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2026年11月04日 更新
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外国人に生活保護を出す国はある?2026年最新の日本・欧米4カ国の受給条件を徹底比較

目次
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    外国人に生活保護を出す国はあるのか。日本だけでなく、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカでも、外国籍の人が公的な生活支援を受けられる制度は存在する。ただし、外国人であれば誰でも受給できるわけではない。永住権の有無、合法的な在留資格、居住年数、就労歴、難民認定の状況などによって、受給資格は大きく異なる。

    日本では1954年の厚生省通知によって外国人への生活保護が行政措置として続けられ、2014年7月18日の最高裁判決で法律上の位置づけが改めて明確になった。さらに2026年は、ドイツの給付制度の変更や、アメリカのSNAPにおける外国人の受給資格の見直しなど、海外でも制度の転換が進んでいる。各国の法律と政府資料を比較しながら、外国人への生活支援の実態を整理する。

    📌 【この記事の重要ポイントまとめ】

    • 要点1:外国人に生活支援を行う国は日本以外にもあるが、在留資格や居住条件による制限が設けられている。
    • 要点2:日本では外国人に生活保護法上の受給権はない一方、1954年の厚生省通知に基づく行政措置が続いている。
    • 要点3:2026年の日本では、外国籍の世帯主がいる生活保護世帯は全体の約2.9%。アメリカでは2025年成立の法律によって外国人のSNAP資格が縮小された。

    【まず結論】外国人に生活保護を出す国は日本以外にもある

    外国人に生活保護を出す国
    【画像】外国 人 に 生活 保護 を 出 関連ショット

    外国人に対して公的な生活支援を行っている国は、日本だけではない。ドイツ、フランス、イギリス、アメリカにも、一定の条件を満たす外国人が利用できる社会保障制度が存在する。

    ただし、ここで注意したいのは、各国の制度が必ずしも日本の生活保護と同じものではないという点だ。

    日本の生活保護は、生活に困窮する人に対して生活費、住宅費、医療費などを含む最低生活の保障を行う制度である。一方、海外には、就労可能な低所得者向けの所得保障、難民向けの生活支援、食料購入を補助する制度など、目的の異なる仕組みがある。

    外国人への支援は何を基準に決まるのか

    外国人に生活保護を出す国
    【写真】外国 人 に 生活 保護 を 出 近影・注目カット

    各国の制度を比較すると、主に次の5つの条件が判断材料になっている。

    • 在留資格:永住者、就労者、家族滞在者、難民など、どの資格で滞在しているか。
    • 居住年数:国内に一定期間、合法的かつ継続的に居住しているか。
    • 就労歴:国内で働いていたか、社会保険料や税金を納めていたか。
    • 経済状況:収入、預貯金、保有資産などから生活困窮が認められるか。
    • 難民認定:難民として認定されているか、まだ審査中なのか。

    つまり、外国人への生活支援を考える際には、国籍だけでなく、その人がどのような法的立場で国内に暮らしているかを確認する必要がある。

    特に重要なのが、難民申請中の人と、すでに難民として認定された人の違いだ。同じ外国籍であっても、認定前後で利用できる支援制度が変わる国は少なくない。

    【日本の制度】生活保護法第1条と1954年厚生省通知の関係

    外国人に生活保護を出す国
    【資料】外国 人 に 生活 保護 を 出 報道・メディア記録

    日本の外国人生活保護を理解するには、生活保護法第1条と、1954年5月8日に出された厚生省社会局長通知を切り分けて考える必要がある。

    生活保護法第1条は対象を日本国民としている

    日本の生活保護法第1条は、憲法第25条の理念に基づき、国が生活に困窮する国民に必要な保護を行い、最低限度の生活を保障することを目的としている。

    また、第2条では、法律の定める要件を満たす国民が無差別平等に保護を受けられることを規定している。

    この法律上の「国民」は、日本国民を意味する。したがって、外国人は生活保護法に基づく法的な受給権を持たないというのが、現在の法的整理である。

    1954年5月8日の厚生省通知が外国人支援の出発点

    外国人への生活保護の行政上の取り扱いを定めたのが、1954年5月8日付の厚生省社会局長通知「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」(社発第382号)である。

