実写映画とは異なる方向で進化してきたのが、カプコンのゲームを原作とするCG映像作品だ。
これらの作品では、俳優が演じる実写映像をベースにする必要がない。レオン、クリス、クレアなどのゲームキャラクターを3Dモデルとして再現し、表情、筋肉、衣服、武器、背景まで一貫したデジタル環境で制作できる。
『バイオハザード:ヴェンデッタ』はマーザのCG制作が特徴
2017年5月27日公開
- 監督:辻本貴則
- 脚本:深見真
- 音楽:川井憲次
- CG制作:マーザ・アニメーションプラネット
2017年の『ヴェンデッタ』は、フルCG映画として制作された作品だ。
制作を担当したのは、セガサミーグループのCG映像制作会社、
2015年にカプコンの人気ゲームを原作とするフルCG映画の制作を発表し、2016年に正式タイトルを『BIOHAZARD: VENDETTA』と公表した。
監督には辻本貴則、脚本には深見真、エグゼクティブプロデューサーには清水崇が参加。ゲームの世界観を高品質なCG映像で再現する制作体制が組まれた。
実写映画との大きな違いは、キャラクターの動きをカメラの都合や俳優の身体的制約に縛られずに設計できることだ。
レオンのアクションや銃撃戦、複雑なカメラワークなどを、映像全体の統一感を保ちながら作り込める。
『インフィニット ダークネス』はフル3DCGのシリーズ作品
2021年7月8日配信開始
- 制作:トムス・エンタテインメント
- CG制作:Quebico
- CGプロデューサー:宮本圭
- 全4話
NetflixのオリジナルCGアニメシリーズとして制作された本作は、レオン・S・ケネディとクレア・レッドフィールドを中心に物語が展開する。
制作はトムス・エンタテインメント、フル3DCGアニメーションはQuebicoが担当した。
Netflixの公式作品資料では、『ヴェンデッタ』から3年後の作品として、さらなる技術進化を取り入れたフル3DCGアニメーションと説明されている。
映画のようなリアルな質感を持たせながら、複数話にわたってキャラクターの外見や世界観を統一できることが特徴だ。
『デスアイランド』はフルCG長編映画として制作
2023年7月7日公開
- 監督:羽住英一郎
- 脚本:深見真
- プロデュース:トムス・エンタテインメント
- CG制作:Quebico
『デスアイランド』は『ヴェンデッタ』の続編にあたるCG長編映画だ。
舞台はアルカトラズ島。レオン、クリス、ジル、クレア、レベッカというゲームシリーズの主要人物が登場する。
制作会社のトムス・エンタテインメントとCG制作を担当したQuebicoが、作品の映像制作を支えた。
カプコンおよびトムス・エンタテインメントの公式発表でも、本作がCGアニメーション映画であることが明示されている。
フルCG作品と実写作品はどちらがリアルなのか
ここで注意したいのは、フルCGだから実写より劣る、あるいはCGの方が必ずリアルという考え方だ。
実写映画には、俳優の表情、実物の衣装、現実の光、偶然生まれる身体の動きという強みがある。
一方、フルCG映画はキャラクターの動きや表情、カメラの位置、背景の構造を細かく制御できる。
したがって、比較するときは映像のリアリティーを一つの尺度だけで判断しないことが大切だ。
【プロの視点】バイオハザードのCGクリーチャーを見極める3つのポイント
CGの品質を評価する際には、単に映像がきれいかどうかではなく、次の3点を見ると制作技術の違いが分かりやすい。
1. 身体の重さが伝わるか
怪物が地面を転がるとき、身体の重量が感じられるかどうかは重要だ。
軽い物体のように動いてしまうと、どれほど精密なCGでも現実味が薄れる。
2026年版のペデストリアンでは、手足が地面や壁に接触する瞬間を細かく設計し、複数の身体が一体となった生物としての動きを表現している。
2. 実写とCGの境界が自然か
実物のゾンビとCGのゾンビを同じ画面に配置する場合、光の方向、影、肌の質感、血液の飛び散り方などが一致している必要がある。
2026年版の病院へ向かう道路の場面では、実際の車両や撮影用の雪、破壊されたバス停などを利用し、CGの感染者や建物の拡張を組み合わせた。
VFXスーパーバイザーの説明によると、車両への衝突表現には実物の破壊効果を使い、デジタルの感染者がその衝撃位置に正確に重なるよう調整した。
このような実写とCGの連携が、画面に強い臨場感を生み出している。
3. 怪物のデザインが物語に結びついているか
バイオハザードのクリーチャーは、単に恐ろしく見せるだけの存在ではない。
感染の進行や人間性の喪失、ウイルスによる身体変化など、物語上の意味を持っている。
2026年版の巨大化したブライアンは、主人公の人間としての意識と怪物としての身体が共存する存在として設計された。
CG制作ではオースティン・エイブラムスの表情を取り込み、変身後も人物としての面影を残している。
ここに、最新のデジタル技術が単なる映像上の派手さを超え、人物の感情表現に使われていることが分かる。
どの作品を見ればCG制作の違いが分かる?
