演作を選ぶ際の重要なポイントになる。
単に「伊藤沙莉が出ている映画」という括りだけで作品を選ぶよりも、どのような役柄を演じているのかを確認することで、作品ごとの魅力が分かりやすくなる。
【プロの結論】初めて見るなら、作品のジャンルから選ぶ
伊藤沙莉の映画を初めて見る人には、次のような選び方がおすすめだ。
- 演技力をじっくり楽しみたい人:『タイトル、拒絶』
- 恋愛映画や人間ドラマが好きな人:『ちょっと思い出しただけ』
- 仕事や人生の挑戦を描く作品が好きな人:『風のマジム』
- サスペンスやミステリーが好きな人:『爆弾』『ミステリと言う勿れ』
- 声優としての活動も知りたい人:『すずめの戸締まり』『えんとつ町のプペル』
一方、派手なアクションやテンポの速い娯楽映画だけを求めている人には、作品によっては会話や人物描写を中心とした展開が物足りなく感じられるかもしれない。
伊藤沙莉の魅力は、どの映画でも同じ人物像を演じることではない。作品の世界観に合わせて、役柄の雰囲気や感情表現を変えられるところにある。
【2027年最新情報】劇場版『虎に翼』で伊藤沙莉が佐田寅子役として帰ってくる
- 主演:伊藤沙莉
- 役名:佐田寅子
- 監督:梛川善郎
- 脚本:吉田恵里香
- 配給:東宝
2026年11月現在、伊藤沙莉の次の大きな映画出演として注目されているのが、劇場版『虎に翼』だ。
本作は、2024年にNHKで放送された連続テレビ小説『虎に翼』の映画化作品。伊藤が演じる主人公・佐田寅子が再び登場する。
映画版はドラマの続きとなるオリジナルストーリー
劇場版の舞台は1979年。裁判官を退官した寅子は、これから隠居生活を楽しむと宣言する。しかし、男女平等問題専門家会議の座長を依頼され、さらに母校の明律大学でゼミの講師を務めることになる。
その後、沖縄出身の学生・比嘉恵文が事件の容疑者として逮捕され、寅子は弁護を引き受けることを決意する。事件を調べるうちに、自身が忘れようとしていた過去の記憶とも向き合うことになる。
テレビドラマの単純な総集編ではなく、映画のために制作された完全オリジナルストーリーだ。ドラマでは描ききれなかった空白の時間や、寅子のその後の人生が描かれる。
朝ドラの主要キャストも再集結
映画版には、ドラマでおなじみの出演者も再び参加する。
- 岡田将生:星航一
- 石田ゆり子:猪爪はる
- 岡部たかし:猪爪直言
- 仲野太賀:佐田優三
- 森田望智:猪爪花江
- 土居志央梨:山田よね
- 戸塚純貴:轟太一
- 桜井ユキ:桜川涼子
- 平岩紙:竹原梅子
- ハ・ヨンス:崔香淑
- 南沙良:南晴香
- 内田有紀:瀬川良美
監督はドラマでも演出を担当した梛川善郎、脚本は吉田恵里香。ドラマの制作陣と出演者が再び集まる形になっている。
公式サイトによると、50年以上の歴史を持つNHK連続テレビ小説において、主演キャストが続投する形での映画化は史上初とされる。テレビドラマから映画へと物語が引き継がれる点でも注目度の高い作品だ。
2026年11月2日には主題歌情報も発表
劇場版『虎に翼』の公式サイトは、2026年11月2日、米津玄師による書き下ろし楽曲「こんにちはごきげんよう!」が主題歌に決定したと発表した。
連続テレビ小説のオープニングテーマ「さよーならまたいつか!」に続いて米津玄師が楽曲を手がけることになり、ドラマから映画へのつながりを感じさせる音楽面も見どころとなっている。
公開日は2027年1月15日。2026年の出演作と合わせて、次の映画出演を待つ読者にとっても見逃せないニュースだ。
【伊藤沙莉の映画】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:伊藤沙莉の2026年最新映画は何ですか?
A1:2026年3月27日公開の『えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』と、7月31日公開の『映画クレヨンしんちゃん 奇々怪々!オラの妖怪バケ~ション』です。前者ではアントニオ、後者ではやこの声を担当しています。
Q2:伊藤沙莉が映画『ミステリと言う勿れ』で演じた役名は?
A2:風呂光聖子役です。菅田将暉演じる久能整が活躍するミステリー作品で、テレビドラマ版から続く役柄を演じています。
Q3:伊藤沙莉の映画で主演を務めた代表作は?
A3:『タイトル、拒絶』『ちょっと思い出しただけ』『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』『風のマジム』などです。特に『風のマジム』では第39回高崎映画祭の最優秀主演俳優賞を受賞しています。
Q4:伊藤沙莉は声優としてどんな映画に出演していますか?
A4:『ペット2』『小さなバイキング ビッケ』『映画 えんとつ町のプペル』『すずめの戸締まり』『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』『映画ざんねんないきもの事典』などがあります。2026年には『えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』と『映画クレヨンしんちゃん』にも声の出演をしています。
Q5:劇場版『虎に翼』はいつ公開されますか?
A5:2027年1月15日公開予定です。伊藤沙莉は主人公の佐田寅子役を続投し、岡田将生らドラマ版のキャストも再集結します。
Q6:伊藤沙莉の映画出演順を調べるには、どの作品から確認すればよいですか?
A6:子役時代の『イヌゴエ 幸せの肉球』(2006年)から確認できます。代表作を中心に見るなら、『獣道』(2017年)、『タイトル、拒絶』(2020年)、『ちょっと思い出しただけ』(2022年)、『ミステリと言う勿れ』(2023年)、『風のマジム』(2025年)という順番がおすすめです。
まとめ:伊藤沙莉の映画出演歴は実写・声優の両方に注目
伊藤沙莉の映画出演歴を振り返ると、2006年の子役時代から現在まで、実写映画、短編作品、アニメーション映画、海外作品の吹替と、幅広いジャンルで活動してきたことが分かる。
代表作としては『タイトル、拒絶』『ちょっと思い出しただけ』『ミステリと言う勿れ』『風のマジム』『爆弾』などが挙げられる。声の出演では『すずめの戸締まり』や『えんとつ町のプペル』なども見逃せない。
2026年は『えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』と『映画クレヨンしんちゃん 奇々怪々!オラの妖怪バケ~ション』が公開され、声優としての活動にも注目が集まった。
そして2027年1月15日には、劇場版『虎に翼』が公開予定。佐田寅子役として再びスクリーンに登場する。
伊藤沙莉の映画を選ぶ際は、公開年だけでなく、実写か声の出演か、主演か助演かという違いにも注目したい。作品ごとに異なる表現を楽しめることこそ、彼女の映画キャリアを追いかける大きな魅力だ。 (出典: 伊藤 沙莉 映画(Yahoo!ニュース))