    この通知は、外国人が生活保護法の適用対象にならないことを前提としながら、当分の間、生活に困窮する外国人に対して、日本国民に対する生活保護の決定・実施に準じた取り扱いで必要な保護を行うよう求めた。

    この措置が設けられた背景には、1950年に現行の生活保護法が制定された際、それまで旧法によって保護されていた外国人が新法の適用対象から外れた事情がある。

    さらに1952年のサンフランシスコ平和条約発効によって、在日韓国・朝鮮人などが日本国籍を離脱した。当時、生活保護を受けていた人々への支援を直ちに打ち切ることには人道上の問題があったため、行政措置としての対応が設けられた。

    これは2018年4月18日の衆議院厚生労働委員会でも政府参考人によって説明されている。

    外国人の生活保護はどの在留資格が対象なのか

    政府の国会答弁によると、行政措置の対象として取り扱われる外国人には、次のような在留資格を持つ人々が含まれる。

    • 永住者
    • 定住者
    • 永住者の配偶者等
    • 日本人の配偶者等
    • 特別永住者
    • 入管法上の認定難民等

    これらは、日本国内で活動に大きな制限を受けず、適法に在留する人々を中心とした取り扱いである。

    なお、在留資格を持っているだけで支給が決まるわけではない。日本人の場合と同様に、収入、資産、就労能力、扶養関係などを調査し、生活困窮の状態にあるかどうかが判断される。

    2014年7月18日の最高裁判決で何が決まったのか

    外国人の生活保護をめぐる重要な転換点が、2014年7月18日の最高裁判所第二小法廷の判決である。

    この裁判では、永住資格を持つ外国人が生活保護の申請を却下されたことを不服として争った。

    最高裁は、生活保護法第1条と第2条にいう「国民」は日本国民を意味し、外国人は同法に基づく保護の対象に含まれないと判断した。

    この判決によって、永住者であっても生活保護法そのものに基づく受給権は認められないという法的整理が確立した。

    ただし、ここで誤解してはいけないのが、最高裁が外国人への生活保護を全面的に禁止したわけではないという点だ。

    判決は、1954年通知などに基づく行政措置によって、外国人が事実上の保護の対象となり得ることと、生活保護法上の受給権を持つことを区別している。

    したがって、2014年の判決を「外国人への生活保護は違法になった」と理解するのは正確ではない。

    【2026年最新の実態】日本の外国人生活保護受給者は何人いる?

    制度の仕組みとともに確認したいのが、実際にどれほどの外国人が生活保護を利用しているのかという問題だ。

    厚生労働省が公表している2024年度の被保護者調査では、世帯主が日本国籍を持たない生活保護受給世帯について、次の数字が示されている。

    2024年度の外国籍世帯主の生活保護データ

    • 対象世帯数:47,332世帯
    • 世帯に属する被保護人員:64,993人
    • 生活保護受給世帯全体:1,650,674世帯
    • 外国籍世帯主の世帯割合:約2.9%
    • 外国籍世帯主の世帯に属する人員割合:約3.2%

    これらはいずれも2024年度の月平均である。

    特に重要なのは、64,993人という数字が、外国人だけを切り出した受給者数ではないことだ。

    生活保護は世帯単位で必要性を判定するため、外国籍の世帯主がいる世帯には、日本国籍を持つ配偶者や子どもが含まれる場合もある。したがって、64,993人全員が外国籍だと解釈することはできない。

    外国人の生活保護受給者は増え続けているのか

    厚生労働省の公表資料では、世帯主が日本国籍を持たない世帯に属する被保護人員数は、2012年度の74,736人から2024年度には64,993人となっている。

    この比較では、少なくとも同じ集計区分で見た人数が増加し続けているという状況は確認できない。

    また、「生活保護受給世帯の3分の1が外国人」という説についても、2024年度の世帯割合は約2.9%であり、数字は大きく異なる。

    中国籍の世帯主がいる生活保護世帯についても、厚生労働省の資料では、世帯に属する人員数は2018年度の9,059人から2023年度の9,471人となっている。5年間で2倍になったという説明は、同省の統計と一致しない。