- 特殊メイクとCGの違いを知りたい人:2002年の実写版と2026年版を見比べる。
- 日本のCG制作会社の技術に関心がある人:『ヴェンデッタ』と『デスアイランド』を比較する。
- モーションキャプチャや3DCGの進化を見たい人:『インフィニット ダークネス』と2026年版を比較する。
- 実物造形の迫力を重視する人:2026年版のクリーチャー造形や実写撮影に注目する。
特に、実写の俳優が演じる恐怖と、CGキャラクターが表現する恐怖は、映像の作り方が違う。両方を見ることで、バイオハザードの映像表現の幅を理解しやすくなる。
【バイオハザード映画のCG】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:バイオハザード映画のゾンビは全部CGなの?
A1:すべてがCGというわけではない。実写シリーズでは、俳優に特殊メイクを施したゾンビや実物の造形物を使用し、必要な場面でCGを追加している。2026年版でも実物のクリーチャー造形とデジタル映像が併用されている。
Q2:2026年版のバイオハザードでCG制作を担当した会社はどこ?
A2:主要なVFX制作会社はニュージーランドのWētā FX。VFXスーパーバイザーはケビン・スミス、アニメーションスーパーバイザーはエリック・レイノルズ。ほかにUPPやWylie Co.なども参加している。
Q3:ヴェンデッタとデスアイランドのCG制作会社は同じ?
A3:異なる。『ヴェンデッタ』はマーザ・アニメーションプラネットがCG制作を担当し、『デスアイランド』はQuebicoが担当した。どちらも実写ではなく、フルCGの長編映画である。
まとめ:バイオハザード映画のCGは実物造形とデジタル技術の融合へ
2026年11月現在、バイオハザード映画の映像制作は、実写とフルCGという2つの方向で発展している。
9月18日に全米公開されたザック・クレッガー監督の新作『バイオハザード』では、実物パペットや特殊メイクを残しながら、Wētā FXによる高度なデジタルクリーチャー制作を採用した。主演のオースティン・エイブラムスの演技を立体的に収録し、巨大な怪物の動きや表情に反映させた点も大きな特徴だ。
一方、『ヴェンデッタ』『インフィニット ダークネス』『デスアイランド』は、フルCGならではの自由度を生かし、ゲームキャラクターの世界を映像化してきた。
今回の制作事例から分かる最も重要なことは、CGと特殊メイクは対立する技術ではないという点だ。
実物で撮影した方が迫力の出るものは実物で、物理的に不可能な表現はCGで作る。
この使い分けこそが、バイオハザード映画の恐怖を支える映像制作の本質である。今後のシリーズでも、実写の質感とデジタル技術がどのように融合していくのかが、大きな見どころになる。 (出典: バイオ ハザード 映画 cg(Yahoo!ニュース))