    ただし、国籍別の数字についても、外国人本人だけを完全に切り分けた受給者数ではないという統計上の制約がある。

    数字を読む際には、外国籍の世帯主がいる世帯の人数と、外国籍の人だけの受給者数を混同しないことが大切だ。

    【国際比較】ドイツ・フランス・イギリス・アメリカの外国人受給条件

    海外の制度を比較すると、日本とは異なる考え方が見えてくる。

    特に大きな違いは、外国人への支援を、永住権や長期居住を基準に認める国と、就労歴や難民認定などを重視する国があることだ。

    国主な制度外国人の受給条件難民の取り扱い
    日本生活保護の行政措置永住者、定住者、特別永住者、日本人の配偶者等などが中心。生活困窮の審査も必要認定難民等は対象として取り扱われる
    ドイツGrundsicherungsgeld、社会扶助、AsylbLG適法な在留資格、就労状況、居住実態などが関係する審査中はAsylbLG、認定後は原則として一般の社会保障制度へ移行
    フランスRSA(積極的連帯所得手当)原則5年間の就労可能な滞在許可、または一定の長期滞在資格など難民認定者や補完的保護の対象者には特例がある
    イギリスUniversal Creditなどの公的給付NRPFの制限がない在留資格などが必要難民認定後は一般給付を利用できる場合がある。審査中は別制度
    アメリカSNAP(食料購入支援)永住者は原則5年間の待機期間または例外条件などが関係する2025年の法改正で難民・亡命認定者の資格が縮小された

    ドイツ:2026年7月から生活保障制度が変更

    ドイツでは、低所得者向けの生活保障制度として、これまでBürgergeld(市民手当)が運用されてきた。

    しかし、2026年7月1日から新しいGrundsicherungsgeld(基礎保障給付)への移行が始まった。就労可能な人の就職支援や求職活動への参加義務などを重視する制度変更である。

    外国籍の人も、一定の条件を満たせば利用できる。

    ドイツ連邦雇用庁によると、外国人の場合、次のような条件が関係する。

    • ドイツ国内で自営業または雇用による就労をしていること。
    • EU、EEA、スイス出身者の場合、過去にドイツで働き、本人の意思によらず失業したなどの条件を満たすこと。
    • EU圏外の外国人の場合、給付を受ける資格のある在留許可を持っていること。

    一方、違法滞在者、仕事を探すことだけを目的に入国した人、難民申請者向けの給付制度で支援を受けている人などは、一般の基礎保障給付の対象にはならない。

    難民申請中の人にはAsylbewerberleistungsgesetz(難民申請者給付法)という別制度がある。

    ドイツ連邦労働社会省によると、難民申請者や一部の滞在猶予者などは、原則として最初の36か月間、同法に基づく生活支援を受ける。その後も一般の生活扶助に相当する支援が設けられている。

    難民認定や補完的保護が認められた人は、原則として難民申請者向けの制度から離れ、就労能力や生活困窮の程度などに応じて、一般の社会保障制度を利用する仕組みに移る。

    つまりドイツは、外国人への支援を認めている一方、在留資格と難民審査の段階によって制度を明確に分けている。

    フランス:RSAは原則5年間の合法的な居住が条件

    フランスのRSA(Revenu de solidarité active)は、所得が少ない人に最低限の所得を保障し、就労や社会復帰を支援する制度である。

    フランス人だけでなく、一定の条件を満たす外国人も受給できる。

    フランス政府の行政情報サイトService-Publicが2026年4月1日に更新した案内によると、EU圏外の外国人は、原則として25歳以上で、フランス国内に安定的かつ継続的に居住していることに加え、次のいずれかの条件を満たす必要がある。

    • 就労可能な滞在許可証を5年以上保有していること。
    • 居住者カード、またはそれに相当する滞在許可を持っていること。
    • 難民として認定されていること。
    • 無国籍者として認定されていること。
    • 補完的保護の対象者であること。

    なお、アルジェリア国籍者については、5年間の就労可能な滞在許可という条件に例外がある。

    EU・EEA諸国やスイスの国民は別の居住権の規定に従う。単に仕事を探す目的で滞在しているだけでは、RSAの受給資格は認められない。

    また、2026年6月30日にフランスの家族手当金庫CAFが公表した案内では、RSAなどの最低所得保障について、原則として年間9か月を超えてフランスに居住することが求められている。

    フランスは、外国人にも生活保障を認めるものの、合法的な滞在年数と国内での生活実態を重視する国だ。

    イギリス:NRPF制度によって外国人の公的給付を制限

    イギリスで外国人の生活保障を考えるうえで重要なのが、NRPF(No Recourse to Public Funds)という制度である。

    これは、一定の在留資格を持つ人について、公的資金による給付や住宅支援の利用を制限する仕組みだ。

    NRPFが付された外国人は、原則としてUniversal Credit(ユニバーサル・クレジット)、Housing Benefit(住宅給付)などの対象となる公的給付を利用できない。

    この制限は、多くの一時的な滞在資格に適用される。政府は、外国人が一時的に入国・滞在する際には、基本的に自身と家族の生活を維持できることを求めている。

    一方、永住に相当するIndefinite Leave to Remain(無期限滞在許可)や、EU Settlement Schemeによる定住資格を持つ人などは、NRPFによる制限を受けない場合がある。

    また、2026年8月11日の英国議会における政府回答では、多くの外国人は通常5年程度の滞在後に永住資格を取得し、NRPFが解除される可能性があると説明されている。ただし、在留資格の種類によって経路や期間は異なる。

    難民申請中の人については、一般の公的給付を利用できない一方、別の支援制度が存在する。

    Immigration and Asylum Act 1999の第95条では、生活困窮状態にある難民申請者やその扶養家族に対して、政府が住居や生活必需品などの支援を提供できると定めている。

    つまり、イギリスでは一般の外国人向け福祉給付と、難民申請者向けの支援を明確に分離している。

    アメリカ:SNAPは2025年の法改正で外国人の資格を縮小

    アメリカにはSNAP(Supplemental Nutrition Assistance Program)という食料購入支援制度がある。

    SNAPは、所得の少ない世帯が食料を購入するための支援であり、日本の生活保護のように生活費全般を現金で保障する制度ではない。

    従来、一定の条件を満たした難民、亡命認定者、永住者などがSNAPの対象となる仕組みがあった。

    しかし、2025年7月4日に成立した連邦法Public Law 119-21、通称One Big Beautiful Bill Actによって、外国人のSNAP受給資格が大幅に制限された。

    2026年の制度では、基本的に次のような人が対象となる。

    • アメリカ市民
    • アメリカ国民
    • 一定の条件を満たす合法的永住者(グリーンカード保有者)
    • キューバ・ハイチ入国者として認められた人
    • 自由連合盟約(COFA)に基づくミクロネシア、マーシャル諸島、パラオの国民

    永住者の場合、原則5年間の待機期間が設けられている。ただし、18歳未満、一定の障害者、40四半期分の適格就労歴がある人、米軍との関係がある人などには例外が設けられている。

    重要なのは、2025年の法改正によって、難民や亡命認定者であるという資格だけではSNAPを利用できなくなったことだ。後に永住資格を取得した場合には、永住者として別途条件を満たす必要がある。

    なお、法律の成立と個々の受給者への実際の適用時期は区別する必要がある。州によって更新手続きなどの運用が異なり、例えばノースカロライナ州は2026年2月1日以降の申請・更新に新しい基準を反映すると案内している。

    アメリカの事例は、外国人への公的支援が一度認められても、政治や法律の変更によって受給条件が大きく変わることを示している。

    【難民認定と在留資格】外国人への生活支援はどこで分かれる?

    日本と海外4カ国の制度を比較して、特に大きな違いが現れるのが難民認定の扱いである。

    外国人という同じ立場でも、難民申請中なのか、認定を受けたのか、永住資格を取得したのかによって、公的支援へのアクセスが変わる。

    難民申請中と難民認定後は同じではない

    難民申請中の人は、母国で迫害を受けるおそれなどを理由に保護を求めている段階にある。しかし、申請を提出したこと自体が、難民として認定されたことを意味するわけではない。

    このため、各国では難民申請者向けの独立した支援制度を設けている場合が多い。

    • 日本:認定難民等は行政措置による生活保護の取り扱いの対象に含まれる。申請中の人は在留資格や個別の支援制度を確認する必要がある。
    • ドイツ:難民申請中はAsylbLGが中心。認定後は一般の社会保障制度に移行する。
    • フランス:申請中は原則として難民申請者向けのADAが中心。認定後はRSAの対象になり得る。
    • イギリス:申請中は一般の公的給付ではなく、生活困窮者向けの難民申請者支援が用意されている。
    • アメリカ:2025年の法改正後、難民・亡命認定者であることだけではSNAPを受給できなくなった。

    永住者はどのように扱われるのか

    永住者は、短期滞在者や一時的な就労目的の滞在者と比べて、社会保障へのアクセスが認められやすい立場にある。

    日本では、永住者は1954年通知に基づく行政措置の対象として取り扱われるが、2014年の最高裁判決により生活保護法上の受給権があるわけではないことが明確になった。

    フランスでは、一定の居住者カードを持つ人は、原則5年間の就労可能な滞在許可という条件とは別の資格要件を満たすことでRSAを申請できる。

    イギリスでは、無期限滞在許可を取得すると、一般的にNRPFの制限がなくなり、公的給付を申請できる立場になる。

    アメリカでは、グリーンカードを持つ永住者もSNAPの所得・資産条件を満たす必要があり、さらに5年間の待機期間や例外規定が関係する。

    ドイツでも、EU圏外の外国人については、給付対象となる在留許可を保有していることなどが条件となる。

    このように、永住資格は各国で重要な判断材料だが、永住者になれば無条件にすべての給付を受けられるというわけではない。

    【誤解を解く】外国人の生活保護をめぐる5つの重要なポイント

    外国人への生活支援は、法律上の権利、行政上の措置、難民支援、食料補助などが混同されやすいテーマだ。制度を正確に理解するために、特に間違えやすい点を整理する。

    誤解1:2014年の最高裁判決で外国人への生活保護は禁止された

    これは正確ではない。

    最高裁が判断したのは、外国人が生活保護法に基づく受給権を持つかどうかである。外国人への行政措置そのものを全面的に禁止したわけではない。

    1954年通知に基づく行政措置は、2026年現在も外国人への生活保護の取り扱いの根拠となっている。

    誤解2:永住者なら日本人とまったく同じ法的権利がある

    永住者は、行政措置による生活保護の対象として取り扱われるが、生活保護法に基づく法的な受給権を持つわけではない。

    この違いは、申請却下などを争う場合の法的な位置づけにも関係する。

    誤解3:外国人は日本人より生活保護を優先されている

    厚生労働省は、外国人に対する保護についても、資産や能力などを活用する要件は日本人と変わらず、外国人を優先しているわけではないと説明している。

    したがって、外国人という理由だけで受給が優先される制度ではない。

    誤解4:海外では外国人なら誰でも生活支援を受けられる

    これも誤りだ。

    フランスでは原則5年間の就労可能な滞在許可が求められ、イギリスではNRPFによって多くの一時滞在者が一般の公的給付から除外される。

    アメリカでは2025年の法改正によって、難民・亡命認定者であっても、その資格だけではSNAPを受けられなくなった。

    各国とも、外国人の滞在資格や経済状況に応じて受給条件を設定している。

    誤解5:難民支援と一般の生活保護は同じ制度である

    難民申請者に対する支援は、一般的な生活保護や所得保障とは異なる目的を持っている。

    難民申請者は、保護の必要性を審査されている間、住居や食料など最低限の生活を維持するための別制度を利用することがある。

    難民として認定された後は、一般の社会保障制度に移行する国もあるが、アメリカのSNAPのように、難民認定だけでは利用資格が認められない制度もある。

    【プロの結論】比較すべきなのは国籍ではなく制度の設計

    外国人への生活支援を評価する際には、次の3つの視点が欠かせない。

    第一に、法律上の権利と行政措置を区別すること。日本では外国人の生活保護法上の受給権は認められていないが、行政措置による保護は行われている。この2つは同じものではない。

    第二に、一般の社会保障と人道的な緊急支援を分けること。難民申請者向けの住居支援と、永住者が利用する所得保障は、制度の目的も受給条件も異なる。

    第三に、受給者数の統計を正しく読むこと。世帯主の国籍を基準にした人数を、そのまま外国人本人の受給者数として扱うことはできない。対象となる統計区分と集計期間を確認する必要がある。

    この3つを踏まえると、日本だけが外国人に特別な生活支援を行っているという単純な比較は成り立たない。一方で、外国人への支援をどこまで認めるかについて、各国の制度設計や政策判断に明確な違いがあることも分かる。

    【外国人に生活保護を出す国はあるのか】に関するよくある質問(FAQ)

    Q1:外国人に生活保護を出している国はどこですか? A1:日本、ドイツ、フランス、イギリスなどでは、一定の条件を満たす外国人に生活支援や所得保障を行っている。アメリカにもSNAPという食料購入支援制度がある。ただし、各国の制度は日本の生活保護と完全に同じではない。

    Q2:日本では外国人でも生活保護を受けられますか? A2:受けられる場合がある。永住者、特別永住者、定住者、日本人の配偶者等など、一定の在留資格を持つ人が1954年の厚生省通知に基づく行政措置の対象として取り扱われている。ただし、生活保護法上の受給権が認められているわけではない。

    Q3:2014年の最高裁判決で外国人の生活保護は違法になりましたか? A3:違法になったわけではない。最高裁は外国人が生活保護法に基づく受給権を持たないと判断したが、行政措置による事実上の保護まで禁止したわけではない。

    Q4:永住者なら必ず生活保護を受けられますか? A4:必ず受けられるわけではない。日本では永住者も行政措置の対象となり得るが、収入、資産、就労能力などの審査がある。各国でも永住資格だけで給付が自動的に決まるわけではない。

    Q5:難民申請中の外国人も生活保護を受けられますか? A5:国によって異なる。日本では認定難民等と申請中の人を区別する必要がある。ドイツやイギリスでは難民申請者向けの独立した支援制度があり、フランスでは申請中の人にADAという支援が用意されている。

    Q6:2026年のアメリカでは難民もSNAPを受けられますか? A6:2025年成立のPublic Law 119-21によって、難民・亡命認定者は、その資格だけではSNAPの対象から除外された。後に永住者となった場合は、永住者向けの条件や例外規定を満たす必要がある。

    まとめ:外国人への生活保護は国籍だけでは判断できない

    2026年現在、外国人に生活支援を行う国は日本だけではない。ドイツ、フランス、イギリス、アメリカにも、それぞれ外国籍の人が利用できる社会保障制度が存在する。

    ただし、制度の内容は大きく異なる。日本は1954年の厚生省通知による行政措置、ドイツは在留資格や難民認定段階に応じた給付、フランスは原則5年間の居住条件を伴うRSA、イギリスはNRPFによる給付制限、アメリカは永住資格などを重視したSNAPという仕組みを採用している。

    日本については、2014年の最高裁判決によって外国人の生活保護法上の受給権が否定された一方、行政措置による保護は続いている。また、2024年度の厚生労働省統計では、外国籍の世帯主がいる受給世帯は全体の約2.9%だった。

    今後、外国人への生活支援をめぐる議論では、受給者数だけでなく、法的な根拠、在留資格、居住年数、難民認定の状況、制度の対象範囲を一つずつ確認する必要がある。

    「外国人に生活保護を出す国はあるのか」という疑問への答えは、明確に「ある」。しかし、その実態は国ごとに異なり、外国人なら誰でも無条件に受給できる制度を意味するものではない。各国の制度を正確に比較することが、この問題を冷静に理解するための出発点となる。

    井上 大輝 (Daiki Inoue)
    井上 大輝 (Daiki Inoue) 編集チーフ

    毎日更新されるトレンド情報を分析・発信中。役立つ裏技やおすすめ情報を分かりやすく紹介します。